1回のレントゲン撮影で浴びるX線の量が、別に人体に害を及ぼすほどではないことはわかりましたた。
となると、年1 回の健康診断くらいなら、安心してレントゲン撮影もできる。だが、それが年1回ではすまなくなると、どうでしょう?。前述のレントゲン検査技師の話のように、1回の被曝量だけで考えるわけにはいかないのが放射線です。
現代は、なんでもかんでもレントゲン検査であることは否定できません。
X線撮影を行った場合、同じ病院では通常1週間は間を開けるような措置がとられている。が、その間に、あなたは歯医者に行き、歯のレントゲンを撮ることになるかもしれません。
ここでちょっとシミュレーションしてみましょう。たとえば、胃の調子が悪い、下痢気味だ、それに腰痛も近ごろひどくなったとする。現代人ならこの程度の症状の併発はよくあることです。
そこで、この病因を調べるためにレントゲンを撮って調べてみましょう、ということになるのは必然です。考えられるレントゲン検査は、胃・食道・大腸などの粘膜の病変を探るⅩ線二重造影法など。それこそ納得いくまで、何度でも X線を浴びることができるのです。
さらに、もし内臓に問題がなければ骨か? ということで、今度は骨のレントゲンです。さいわい、検査の結果に異常は見られなかった。しかし体調は相変わらず悪い。で、今度は知り合いのすすめに従って、病院を変えてみることになります。
そしてそこでもまた、ひととおり検査をする。が、やはり異常なし。どうも納得いかない。じやあ、今度は権威ある大学病院で。いかがでしょうか、あながち現実味のないなりゆきではないはずです。
ちなみに、こうした病院を次々に変える現象で、それが特に頻繁な人を、医療関係者の間では「病院渡り鳥」などということがあります。納得のいく病院を見つけること自体は、全然悪いことではないのだが、この被曝量だけは気をつけた方がいいでしょう。
ちょっと皮肉めいた言い方だが、「検査好きは被曝好き」ということにもなりかねない。現実に「病院渡り鳥」の言葉とセットで、よくある話なのです。
加えていうならば、前述の「放射線診療従事者」には、年間の放射線被曝量の限度値は決められているが、患者に対しては定められていない。自分で受けた検査や治療での被曝量についかみては、お上は面倒を見ない(見切れない) よ、というのが現状なのです。
ただ、現在のレントゲンは20 年前と比べて、放射線量が極端に少なくなってきており、年に4 〜6 回くらい検診を受けてもなんら問題はない、というお医者さんもいることをつけ加えておきましょう。
では、「浴び過ぎ」を未然に防ぐには? 次にそのポイントと、われわれ一般人が引っかかりがちな盲点について紹介しよう。
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