前回の採血ではちっとも痛くなかったのに、今日の注射はやたら痛いこんな経験はないだろうか? やはりこれは、看護婦の技術の差なのだろうか?
そのとおり。実際、注射には皮下注射、筋肉注射、静脈注射など数種があり、なかでも筋肉注射が痛いです。また、その他の要素によっても痛みは違うのだが、同じ条件のものだったら腕の差といいきってもいいでしょう。
痛みを感じるメカニズムはこうだ。ご存じのとおり、ヒトの皮膚には、圧力や、温かい、冷たい、痛い、くすぐったいなどの刺激を感じる働きがありますこれは皮膚の表面に散らばっている「知覚点」によるもので、その種類は圧点、温点、寒冷点、痛点などに分かれ、それぞれ数も集中する場所も違います。
たとえば寒冷点は、1平方センチ当たり平均して腕や脚に約5個、顔面に1個、乳頭なら15〜20個、という具合です。だから同じ寒さでも手足はそれほど感じないが、胸のあたりはひどく強く感じられるというわけです。
これらの「知覚点」の中では痛点が最も多く、1平方センチ当たり200~300個に達するといわれています。やはりその数も部位によって異なり、背部(おしり)やおなかは少ないが、指先や顔面には多く、このため指先や顔面は痛みに敏感です。
とはいえ、じやあ知覚点をよけて注射を打ってくれといわれても、実際にはムリな話。むしろ注射の痛い痛くないは、看護婦さんの腕にかかっているのです。
たとえば静脈注射の場合、血管に針を入れるのだから、ななめに注射針を刺す。が、最初から針をねかすよりも、やや針を立てめにして刺してからねかす感じにした方が患者さんも痛くないし、スムーズにいく、というベテラン看護婦さんの詰もあります。
いずれにせよ、痛い痛くないは、同じ種類の注射なら、いかにスムーズに注射針を差すか、イコール看護婦さんの思い切りのよさにかかっているのです。やはり経験に裏づけされた自信のあるベテラン看護婦さんに打ってもらう方が痛くないのは言うまでもありません。
あなたは未婚? 既婚? お子さんは? やたら結婚や出産を先伸ばしにしようとする風潮がある現在、ちょっと気になる話をひとつ。
こんなデータがあります。染色体異常の子供が生まれる確率は、母親の年齢が20代で3000人に1人、30代で1000人に1人、40代になると300~400人に1人と、なんと約3倍ずっ上昇していくといいます。
晩婚と高年齢出産が増加する昨今、この数字はかなり心配です。結婚したけれど「子供は後で」という夫婦にこそ、一番ドキッとする問題かもしれません。
ところで、「羊水検査」という言葉を聞いたことがあるでしょうか? これは羊水、つまり母親の胎内で赤ちゃんをくるんでいる液体をとって、赤ちゃんや母体について調べる検査のこと。
羊水検査は、70年代に入って積極的に取り入れられるようになり、胎児に関するかなりの情報が得られるようになってきました。たとえばダウン症などの先天異常も、この検査でわかります。ここまで読んで「羊水検査ならオレには関係ない」と思った男性諸君も是非、聞いてほしいのです。
本題はこれからである。病院によっては、「夫婦の年齢」の合計が70歳以上の場合、羊水検査をすすめるところもあるのです。「うちのカミさんはまだ若いから」とはいってられない。ダンナの年齢も大いに関係するのです。
当然ながら、子供は1 人じゃつくれない。赤ちゃんの遺伝子の半分は男性からのものです。しかし、この羊水検査、直接受ける妊婦にとってはさまざまなリスクをようするものでもあるのです。羊水は母親の下腹部から細い針を刺して採取するわけだが、ごくまれに胎児に針を刺してしまったり、胎盤などを傷つけて流産や早産を誘発する恐れもあるのです。
また、熟練した産科医が慎重に行えばとても安全で確実な方法なのですが、それ以前にいろいろと難しい問題をはらんでいるのも事実です。検査を受けて安心したいのはだれしも同じだが、受ける必要性と同時に、もしそれとは逆の結果が出た場合どうするのか、夫婦でよく話しあっておくべきなのかもしれません。
一般に、ツライ検査、気持ち悪い検査、というと、経験のある人もない人も、まず胃カメラを連想するようです。
そこで胃の検査についてだが、最近では少し様子が変わってきています。
ちょっとのぞいてみよう。ベッドの脇にテレビが据えられています。お医者さんは目の前にあるツマミやボタンを両手で微妙に操作しながら、食い入るようにテレビのモニターを見つめています。画面いっぱいになにやら無気味なピンクの洞穴が。
「ポリープがありますねえ。ほれ、ここ。見えますか? 」お医者さんに見えますかっていわれても、患者さんはベッドに横たわり、マウスピースをくわえさせられ、マグロ状態。それでもなんとか首を伸ばして画面をのぞこうとします。
そう、これが最近の胃の検査です。もちろん画面に映っているのは自分の胃です。「ハイテク」とか「バーチャル・リアリティー」という言葉を想像してしまうような検査です。
さて、胃カメラが最初に開発されたのは約30年前。先端に照明ランプと小さなカメラをつけたチューブを口から入れ、撮影したものを見て診断したのです。どんなに小さくてもカメラとストロボです。
