どんなにⅩ線検査が一般的になっても、放射線イコール「核」というイメージは私たちの頭に根強く残っています。これは広島や長崎での民族的衝撃が、いまだに後を引いていることが大きく影響しているように思います。
しかし現実には、その経験があるからこそ、豊富なデータにより放射線の安全性や有効性に関する研究が進んでいるのです。(注・Ⅹ線は放射線と厳密には違うのだが、医療ではほぼ同じものを指していると考えてよい)いまだ「レントゲンを浴びると白血病になる」とか「ヤケドしたらどうしよう」といって、かたくなにただのⅩ 線検査さえ受けようとしない人がいるのですが、これはまったくの誤解です。
さて、Ⅹ線が人体になんらかの影響を与える、とされる量は、250ミリシーベルトから、といわれます。しかしこの数値さえも、いっぺんに全身に浴びた場合に、一時的に白血球が減少する、という程度のものですぐに回復します。
ただし、1 0 0 0 ミリシーベルトにまでなると、吐き気や嘔吐などの症状がともないます。
ちなみに、シーベルトとは、ただ単純に放射線の量をあらわすのではなく、人体に及ぼす危険の程度をあらわす単位のことです。
では、具体的にⅩ線検査の場合はどれぐらいの量になるのか20というとたとえば胸の単純Ⅹ線検査(われわれが検診などで受ける一般的な胸のレントゲンのこと)で1 回に浴びる量は、わずか0.1ミリシーベルト。
放射線によって被害を受けるには、胸のレントゲン写真を2500枚撮影する勘定になります。
また、妊娠中の危険性についてもよくいわれることだが、これも100ミリシーベルト以上のⅩ線を、妊娠2 〜8週の時期に浴びた場合に問題にされます。
「妊娠中または妊娠の可能性のある方は...」と検査室の壁に大きく注意書きがあるのは、あくまでも万全を期する、ということが主眼。素直に申告して、お医者さんの判断に任せておいてまちがいありません。
まさか1000枚ものレントゲン写真を撮る妊婦がいるはずがないから、その点だけでは、まず心配はないでしょう。「その点だけでは」なんて、なんか気になるいい方じゃないかって? そのとおり。
最近の検査に関する Q&A一覧はこちら。
コメント