痛い注射、痛くない注射

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前回の採血ではちっとも痛くなかったのに、今日の注射はやたら痛いこんな経験はないだろうか? やはりこれは、看護婦の技術の差なのだろうか?

そのとおり。実際、注射には皮下注射、筋肉注射、静脈注射など数種があり、なかでも筋肉注射が痛いです。また、その他の要素によっても痛みは違うのだが、同じ条件のものだったら腕の差といいきってもいいでしょう。

痛みを感じるメカニズムはこうだ。ご存じのとおり、ヒトの皮膚には、圧力や、温かい、冷たい、痛い、くすぐったいなどの刺激を感じる働きがありますこれは皮膚の表面に散らばっている「知覚点」によるもので、その種類は圧点、温点、寒冷点、痛点などに分かれ、それぞれ数も集中する場所も違います。

たとえば寒冷点は、1平方センチ当たり平均して腕や脚に約5個、顔面に1個、乳頭なら15〜20個、という具合です。だから同じ寒さでも手足はそれほど感じないが、胸のあたりはひどく強く感じられるというわけです。

これらの「知覚点」の中では痛点が最も多く、1平方センチ当たり200~300個に達するといわれています。やはりその数も部位によって異なり、背部(おしり)やおなかは少ないが、指先や顔面には多く、このため指先や顔面は痛みに敏感です。

とはいえ、じやあ知覚点をよけて注射を打ってくれといわれても、実際にはムリな話。むしろ注射の痛い痛くないは、看護婦さんの腕にかかっているのです。

たとえば静脈注射の場合、血管に針を入れるのだから、ななめに注射針を刺す。が、最初から針をねかすよりも、やや針を立てめにして刺してからねかす感じにした方が患者さんも痛くないし、スムーズにいく、というベテラン看護婦さんの詰もあります。

いずれにせよ、痛い痛くないは、同じ種類の注射なら、いかにスムーズに注射針を差すか、イコール看護婦さんの思い切りのよさにかかっているのです。やはり経験に裏づけされた自信のあるベテラン看護婦さんに打ってもらう方が痛くないのは言うまでもありません。

夫婦足して70歳なら羊水検査

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あなたは未婚? 既婚? お子さんは? やたら結婚や出産を先伸ばしにしようとする風潮がある現在、ちょっと気になる話をひとつ。

こんなデータがあります。染色体異常の子供が生まれる確率は、母親の年齢が20代で3000人に1人、30代で1000人に1人、40代になると300~400人に1人と、なんと約3倍ずっ上昇していくといいます。

晩婚と高年齢出産が増加する昨今、この数字はかなり心配です。結婚したけれど「子供は後で」という夫婦にこそ、一番ドキッとする問題かもしれません。

ところで、「羊水検査」という言葉を聞いたことがあるでしょうか? これは羊水、つまり母親の胎内で赤ちゃんをくるんでいる液体をとって、赤ちゃんや母体について調べる検査のこと。

羊水検査は、70年代に入って積極的に取り入れられるようになり、胎児に関するかなりの情報が得られるようになってきました。たとえばダウン症などの先天異常も、この検査でわかります。ここまで読んで「羊水検査ならオレには関係ない」と思った男性諸君も是非、聞いてほしいのです。

本題はこれからである。病院によっては、「夫婦の年齢」の合計が70歳以上の場合、羊水検査をすすめるところもあるのです。「うちのカミさんはまだ若いから」とはいってられない。ダンナの年齢も大いに関係するのです。

当然ながら、子供は1 人じゃつくれない。赤ちゃんの遺伝子の半分は男性からのものです。しかし、この羊水検査、直接受ける妊婦にとってはさまざまなリスクをようするものでもあるのです。羊水は母親の下腹部から細い針を刺して採取するわけだが、ごくまれに胎児に針を刺してしまったり、胎盤などを傷つけて流産や早産を誘発する恐れもあるのです。