それにいくら曲がるからといっても、太さ2cm近くのチューブ。これを飲み込むのは苦痛そのものでした。しかし、もっと以前は、もっと太い直線状の曲がらない管を、食道にズ〜ンと通して胃の中まで挿入する検査でした。
想像するだけでおえっとなります。昔の人はなんとガマン強いのでしょうか。ここで話を今に戻すが、グラスファイバーが発達した現在は、胃の検査での患者の苦しみもぐんと減りました。
喉のところに麻酔を流し込んでいるので、思わずおえっとなりにくいし、マウスピースを通して入る管は鉛筆くらいの太さ。無数の光ファイバーが束となっているのです。(ちなみに内視鏡検査というのは、チューブの先にのぞき鏡をっけた器具で体の内部を観察する検査の総称。胃ファイバースコープや、大腸ファイバースコープというものもそのひとつにあたる)先端についた、CCD (電荷結合素子カメラ) という極小のビデオカメラから送られる信号がファイバーを通ってモニターに映像化されます。
管にはいくつかの孔が通っており、検査によってその大きさや数が違います。もちろん写真撮影もできます。また、ひとつの穴から専用の極細紺子を入れ、もうひとつから麻酔のための注射針を入れ、「検査するから、じやあ今、組織を取りましょう」なんてこともできる(これは生検といって、細胞組織を取って顕微鏡で調べる検査のこと)。
それどころか、小さな病変ならその場で切除することも可能です。医者はモニター画面を見ながら、まるでゲーム機を扱うようにファイバーの先の器具を自由に操るのです。つまり、患者からソッポを向き、テレビに映る内臓を凝視しているのです。まさに胃カメラではなく胃テレビの時代。ああ、医学の進歩です。
胃が出している小さなサインを見逃さない
胸を刺す、などと言われれば誰でも少なからずドキッとするのが普通でしょう。一方、レバ刺し、というとお好きな人には、別の意味でワクワクするたまらない言葉でしょう。
冗談はさておき、現実の検査で、本当にブスッと胸に針を刺すことがあります。簡単にいえば注射針を刺して胸水を吸い上げ、その性状を調べる検査です。
胸水とは、胸膜腔(胸と胸壁の間)に溜まった水のことです。少しなら正常な人間にもあるのですがX線写真で見てもわかるほど溜まっていたら、病気の一症状として詳しい検査が必要です。
ところが、この胸水検査、トレーニングを積んだ医者が行えばなんの心配もないのですが、研修医や慣れない医者が針を刺すときは要注意です。
胸に溜まった水を抜き取るつもりで、肝臓を刺してしまったというミスが、案外日常的に起きているのです。肝臓は血液に富んだ臓器だから、万が一、大きな血管を傷つけてしまうと出血多量で死亡というケースも現実にありうるのです。
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ちょっと軽目の話をひとつ。最新機器MRIの直径はわずか80 cmほど。筒状の機械の中に頭から足の先まですっぽりと差し込まれる格好で検査します。
痛みがあるわけでなし、別にたいしたことはなさそうだが、これは人によってかなり苦痛になってしまう。足もとはわずかに開いているものの、ほとんど簡形ののお棺の中にいれられたような感じで、顔の部分に窓があるわけでもない。そして、体の上、右、左を至近距離でぐるりと囲む円筒形の壁。
体を起こすことはもちろんどこにも逃げ場がありません。そんな状況下で検査時間は約50分。しかもその間動くことはおろか横を向くこともできません。
実際、閉所恐怖症の人などはガマンできずに途中で「出してくれ〜」と叫ぶ人もいます。内視鏡検査などとは一味違う苦痛です。
最近は、片側だけが開いているMRIやメガネをかけて狭さを意識させないなどのMRIも登場しているので割と誰でも受けられるようになってきています。
【オープン型MRIなら閉所恐怖症の人も検査が可能です】
現在、日本人の死因第3位は、脳血管障害によるもの。脳卒中はその典型的な例です。今は心配する気などカケラもない人も、いずれあの世に行くときお世話になる(? )候補のナンバー3 です。
X線CTやMRIが普及してきたおかげで、これまで難しかった脳の検査が簡単に、しかも安全に受けられるようにりました。脳ドックを行う病院も急速に増えています。
ところが、ここでまた新たな問題が出てきたのです。MRIによる断層撮影検査では、脳にできたほんの数ミリ程度の動脈瘤も発見できるのですが、もし発見したとして、手術をしてそれを取り除くことをすすめるかどうか、という点です。
脳にできた動脈瘤(脳動脈瘤という)とは、脳の動脈の一部がこぶのようにふくらんだ状態のことです。このふくらんだ部分が、動脈の内圧に耐えきれなくなると破裂し、脳卒中の一種であるくも膜下出血や、ときには脳出血 を引き起こします。
だからそうなる前に手術してしまおうか、ということになります。とはいうものの、まだこの段階では自覚症状はおろか、脳内の血流になんの問題もないのです。つまり、将来それが原因でくも膜下出血や脳出血が起こるかどうか、わからないのです。
たとえるなら、あなたの脳の中の、不発弾の可能性もある時限爆弾、といったところです。起こるかどうかわからない脳卒中のために、わざわざリスクを背負って手術をするべきかどうか?
