放射線を体内へ

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検査で放射線を浴びるのが気になるあなた。では、放射線を体の中に入れるのはますます怖い気がするけれど、現実にそういう検査があるといったらどう思うでしょうか?

ふつうのⅩ線検査は、放射線を外から当てて体の異常を発見するわけだが、今注目されているシンチグラフィー(RI検査、核医学検査ともいう) は違います。これは、放射線を発する物質を用いた薬剤を静脈注射などによって注入、あるいは投与し、体の中から出てくる放射線をフィルム上にとらえるのです。ちなみに、放射線を発する物質をラジオアイソトープ(放射性同位元素) といいます。

さて、では放射線は、どのようにして体の中に入っていくのでしょうか。まず、投与された薬剤はいったん全身にゆきわたってから、次第にお目当ての臓器に集まっていきます。そして、ガンマカメラという、体内に入った放射線を検出し、画像に映し出す装置で、たとえば臓器の形や血管の異常を調べたりします。

薬剤が集まっていく、というと不思議に思うかもしれませんが、この放射性同位元素というのは、その名のとおり元素の一種なので、たとえば、そのお目当ての臓器が特に必要とする、特定の栄養素の分子構造にまぎれこませることができるのです。すると通常の元素でできた栄養素と同様に、体の方が自動的に運んでいってくれるのです。

そのため、検査する臓器や病気の内容によって薬剤の種類も違います。

とまあ、こんなわけで、臓器によって集まってくる時間も違うため、撮影の日も半日後とか3 日後になります。そのかわり、臓器の大きさ、形態はもちろん、薬剤が吸収される様子、排泄のされ方などまで、臓器の機能をつぶさに診断できるのです。

実際の効果の面でいうと、従来の検査法では見つけにくかった甲状腺疾患や、固い骨の内部、ガンなどのリンパ節転移の状況チェックなども可能になり、シンチグラフィーの応用範囲は実に広いのです。

では、本題に戻って、一度体内に入れた放射性の薬剤はどうなるのでしょうか。放射性の物質を体内に入れるわけだから、患者自身が被曝するのはあたりまえだが、その被曝量は、最も多く使用されているテクネシウムという薬の場合で約5 ミリシーベルトと特に問題になる量ではありません。また、テクネシウムが発する放射線の量は、約6時間で約半分にまで落ち、その後徐々に減っていきます。

個人差はありますが、半日もたてば体内の放射線はまったくといっていいほど検出されなくなります。一方、薬剤そのものは、排泄されればそれでおしまい。体内に残ることはないので、心配無用です。