また、熟練した産科医が慎重に行えばとても安全で確実な方法なのですが、それ以前にいろいろと難しい問題をはらんでいるのも事実です。検査を受けて安心したいのはだれしも同じだが、受ける必要性と同時に、もしそれとは逆の結果が出た場合どうするのか、夫婦でよく話しあっておくべきなのかもしれません。

胃カメラから胃テレビへ

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一般に、ツライ検査、気持ち悪い検査、というと、経験のある人もない人も、まず胃カメラを連想するようです。

そこで胃の検査についてだが、最近では少し様子が変わってきています。

ちょっとのぞいてみよう。ベッドの脇にテレビが据えられています。お医者さんは目の前にあるツマミやボタンを両手で微妙に操作しながら、食い入るようにテレビのモニターを見つめています。画面いっぱいになにやら無気味なピンクの洞穴が。

「ポリープがありますねえ。ほれ、ここ。見えますか? 」お医者さんに見えますかっていわれても、患者さんはベッドに横たわり、マウスピースをくわえさせられ、マグロ状態。それでもなんとか首を伸ばして画面をのぞこうとします。

そう、これが最近の胃の検査です。もちろん画面に映っているのは自分の胃です。「ハイテク」とか「バーチャル・リアリティー」という言葉を想像してしまうような検査です。

さて、胃カメラが最初に開発されたのは約30年前。先端に照明ランプと小さなカメラをつけたチューブを口から入れ、撮影したものを見て診断したのです。どんなに小さくてもカメラとストロボです。

それにいくら曲がるからといっても、太さ2cm近くのチューブ。これを飲み込むのは苦痛そのものでした。しかし、もっと以前は、もっと太い直線状の曲がらない管を、食道にズ〜ンと通して胃の中まで挿入する検査でした。

想像するだけでおえっとなります。昔の人はなんとガマン強いのでしょうか。ここで話を今に戻すが、グラスファイバーが発達した現在は、胃の検査での患者の苦しみもぐんと減りました。

喉のところに麻酔を流し込んでいるので、思わずおえっとなりにくいし、マウスピースを通して入る管は鉛筆くらいの太さ。無数の光ファイバーが束となっているのです。(ちなみに内視鏡検査というのは、チューブの先にのぞき鏡をっけた器具で体の内部を観察する検査の総称。胃ファイバースコープや、大腸ファイバースコープというものもそのひとつにあたる)先端についた、CCD (電荷結合素子カメラ) という極小のビデオカメラから送られる信号がファイバーを通ってモニターに映像化されます。

管にはいくつかの孔が通っており、検査によってその大きさや数が違います。もちろん写真撮影もできます。また、ひとつの穴から専用の極細紺子を入れ、もうひとつから麻酔のための注射針を入れ、「検査するから、じやあ今、組織を取りましょう」なんてこともできる(これは生検といって、細胞組織を取って顕微鏡で調べる検査のこと)。

それどころか、小さな病変ならその場で切除することも可能です。医者はモニター画面を見ながら、まるでゲーム機を扱うようにファイバーの先の器具を自由に操るのです。つまり、患者からソッポを向き、テレビに映る内臓を凝視しているのです。まさに胃カメラではなく胃テレビの時代。ああ、医学の進歩です。

胃が出している小さなサインを見逃さない

ちょっとズレて肝臓を一刺しされる場合も...

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胸を刺す、などと言われれば誰でも少なからずドキッとするのが普通でしょう。一方、レバ刺し、というとお好きな人には、別の意味でワクワクするたまらない言葉でしょう。

冗談はさておき、現実の検査で、本当にブスッと胸に針を刺すことがあります。簡単にいえば注射針を刺して胸水を吸い上げ、その性状を調べる検査です。

胸水とは、胸膜腔(胸と胸壁の間)に溜まった水のことです。少しなら正常な人間にもあるのですがX線写真で見てもわかるほど溜まっていたら、病気の一症状として詳しい検査が必要です。