しかも、この小さな動脈瘤、検査を受けた人の中に、かなりの割合で存在するのです。今のところ、その判断は医者に委ねられているのです。患者に動脈瘤の有無は伝えるが、小さなものはそれ以上大きくならないよう、食生活の改善や高血圧予防など、日常の摂生を呼びかける程度が一般的です。
もちろん、理屈でいえば、知らずにますます大きくして手遅れになるより、知っておいた方がいいでしょう。しかし、気分的には微妙なところではあるのです。高性能機材で全部わかってしまうのも、痛しかゆしというのが現代の医学の実情なのです。
高中性脂肪血症もリスクのひとつです。
X線を用いないコンピュータ断層撮影検査として、その安全性が強調されているMRI(核磁気共鳴映像法)。最近では知ってる人もかなり多くなった検査法のひとつで、CTよりさらに詳細なデータが見られます。
これは電磁波を応用する検査法なので、たしかにレントゲン検査などと違い、「被曝」の心配はない(「核磁気」とあるが、この「核は放射線を出すいわゆる核物質のことではなく、どんな物質にもある原子核のことを指している)。
が、いわば超強力な磁石の中に人体を置くようなもの。ペンやメガネなど金属はすべて取り除いておかないと、まちがいなくビュンと飛んでいってしまいます。その強力さを物語る一例に、検査室に置いてあったパイプ椅子がたちまち吸いついて離れなくなったというウソのような本当の話まであるほどです。それだけものすごい磁力が体にかかるとなると、体に対する影響はホントにまったくないのか、と気になってくるでしょう?。実は、これにも体に「なんらかの影響″」があります。
なんと、場合によっては死に至る危険すら、MRIにはあるのです。というのも、メガネやアクセサリーといった、身につけた金属ならはずせばすみます。しかし、体の中に入っている「金属」はどうしようもない。たとえば、心臓ペースメーカー、人工弁など。これらをつけている人は、もちろん検査を受けることはできません。また、戦時中の軍需工場で鉄粉が目に残っていたことを知らずに、数十年たってMRI検査を受けた人が、磁気によって失明してしまった、というケースもあります。
ほかにも、つい先ごろメキシコで、止血のため脳内に残してあったクリップが検査中に飛び、死亡するという報告もあったばかりです。
とはいえ、MRIは金属に関する厳重な注意さえ怠らなければ、画像が鮮明で細部にわたり映像化でき、しかも人体に無害、ということなので、特に脳や脊髄の分野で圧倒的な評価を得ているのです。実際、MRIは高価な機材なので、現在のところはまだ設置している病院も限られていますが、今後はますます利用価値の高いものになっていくはずです。
病気にならないために受けるのが本来の予防接種の役目です。しかし、それで逆に病気になってしまうこともあるのです。
その実例です。前述のとおり予防接種とは、病原になる微生物、あるいはそれがつくる毒素に種々の処置を加え、毒性を弱くしたもの(ワクチン)を人体に接種することで抵抗力(免疫) をつくる方法です。はじまりは18世紀末、あえて自分の子供を実験に使った逸話で有名なジエンナーの発明です。
以来、現在でも結核、ジフテリア、風疹などさまざまな予防接種が行われ、効果を発揮しています。しかし、その有効性と引き換えに、発熱や吐き気、悪寒など軽いショック症状を起こす場合があるなど、やはりそのリスクを100% ぬぐいさることはできないでいます。
さて、そこで特に最近問題になったのが「第三種混合ワクチン」と称されるものです。これまでにもジフテリア・破傷風・百日咳をいっしょにしたDPT 三種混合ワクチンや、腸チフス・パラチフスの2 種混合まなど、使用しやすいようにつくられた混合薬剤があったが、麻疹(はしか)、風疹(みっかばしか)、流行性耳下腺炎(おたふく風邪) のワクチンを混ぜた第三種混合(MMRという) は、これらに次ぐ効果的なワクチンとして注目されていました。
かし、MMR が導入されてまもなく、髄膜炎という病気になった患者が発見されたため、平成5年には厚生省から各都道府県に対し、事実上使用見合わせの通知が出されたのです。
3 つの病気の種類を見ても、MMR が実用性が高そうなことしろうとは、素人でもわかります。しかし、打ってみないとホントのところはわからないのが、新型ワクチンの弱みなのです。
小学生のころ、予防接種をした後に、「お風呂に入ってはいけませんよ」といわれた経験があると思います。大人になっても、海外旅行の前にコレラの予防接種を受けたときなどしっかり念を押されます。では、言いつけにそむいて入浴したならどうなるのでしょうか?
