現在、日本人の死因第3位は、脳血管障害によるもの。脳卒中はその典型的な例です。今は心配する気などカケラもない人も、いずれあの世に行くときお世話になる(? )候補のナンバー3 です。
X線CTやMRIが普及してきたおかげで、これまで難しかった脳の検査が簡単に、しかも安全に受けられるようにりました。脳ドックを行う病院も急速に増えています。
ところが、ここでまた新たな問題が出てきたのです。MRIによる断層撮影検査では、脳にできたほんの数ミリ程度の動脈瘤も発見できるのですが、もし発見したとして、手術をしてそれを取り除くことをすすめるかどうか、という点です。
脳にできた動脈瘤(脳動脈瘤という)とは、脳の動脈の一部がこぶのようにふくらんだ状態のことです。このふくらんだ部分が、動脈の内圧に耐えきれなくなると破裂し、脳卒中の一種であるくも膜下出血や、ときには脳出血 を引き起こします。
だからそうなる前に手術してしまおうか、ということになります。とはいうものの、まだこの段階では自覚症状はおろか、脳内の血流になんの問題もないのです。つまり、将来それが原因でくも膜下出血や脳出血が起こるかどうか、わからないのです。
たとえるなら、あなたの脳の中の、不発弾の可能性もある時限爆弾、といったところです。起こるかどうかわからない脳卒中のために、わざわざリスクを背負って手術をするべきかどうか?
しかも、この小さな動脈瘤、検査を受けた人の中に、かなりの割合で存在するのです。今のところ、その判断は医者に委ねられているのです。患者に動脈瘤の有無は伝えるが、小さなものはそれ以上大きくならないよう、食生活の改善や高血圧予防など、日常の摂生を呼びかける程度が一般的です。
もちろん、理屈でいえば、知らずにますます大きくして手遅れになるより、知っておいた方がいいでしょう。しかし、気分的には微妙なところではあるのです。高性能機材で全部わかってしまうのも、痛しかゆしというのが現代の医学の実情なのです。
高中性脂肪血症もリスクのひとつです。
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