胃カメラから胃テレビへ

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一般に、ツライ検査、気持ち悪い検査、というと、経験のある人もない人も、まず胃カメラを連想するようです。

そこで胃の検査についてだが、最近では少し様子が変わってきています。

ちょっとのぞいてみよう。ベッドの脇にテレビが据えられています。お医者さんは目の前にあるツマミやボタンを両手で微妙に操作しながら、食い入るようにテレビのモニターを見つめています。画面いっぱいになにやら無気味なピンクの洞穴が。

「ポリープがありますねえ。ほれ、ここ。見えますか? 」お医者さんに見えますかっていわれても、患者さんはベッドに横たわり、マウスピースをくわえさせられ、マグロ状態。それでもなんとか首を伸ばして画面をのぞこうとします。

そう、これが最近の胃の検査です。もちろん画面に映っているのは自分の胃です。「ハイテク」とか「バーチャル・リアリティー」という言葉を想像してしまうような検査です。

さて、胃カメラが最初に開発されたのは約30年前。先端に照明ランプと小さなカメラをつけたチューブを口から入れ、撮影したものを見て診断したのです。どんなに小さくてもカメラとストロボです。

それにいくら曲がるからといっても、太さ2cm近くのチューブ。これを飲み込むのは苦痛そのものでした。しかし、もっと以前は、もっと太い直線状の曲がらない管を、食道にズ〜ンと通して胃の中まで挿入する検査でした。

想像するだけでおえっとなります。昔の人はなんとガマン強いのでしょうか。ここで話を今に戻すが、グラスファイバーが発達した現在は、胃の検査での患者の苦しみもぐんと減りました。

喉のところに麻酔を流し込んでいるので、思わずおえっとなりにくいし、マウスピースを通して入る管は鉛筆くらいの太さ。無数の光ファイバーが束となっているのです。(ちなみに内視鏡検査というのは、チューブの先にのぞき鏡をっけた器具で体の内部を観察する検査の総称。胃ファイバースコープや、大腸ファイバースコープというものもそのひとつにあたる)先端についた、CCD (電荷結合素子カメラ) という極小のビデオカメラから送られる信号がファイバーを通ってモニターに映像化されます。

管にはいくつかの孔が通っており、検査によってその大きさや数が違います。もちろん写真撮影もできます。また、ひとつの穴から専用の極細紺子を入れ、もうひとつから麻酔のための注射針を入れ、「検査するから、じやあ今、組織を取りましょう」なんてこともできる(これは生検といって、細胞組織を取って顕微鏡で調べる検査のこと)。

それどころか、小さな病変ならその場で切除することも可能です。医者はモニター画面を見ながら、まるでゲーム機を扱うようにファイバーの先の器具を自由に操るのです。つまり、患者からソッポを向き、テレビに映る内臓を凝視しているのです。まさに胃カメラではなく胃テレビの時代。ああ、医学の進歩です。

胃が出している小さなサインを見逃さない