気になるところであるが、これは現実に、かなりの危険行為といえるのです。さて、この予防接種の中身、ワクチンとは、病原微生物の毒性を弱めたものです。これを人体に接種すると、その毒素に対する抵抗力が体の中にできます。これを「免疫」といいます。
一度この免疫が完成すれば、その後同じ病原体による感染が起こったときも発病しない。あるい収発病しても軽くてすむのです。この原理を応用したのが予防接種です。ちなみに「予防注射」という言葉もよく耳にすると思いますが、これは予防接種を皮下注射するやり方。ほかにも「ハンコ注射」などといわれているBCGなどがあります。
つまり、一時的でわずかではあっても、当の病原そのものを体内に入れるのだから、発熱や吐き気、悪寒など軽いショック症状を起こす場合も現実に多く、接種時には十分な健康管理が必要なのです。ただでさえそんな状況で、もし入浴して血行♯がよくなったり、急激な温度変化にさらされたりすると、免疫ができ上がる前に、その病原体が本来の毒性に近い力をとりもどし、計算外の悪さをする可能性があるのです。
予防接種した日は入浴しない、というのは、こうした理由からくる「予防のためのまた予防」の端的な一例なのです。だから、よくよく記憶を掘り返してみると「今日明日は、おとなしくしているように(安静にしているように)」なんてこともいわれていたはずです。
また、そうしたことから、予防接種ではない通常の治療のための注射によっては、「入浴してもかまいません」といわれるケースもあります。しかし、こうした場合も、素人判断は禁物。やはり注射の種類にもよるし、ただでさえ病気によって体力や抵抗力が弱っている状況が多い。お医者さんによく確認することが大切です。
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検査で放射線を浴びるのが気になるあなた。では、放射線を体の中に入れるのはますます怖い気がするけれど、現実にそういう検査があるといったらどう思うでしょうか?
ふつうのⅩ線検査は、放射線を外から当てて体の異常を発見するわけだが、今注目されているシンチグラフィー(RI検査、核医学検査ともいう) は違います。これは、放射線を発する物質を用いた薬剤を静脈注射などによって注入、あるいは投与し、体の中から出てくる放射線をフィルム上にとらえるのです。ちなみに、放射線を発する物質をラジオアイソトープ(放射性同位元素) といいます。
さて、では放射線は、どのようにして体の中に入っていくのでしょうか。まず、投与された薬剤はいったん全身にゆきわたってから、次第にお目当ての臓器に集まっていきます。そして、ガンマカメラという、体内に入った放射線を検出し、画像に映し出す装置で、たとえば臓器の形や血管の異常を調べたりします。
薬剤が集まっていく、というと不思議に思うかもしれませんが、この放射性同位元素というのは、その名のとおり元素の一種なので、たとえば、そのお目当ての臓器が特に必要とする、特定の栄養素の分子構造にまぎれこませることができるのです。すると通常の元素でできた栄養素と同様に、体の方が自動的に運んでいってくれるのです。
そのため、検査する臓器や病気の内容によって薬剤の種類も違います。
とまあ、こんなわけで、臓器によって集まってくる時間も違うため、撮影の日も半日後とか3 日後になります。そのかわり、臓器の大きさ、形態はもちろん、薬剤が吸収される様子、排泄のされ方などまで、臓器の機能をつぶさに診断できるのです。
実際の効果の面でいうと、従来の検査法では見つけにくかった甲状腺疾患や、固い骨の内部、ガンなどのリンパ節転移の状況チェックなども可能になり、シンチグラフィーの応用範囲は実に広いのです。
では、本題に戻って、一度体内に入れた放射性の薬剤はどうなるのでしょうか。放射性の物質を体内に入れるわけだから、患者自身が被曝するのはあたりまえだが、その被曝量は、最も多く使用されているテクネシウムという薬の場合で約5 ミリシーベルトと特に問題になる量ではありません。また、テクネシウムが発する放射線の量は、約6時間で約半分にまで落ち、その後徐々に減っていきます。
個人差はありますが、半日もたてば体内の放射線はまったくといっていいほど検出されなくなります。一方、薬剤そのものは、排泄されればそれでおしまい。体内に残ることはないので、心配無用です。
たとえば、病気は早期発見、早期治療が叫ばれていますが、人間ドックにはいっていれば安心と思っている人も多いかもしれません。
国立がんセンターの調査によれば、日本人の場合75歳までにガンにかかる確率は30%。男性では10人に1人が胃ガンにか' かるといわれます。
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ところが、別の調査によると、人間ドックでの胃ガンの発見率は約0.1% 。半日ドックに限っては、それをさらに下回るというのです。