ところが、この胸水検査、トレーニングを積んだ医者が行えばなんの心配もないのですが、研修医や慣れない医者が針を刺すときは要注意です。

胸に溜まった水を抜き取るつもりで、肝臓を刺してしまったというミスが、案外日常的に起きているのです。肝臓は血液に富んだ臓器だから、万が一、大きな血管を傷つけてしまうと出血多量で死亡というケースも現実にありうるのです。

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ちょっと軽目の話をひとつ。最新機器MRIの直径はわずか80 cmほど。筒状の機械の中に頭から足の先まですっぽりと差し込まれる格好で検査します。

痛みがあるわけでなし、別にたいしたことはなさそうだが、これは人によってかなり苦痛になってしまう。足もとはわずかに開いているものの、ほとんど簡形ののお棺の中にいれられたような感じで、顔の部分に窓があるわけでもない。そして、体の上、右、左を至近距離でぐるりと囲む円筒形の壁。

体を起こすことはもちろんどこにも逃げ場がありません。そんな状況下で検査時間は約50分。しかもその間動くことはおろか横を向くこともできません。

実際、閉所恐怖症の人などはガマンできずに途中で「出してくれ〜」と叫ぶ人もいます。内視鏡検査などとは一味違う苦痛です。

最近は、片側だけが開いているMRIやメガネをかけて狭さを意識させないなどのMRIも登場しているので割と誰でも受けられるようになってきています。

オープン型MRI.jpg

【オープン型MRIなら閉所恐怖症の人も検査が可能です】

現在、日本人の死因第3位は、脳血管障害によるもの。脳卒中はその典型的な例です。今は心配する気などカケラもない人も、いずれあの世に行くときお世話になる(? )候補のナンバー3 です。

X線CTやMRIが普及してきたおかげで、これまで難しかった脳の検査が簡単に、しかも安全に受けられるようにりました。脳ドックを行う病院も急速に増えています。

ところが、ここでまた新たな問題が出てきたのです。MRIによる断層撮影検査では、脳にできたほんの数ミリ程度の動脈瘤も発見できるのですが、もし発見したとして、手術をしてそれを取り除くことをすすめるかどうか、という点です。

脳にできた動脈瘤(脳動脈瘤という)とは、脳の動脈の一部がこぶのようにふくらんだ状態のことです。このふくらんだ部分が、動脈の内圧に耐えきれなくなると破裂し、脳卒中の一種であるくも膜下出血や、ときには脳出血 を引き起こします。

だからそうなる前に手術してしまおうか、ということになります。とはいうものの、まだこの段階では自覚症状はおろか、脳内の血流になんの問題もないのです。つまり、将来それが原因でくも膜下出血や脳出血が起こるかどうか、わからないのです。

たとえるなら、あなたの脳の中の、不発弾の可能性もある時限爆弾、といったところです。起こるかどうかわからない脳卒中のために、わざわざリスクを背負って手術をするべきかどうか?

しかも、この小さな動脈瘤、検査を受けた人の中に、かなりの割合で存在するのです。今のところ、その判断は医者に委ねられているのです。患者に動脈瘤の有無は伝えるが、小さなものはそれ以上大きくならないよう、食生活の改善や高血圧予防など、日常の摂生を呼びかける程度が一般的です。

もちろん、理屈でいえば、知らずにますます大きくして手遅れになるより、知っておいた方がいいでしょう。しかし、気分的には微妙なところではあるのです。高性能機材で全部わかってしまうのも、痛しかゆしというのが現代の医学の実情なのです。

高中性脂肪血症もリスクのひとつです。

MRIによる死亡説

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X線を用いないコンピュータ断層撮影検査として、その安全性が強調されているMRI(核磁気共鳴映像法)。最近では知ってる人もかなり多くなった検査法のひとつで、CTよりさらに詳細なデータが見られます。

これは電磁波を応用する検査法なので、たしかにレントゲン検査などと違い、「被曝」の心配はない(「核磁気」とあるが、この「核は放射線を出すいわゆる核物質のことではなく、どんな物質にもある原子核のことを指している)。

