いい病院の条件として「最新の設備が整っている」という点をあげる人も多いです。特に検査をする場合には最新機器を揃えた大病院できめ細かく調べてもらったほうが安心です。
また、それを見越して高価な機材をうたい文句にしている病院も多数あります。しかし、ことⅩ線に関する限り、それはあまり意味がないのです。
つまり、高価で新しい機械なら1 回の検査で放射線を浴びる畳も少なくてすむ、というわけではないのです。では、1 回に浴びる放射線の量をできるだけ少なくするにはどうしたらいいのでしょうか。なんと、これは機械のよしあしではない、ひとえに検査にあたる技師の腕にかかっているというのが真実です。
ふつうレントゲン撮影というと、胸や胃や腸を撮った1枚の写真を思い浮かべます。特に胸のレントゲンなら、「ハイ、息を止めて」でパシャとそれだけ。この程度の被曝量などは大したことはありません。問題はバリウムや造影剤を使って内臓の働きを見る検査。専門用語でいう「透視」です。
ちょっと家庭用ビデオを思い出してほしい。電源をO N にすると画面が見える。撮影者はファインダーをのぞきながらチャンスを待つ。いい場面がきたら初めて撮影のスイッチを押します。もちろんその間、電源はつけっばなし。これと同じことが「透視」にもいえるのです。
たとえばバリウムを飲みながら体を横にしたり寝かしたりします。実はこのとき、写真は撮ってはいけません。適当なところで「ハイ、ちょっと動かさないで」と、ガラスの向こうから技師が声をかけるでしょう。そこで初めてシャッターが押されるわけです。
1 回の検査で撮影される写真は10 枚〜20枚。その間ずっと技師の前にあるモニターにはあなたの内臓が写りっばなし、つまり、Ⅹ線は照射されっばなしというわけです。だから、そこで問題になるのがレントゲン技師の腕、ということになるのです。
優れたカメラマンと同じく、腕のいい技師はシャッターチャンスを逃さない。モニターを見ながらここぞというポイントを素早くとらえて撮影する。ところが逆に下手な技師はなかなか写真にふさわしい箇所を見つけられない。当然、ダラダラと透視を続けることになり、被曝量も多くなるというわけだ。では、いい技師にあたるにはどうしたらいいか。最善の方法は、病院の内部に知り合いをつくった上で、指名することだが、現実にはなかなかそうもいかないでしょう。やはり、通常からその検査を多く行って熟練している、専門の病院に行くのが順当ということになります。こと医療に関しては「最新」ということにありがたみを感じがちだが、こうした人間的な問題も重要な要素です。
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