10人に1人が胃ガンにかかるというのに、1万人受診して見っかるのは10 人出るかどうか。なんとも頼りない数字に思えてしまうのは当然です。
また実際に、毎年のドックでは「異常なし」を誇っていた人が、半年後にはガンで入院する、なんてケースも現実によくある話です。
聞けば、人間ドックでガンが見つかると医局では「オーッ」という感嘆の声が上がるとか。「よく見つかったもんだな」と、病院側も驚いてる、というわけです。それくらいドックでガンが見つかる確率は低いのです。
このガン発見率の低さにはいくつかの理由があるのです。実は、人間ドックの1 回の売り上げはたかが知れているため、病院側も一挙に何人も診察する薄利多売にある程度はならざるを得ないのです。お客である患者さんの側は、ゆっくり時間をとって検査を受けにきているつもりだが、病院の側では、集団検診をやっているようなものなのです。そうなると、次から次へと流れ作業でこなさなければならないから、とても1人1 人ていねいに診察というわけにはいかなくなりがち。こうした事情がひとつです。
また、正確には、10 人に1人が胃ガンになるとはいっても、それは75歳までにということなので、〝検査を受けたその時点で″なっている、とは限らないこともある。しかし、それをいったら、そもそもドッグで発見することを期待していいのか? という気がしないでもないのです。
だから、われわれが注意したいのは、まず第一に、人間ドックの過信は禁物ということです。人間ドックは、あくまで病気になりやすい臓器をひととおりサラッとチェックする、車の車検のようなものだ、くらいに考えておいた方がよいでしょう。
その上で、この機会を利用する賢いやり方を紹介しよう。通常のドックのメニューのほかにオプションをつけてもらうのが賢明です。
方法は簡単。問診の際や検診カードの記入時に、たとえば「偏頭痛がする」「肩こりがひどい」「いつも喉が渇く」など、日ごろ気になったことをできるだけ細かく述べる。あるいは、肺の喀疾検査、食道の造影、といった具合に、漠然とでも気になっていることの検査内容を加えてもらうのがいいでしょう。
自覚症状というのは、何にも勝る具体的な手がかりです。多少時間や費用は増えるが、それだけ病気の早期発見に効果があるはずだですまた、どうせドックに入るなら、こうしたオプションを多く備えている病院を選ぶのも重要なポイントになるでしょう。
X線写真を撮ろうとして死んでしまう、といったら信じるでしょうか?X線検査中の事故で、これまで最も多いのが「造影剤によるショック症状」ですが、これは、すい臓や胆のうなどのX線撮影のために注射された造影剤が原因です。
吐き気や嘔吐、悪寒、じんましんなどのアレルギー症状があらわれ、まれに意識を失ったり、死亡する場合もあるのです。非常に怖い医療事故です。
もちろん、だれにでも起こるものではないのだが、逆にいえば、あなた自身、自分がそうした体質でないことを知っているとは限らないのです。現に自問自答してみれば、おおかたの人は自信がないでしょう?
ちなみに、X 線は気体や皮下脂肪、水、カルシウムなどにはよく通ります。そのため、肺は中の空気が黒く写るのでよくわかり、骨は白く写るのでよく見えます。これがいわゆる単純Ⅹ線撮影といわれるものです。ところが、筒状や袋状の構造の臓器は、Ⅹ線がそのまま通ってしまい、内部の形がはっきりしないのです。そこで、そうした臓器を撮影するときは、臓器に応じた造影剤を注入し、その流れるところを撮影します。問題なのは、こうした造影剤の成分のひとつであるヨード化合物がアレルギーを起こす原因となってしまうのです。
もちろん、事前に同じ注射液で一応アレルギーテストは行います。しかし、その量はわずか2cc程度です。撮影時は一度に40~100ccを注入するので、これでいざ本番も大丈夫かというと「心配」というお医者さんもいます。とにかく、必要があってすることにしても、検査でショック死なんて、本末転倒な話です。
最近はヨード化合物ではなく、危険の少ない非イオン性の造影剤を使う病院も増えています。特に、大きな病院ではこちらを使っているところが多くなってきています。だから、必要以上におびえることはなさそうだが、念のため病院にヨード化合物の造影剤を用いる検査なのか事前に問い合わせてみるのも大切です。いずれにしても、検査を受ける前には、お医者さんに「アレルギーが出ることもあるそうですが」と、あらためてきちんと問いただしておくべきでしょう。特に薬剤などのアレルギー体質がある人は必ず申し出ることが自分の命を守ることにもなるのです。
最近では、CTスキャン( コンピュータ断層撮影CT検査)というのがかなり普及してきました。非常に有効な検査法としてご存じの人も多いことかと思います。
それまでのレントゲン写真と違って単純に影を写すのではなく、この検査法は、これまで見ることが不可能だった体の中の状況を、傷つけることなく断面図という形で見せる検査としてとても優秀ですが、が、このC Tスキャン、Ⅹ線を使わない検査と思ってなかったでしょうか?