が、いわば超強力な磁石の中に人体を置くようなもの。ペンやメガネなど金属はすべて取り除いておかないと、まちがいなくビュンと飛んでいってしまいます。その強力さを物語る一例に、検査室に置いてあったパイプ椅子がたちまち吸いついて離れなくなったというウソのような本当の話まであるほどです。それだけものすごい磁力が体にかかるとなると、体に対する影響はホントにまったくないのか、と気になってくるでしょう?。実は、これにも体に「なんらかの影響″」があります。

なんと、場合によっては死に至る危険すら、MRIにはあるのです。というのも、メガネやアクセサリーといった、身につけた金属ならはずせばすみます。しかし、体の中に入っている「金属」はどうしようもない。たとえば、心臓ペースメーカー、人工弁など。これらをつけている人は、もちろん検査を受けることはできません。また、戦時中の軍需工場で鉄粉が目に残っていたことを知らずに、数十年たってMRI検査を受けた人が、磁気によって失明してしまった、というケースもあります。

ほかにも、つい先ごろメキシコで、止血のため脳内に残してあったクリップが検査中に飛び、死亡するという報告もあったばかりです。

とはいえ、MRIは金属に関する厳重な注意さえ怠らなければ、画像が鮮明で細部にわたり映像化でき、しかも人体に無害、ということなので、特に脳や脊髄の分野で圧倒的な評価を得ているのです。実際、MRIは高価な機材なので、現在のところはまだ設置している病院も限られていますが、今後はますます利用価値の高いものになっていくはずです。

予防接種が命がけとは?

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病気にならないために受けるのが本来の予防接種の役目です。しかし、それで逆に病気になってしまうこともあるのです。

その実例です。前述のとおり予防接種とは、病原になる微生物、あるいはそれがつくる毒素に種々の処置を加え、毒性を弱くしたもの(ワクチン)を人体に接種することで抵抗力(免疫) をつくる方法です。はじまりは18世紀末、あえて自分の子供を実験に使った逸話で有名なジエンナーの発明です。

以来、現在でも結核、ジフテリア、風疹などさまざまな予防接種が行われ、効果を発揮しています。しかし、その有効性と引き換えに、発熱や吐き気、悪寒など軽いショック症状を起こす場合があるなど、やはりそのリスクを100% ぬぐいさることはできないでいます。

さて、そこで特に最近問題になったのが「第三種混合ワクチン」と称されるものです。これまでにもジフテリア・破傷風・百日咳をいっしょにしたDPT 三種混合ワクチンや、腸チフス・パラチフスの2 種混合まなど、使用しやすいようにつくられた混合薬剤があったが、麻疹(はしか)、風疹(みっかばしか)、流行性耳下腺炎(おたふく風邪) のワクチンを混ぜた第三種混合(MMRという) は、これらに次ぐ効果的なワクチンとして注目されていました。

かし、MMR が導入されてまもなく、髄膜炎という病気になった患者が発見されたため、平成5年には厚生省から各都道府県に対し、事実上使用見合わせの通知が出されたのです。

3 つの病気の種類を見ても、MMR が実用性が高そうなことしろうとは、素人でもわかります。しかし、打ってみないとホントのところはわからないのが、新型ワクチンの弱みなのです。

予防接種して入浴すると...

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小学生のころ、予防接種をした後に、「お風呂に入ってはいけませんよ」といわれた経験があると思います。大人になっても、海外旅行の前にコレラの予防接種を受けたときなどしっかり念を押されます。では、言いつけにそむいて入浴したならどうなるのでしょうか?