こうしたハイテクっぼいイメージと、通常、名称「レントゲン」とか「Ⅹ 線」といった言葉がつかないため、そう思い込んでいる人がわりと多いのだが、実はこのCT スキャンも、一番多く普及しているタイプのものはⅩ線C T といって、Ⅹ線を浴びせて調べる検査なのです。
ということは、当然、被曝することには変わりない。レントゲン撮影同様、放射線について注意を払わねばならない検査のひとつなのです。
では、その量はというと「Ⅹ線CTはふつうのⅩ 線撮影より被曝量が少ないですよ」などと、平気な顔をしていう医者もいるが、とんでもない。事実は正反対なのです。
このC T スキャンは、人体を輪切りにするような感じで、約l センチおきに次々とⅩ線を当てるのである。それで得た情報をコンピュータで解析して断層画像(断面図)を合成するもです。
さて、ちなみに、これまでの項で述べてきた被曝量の基準などは、国によって異なります。日本人の放射線診断での被曝量(放射線診断をした人が浴びた放射線の量を国民の数で割ったもの。国民線量という) は、国民1人あたり約2 ミリシーベルトといわれていますが、これはイギリスやスウェーデンなどの他の先進諸国に比べて数倍も高くなっています。
一方、医療従業者に対する被曝限度値も、国際法では年間20 ミリシーベルトと、日本の50 ミリシーベルトよりもはるかに少ないのです。
必要ではあっても、基本的にⅩ線は体に害のあるもの、という認識をふまえて検査に臨むのがいいでしょう。特に、違う病院でレントゲンやCT検査をする場合には、前もって、「×× (疾患名) のため、●●(体の部位) のレントゲンを、いついつに撮りましたが... 」と、自分から伝えることをおすすめします。こればっかりは、聴診器をあてれば聞こえてくるというものではないからです。放射線からは、自分の身は自分で守る、という態度を貫くのが自分の為です。
いい病院の条件として「最新の設備が整っている」という点をあげる人も多いです。特に検査をする場合には最新機器を揃えた大病院できめ細かく調べてもらったほうが安心です。
また、それを見越して高価な機材をうたい文句にしている病院も多数あります。しかし、ことⅩ線に関する限り、それはあまり意味がないのです。
つまり、高価で新しい機械なら1 回の検査で放射線を浴びる畳も少なくてすむ、というわけではないのです。では、1 回に浴びる放射線の量をできるだけ少なくするにはどうしたらいいのでしょうか。なんと、これは機械のよしあしではない、ひとえに検査にあたる技師の腕にかかっているというのが真実です。
ふつうレントゲン撮影というと、胸や胃や腸を撮った1枚の写真を思い浮かべます。特に胸のレントゲンなら、「ハイ、息を止めて」でパシャとそれだけ。この程度の被曝量などは大したことはありません。問題はバリウムや造影剤を使って内臓の働きを見る検査。専門用語でいう「透視」です。
ちょっと家庭用ビデオを思い出してほしい。電源をO N にすると画面が見える。撮影者はファインダーをのぞきながらチャンスを待つ。いい場面がきたら初めて撮影のスイッチを押します。もちろんその間、電源はつけっばなし。これと同じことが「透視」にもいえるのです。
たとえばバリウムを飲みながら体を横にしたり寝かしたりします。実はこのとき、写真は撮ってはいけません。適当なところで「ハイ、ちょっと動かさないで」と、ガラスの向こうから技師が声をかけるでしょう。そこで初めてシャッターが押されるわけです。
1 回の検査で撮影される写真は10 枚〜20枚。その間ずっと技師の前にあるモニターにはあなたの内臓が写りっばなし、つまり、Ⅹ線は照射されっばなしというわけです。だから、そこで問題になるのがレントゲン技師の腕、ということになるのです。
優れたカメラマンと同じく、腕のいい技師はシャッターチャンスを逃さない。モニターを見ながらここぞというポイントを素早くとらえて撮影する。ところが逆に下手な技師はなかなか写真にふさわしい箇所を見つけられない。当然、ダラダラと透視を続けることになり、被曝量も多くなるというわけだ。では、いい技師にあたるにはどうしたらいいか。最善の方法は、病院の内部に知り合いをつくった上で、指名することだが、現実にはなかなかそうもいかないでしょう。やはり、通常からその検査を多く行って熟練している、専門の病院に行くのが順当ということになります。こと医療に関しては「最新」ということにありがたみを感じがちだが、こうした人間的な問題も重要な要素です。
1回のレントゲン撮影で浴びるX線の量が、別に人体に害を及ぼすほどではないことはわかりましたた。
となると、年1 回の健康診断くらいなら、安心してレントゲン撮影もできる。だが、それが年1回ではすまなくなると、どうでしょう?。前述のレントゲン検査技師の話のように、1回の被曝量だけで考えるわけにはいかないのが放射線です。
現代は、なんでもかんでもレントゲン検査であることは否定できません。
X線撮影を行った場合、同じ病院では通常1週間は間を開けるような措置がとられている。が、その間に、あなたは歯医者に行き、歯のレントゲンを撮ることになるかもしれません。
ここでちょっとシミュレーションしてみましょう。たとえば、胃の調子が悪い、下痢気味だ、それに腰痛も近ごろひどくなったとする。現代人ならこの程度の症状の併発はよくあることです。
そこで、この病因を調べるためにレントゲンを撮って調べてみましょう、ということになるのは必然です。考えられるレントゲン検査は、胃・食道・大腸などの粘膜の病変を探るⅩ線二重造影法など。それこそ納得いくまで、何度でも X線を浴びることができるのです。