気になるところであるが、これは現実に、かなりの危険行為といえるのです。さて、この予防接種の中身、ワクチンとは、病原微生物の毒性を弱めたものです。これを人体に接種すると、その毒素に対する抵抗力が体の中にできます。これを「免疫」といいます。

一度この免疫が完成すれば、その後同じ病原体による感染が起こったときも発病しない。あるい収発病しても軽くてすむのです。この原理を応用したのが予防接種です。ちなみに「予防注射」という言葉もよく耳にすると思いますが、これは予防接種を皮下注射するやり方。ほかにも「ハンコ注射」などといわれているBCGなどがあります。

つまり、一時的でわずかではあっても、当の病原そのものを体内に入れるのだから、発熱や吐き気、悪寒など軽いショック症状を起こす場合も現実に多く、接種時には十分な健康管理が必要なのです。ただでさえそんな状況で、もし入浴して血行♯がよくなったり、急激な温度変化にさらされたりすると、免疫ができ上がる前に、その病原体が本来の毒性に近い力をとりもどし、計算外の悪さをする可能性があるのです。

予防接種した日は入浴しない、というのは、こうした理由からくる「予防のためのまた予防」の端的な一例なのです。だから、よくよく記憶を掘り返してみると「今日明日は、おとなしくしているように(安静にしているように)」なんてこともいわれていたはずです。

また、そうしたことから、予防接種ではない通常の治療のための注射によっては、「入浴してもかまいません」といわれるケースもあります。しかし、こうした場合も、素人判断は禁物。やはり注射の種類にもよるし、ただでさえ病気によって体力や抵抗力が弱っている状況が多い。お医者さんによく確認することが大切です。

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放射線を体内へ

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検査で放射線を浴びるのが気になるあなた。では、放射線を体の中に入れるのはますます怖い気がするけれど、現実にそういう検査があるといったらどう思うでしょうか?

ふつうのⅩ線検査は、放射線を外から当てて体の異常を発見するわけだが、今注目されているシンチグラフィー(RI検査、核医学検査ともいう) は違います。これは、放射線を発する物質を用いた薬剤を静脈注射などによって注入、あるいは投与し、体の中から出てくる放射線をフィルム上にとらえるのです。ちなみに、放射線を発する物質をラジオアイソトープ(放射性同位元素) といいます。

さて、では放射線は、どのようにして体の中に入っていくのでしょうか。まず、投与された薬剤はいったん全身にゆきわたってから、次第にお目当ての臓器に集まっていきます。そして、ガンマカメラという、体内に入った放射線を検出し、画像に映し出す装置で、たとえば臓器の形や血管の異常を調べたりします。

薬剤が集まっていく、というと不思議に思うかもしれませんが、この放射性同位元素というのは、その名のとおり元素の一種なので、たとえば、そのお目当ての臓器が特に必要とする、特定の栄養素の分子構造にまぎれこませることができるのです。すると通常の元素でできた栄養素と同様に、体の方が自動的に運んでいってくれるのです。

そのため、検査する臓器や病気の内容によって薬剤の種類も違います。

とまあ、こんなわけで、臓器によって集まってくる時間も違うため、撮影の日も半日後とか3 日後になります。そのかわり、臓器の大きさ、形態はもちろん、薬剤が吸収される様子、排泄のされ方などまで、臓器の機能をつぶさに診断できるのです。

実際の効果の面でいうと、従来の検査法では見つけにくかった甲状腺疾患や、固い骨の内部、ガンなどのリンパ節転移の状況チェックなども可能になり、シンチグラフィーの応用範囲は実に広いのです。

では、本題に戻って、一度体内に入れた放射性の薬剤はどうなるのでしょうか。放射性の物質を体内に入れるわけだから、患者自身が被曝するのはあたりまえだが、その被曝量は、最も多く使用されているテクネシウムという薬の場合で約5 ミリシーベルトと特に問題になる量ではありません。また、テクネシウムが発する放射線の量は、約6時間で約半分にまで落ち、その後徐々に減っていきます。

個人差はありますが、半日もたてば体内の放射線はまったくといっていいほど検出されなくなります。一方、薬剤そのものは、排泄されればそれでおしまい。体内に残ることはないので、心配無用です。