さらに、もし内臓に問題がなければ骨か? ということで、今度は骨のレントゲンです。さいわい、検査の結果に異常は見られなかった。しかし体調は相変わらず悪い。で、今度は知り合いのすすめに従って、病院を変えてみることになります。
そしてそこでもまた、ひととおり検査をする。が、やはり異常なし。どうも納得いかない。じやあ、今度は権威ある大学病院で。いかがでしょうか、あながち現実味のないなりゆきではないはずです。
ちなみに、こうした病院を次々に変える現象で、それが特に頻繁な人を、医療関係者の間では「病院渡り鳥」などということがあります。納得のいく病院を見つけること自体は、全然悪いことではないのだが、この被曝量だけは気をつけた方がいいでしょう。
ちょっと皮肉めいた言い方だが、「検査好きは被曝好き」ということにもなりかねない。現実に「病院渡り鳥」の言葉とセットで、よくある話なのです。
加えていうならば、前述の「放射線診療従事者」には、年間の放射線被曝量の限度値は決められているが、患者に対しては定められていない。自分で受けた検査や治療での被曝量についかみては、お上は面倒を見ない(見切れない) よ、というのが現状なのです。
ただ、現在のレントゲンは20 年前と比べて、放射線量が極端に少なくなってきており、年に4 〜6 回くらい検診を受けてもなんら問題はない、というお医者さんもいることをつけ加えておきましょう。
では、「浴び過ぎ」を未然に防ぐには? 次にそのポイントと、われわれ一般人が引っかかりがちな盲点について紹介しよう。
「はい、それではレントゲンを撮ります!」
さっきまで検査の段取りを大急ぎで説明してくれた検査技師は、そそくさとぶ厚い扉を閉めて、今は窓の外に移動します。残されたのは、広い部屋にでっかい機械と検査衣姿の自分1 人。
こんなとき、あなたは疑問に思ったことはないでしょうか。「なんでレントゲンの検査技師は、いつもわざわざ部屋の外に出るのだろう? 」おそらく、この疑問に続いて、あなたの頭に浮かんでいた憶測は、正しい。ズバリ、「いっしょに放射線を浴びたくない、浴びると体に危険だから」あなたはいつも、レントゲンの検査技師が危険だと外に出てしまうような検査を受けているこちは間違いありません。
ちなみにⅩ 線の検査技師がいる病院の場合などで、現在のようにⅩ線を照射する(当てる) 部屋と操作する部屋を分離させる方式が定着したのは、ほんの25 年ほど前からのことである。若い人は記憶にないかもしれないが、以前レントゲンの検査技師は、野球の審判のようなプ厚い鉛のエプロンをつけて、撮影室に立ち会っていた。それがあまりに重く不自由であったことと、やはり放射線をカットしきれないことから、現在のような形になったという経緯があります。
当時はもっとロコツだった、ともいえる(現在でも、患者のそばに検査技師がつき添わなければならない特殊な検査では、鉛のエプロンをつける)。
では、ここでレントゲンの検査技師の言い分も聞いてみよう。医療において、放射線や放射性物質を取り扱う人々は、労働法令上「放射線診療従事者」と呼ばれ、年間に浴びる放射線の線量を厳しく管理されている。彼らが浴びてもよいとされる、年間の放射線の限度値は50 ミリシーベルトである。簡単にいって、これを守らないと仕事をさせてもらえないからなのである。50 ミリシーベルトは胸の単純Ⅹ線撮影の500回分に相当する。仮に1 日にたった5 枚しか仕事をしないとしても100日分。中規模以上の病院なら、たしかにあっという間に限度を超えてしまいそうな数なのです。
ただし、この法令には、もっと驚くべき背景があのです。法令が定まる前は、先ほども書いたとおり技師もレントゲン室に入り、患者といっしょに放射線を浴びていました。
ところが、患者は1 人とは限らない。日に何人もⅩ線検査をすれば、それだけばく技師の「被曝量」もかさんでいくのは明白です。そうして、放射線技師や放射線治療を行う医師には、現実に体に障害の出る者も少なくなかったのです。
病院で不安を感じる象徴的な1 シーンには、こういう事情があってのことだったのだ。とまあ、とりあえず立場の異なる患者にとっては、やはりこの点では心配はありません。
1回のⅩ線撮影で浴びる放射線量は50ミリシーベルトどころか10 ミリシーベルトにも達しないのです。とはいえ、この法令、1回1回については問題にならないにしても、過剰に積み重なれば危険性がある、ということをはっきり示したもの、ともいえるでしょう。
さらに余談ながら、被曝量の「曝」の文字について。お気づきの人もいるでしょうが、普通はヒバクというと「爆」の字を使うのが正解です。しかし医療の世界では、原水爆の被害を受けることと一線を引き、印象をソフトにするため、あえて、この字をあつらえて使っているのである。こうしたことをふまえた上で、あちらはお仕事、こちらは健康のためと割り切って、しつかり検査してもらうことにしよう。
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どんなにⅩ線検査が一般的になっても、放射線イコール「核」というイメージは私たちの頭に根強く残っています。これは広島や長崎での民族的衝撃が、いまだに後を引いていることが大きく影響しているように思います。
しかし現実には、その経験があるからこそ、豊富なデータにより放射線の安全性や有効性に関する研究が進んでいるのです。(注・Ⅹ線は放射線と厳密には違うのだが、医療ではほぼ同じものを指していると考えてよい)いまだ「レントゲンを浴びると白血病になる」とか「ヤケドしたらどうしよう」といって、かたくなにただのⅩ 線検査さえ受けようとしない人がいるのですが、これはまったくの誤解です。
さて、Ⅹ線が人体になんらかの影響を与える、とされる量は、250ミリシーベルトから、といわれます。しかしこの数値さえも、いっぺんに全身に浴びた場合に、一時的に白血球が減少する、という程度のものですぐに回復します。
ただし、1 0 0 0 ミリシーベルトにまでなると、吐き気や嘔吐などの症状がともないます。
ちなみに、シーベルトとは、ただ単純に放射線の量をあらわすのではなく、人体に及ぼす危険の程度をあらわす単位のことです。
では、具体的にⅩ線検査の場合はどれぐらいの量になるのか20というとたとえば胸の単純Ⅹ線検査(われわれが検診などで受ける一般的な胸のレントゲンのこと)で1 回に浴びる量は、わずか0.1ミリシーベルト。
放射線によって被害を受けるには、胸のレントゲン写真を2500枚撮影する勘定になります。
また、妊娠中の危険性についてもよくいわれることだが、これも100ミリシーベルト以上のⅩ線を、妊娠2 〜8週の時期に浴びた場合に問題にされます。
「妊娠中または妊娠の可能性のある方は...」と検査室の壁に大きく注意書きがあるのは、あくまでも万全を期する、ということが主眼。素直に申告して、お医者さんの判断に任せておいてまちがいありません。
まさか1000枚ものレントゲン写真を撮る妊婦がいるはずがないから、その点だけでは、まず心配はないでしょう。「その点だけでは」なんて、なんか気になるいい方じゃないかって? そのとおり。
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お医者さんは注射をする前に、必ず注射器を上へ向けて、ピュッと数滴液を押し出します。あれはなんのためにそうしているのかというと、注射器の中に残った空気を外へ出すため。血管に空気が入ってしまうと死に至るケースがあるからです。
なぜか?
わずかな空気なら細かい泡となり、やがて吸収されてしまうのですが、もし血管に多量の空気が入ると、体内に入った空気の球が吸収されずに、血管をふさぐ「空気塞栓」という事態に陥り、重要な器官への血流をストップしてしまうことがあるるのです。
だから、医者のあの動作はおまじないでもなんでもなく、ちやんと意味のあることなのです。
もちろんこれは点滴の際にもいえることだから、新米ナースが一度はずれた針を再度刺し直すときなど、「はぁ、大丈夫か?」と、ちょっと気になりますね。
といっても、「空気塞栓」で死に至るための空気の量は約20 ∝。これは、およそ通常の注射液の1 回分の量です。つまり、注射器の先の、ほんの少しの空気が入ったぐらいで、死ぬことはまずな、J OLV通常の医療では、そんなに神経質になる必要はないので心配無用です。
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大手術ならともかく、「たかが検査」で命を落としては笑い話にもなりません。しかし、そういう人が、実は毎年毎年いるとしたら?驚いてしまいますが、本当の話です。
副作用とか、事故とか、こうしたことは検査には無縁のようでいて、実は大アリなのだです。体内に薬剤を注入もすれば、放射線も使います。
場合によっては、体内に機器を入れたり、身体組織の一部も切り取ることもあります。
目的は検査ですが、実際の作業では、ほとんど手術や治療とかわらない体の扱いをするものも多いのが実情です。患者側の負担は増える一方です。今のところ健康だけど、念のため受けておくか、なんてときでも重要注意の話。
胃のレントゲンを撮るときに飲まされるバリウム。まだ未体験の人もいるでしょうが、健康診断、人間ドックをはじめとして、これからも飲む機会がありそうな、胃の検査の必須アイテムでです。
ところで、「あの白いドロドロの液が誤って肺に入ると死ぬ」という、ちょっとおっかない噂を耳にしたことはないでしょうか?
ホントのところどうなのか、気になるところです。答えを先にいってしまえば、たしかに肺に入ってしまえば死ぬでしょう。
現に、毎年数人がバリウムの誤囁(あやまって食道に入るべきものが気管の方に入ってしまうこと) によって亡くなっている人はいます。そもそも、胃や腸など、袋状や管状になっている内臓は胸のレントゲンのような方法(単純X線撮影) では造影(画像として見える状態にすること) できません。
そこで、 線を通さないないこうバリウムを飲んだり、直接注入したりして影をつくり、内腔を撮影する、という方法をとるわけです。
ところが、このバリウム、水分が失われてくると固まる。まともに食道を通って胃に収まってくれればいいが、もし途中でむせたりして気管に入ってしまったりすると危険です。バリウムは気管支を通り、肺の内部で固まって窒息死、あるいは囁下性肺炎などをひき起こすということになります。
しかし現実は、よほどの量が入らない限りは大丈夫。少量入りかけたぐらいなら、ふつうはせき込んでいるうち、肺に達する前にもとの食道の入口に戻るのでご安心ください。また、亡くなる人がでるのは確かですが、その中心は体力がグッと低下したお年寄りです。
というのも、お年寄りというのは、囁下したり、せき込んだりする力が衰えているケースが多く、こうした〝間違い″ が起きやすいことが背景にあります。
ただし、若い人でも基本的には同じなので、注意するにこしたことはありません。ちなみに、検査後に下剤を飲まされるのも、腸の中でバリウはいせつムが固まってしまう前に排泄してしまおうという理由からです。便秘がちな人には、下剤に加えて水分を多めにとることをすすめられます。
下剤でもでない人はイサゴールがおすすめ!
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