古米を新米に見せる

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新入社員は「新米」とも呼ばれる。新米はまだ見習いで、一人前とはみなされない。誰もがはやく新米から脱したいところ。ところが、コメの場合は新米がもてはやされる。食べ物である以上、コメにも鮮度がある。
コメは保存のきく食品ではあるが、古米よりは新米のほうがおいしいし、見た感じもつやつやとしている。したがって、誰もが新米を食べたがる。とはいえ、安さが売りものの弁当屋では、コストダウンのために、ご飯智新米で炊くわけにはいかない。安い古米を仕入れてくる。そんな古米を新米のように見せるコツがある。某弁当屋チェーンのマニュアルによると、500~600gに対して大サジ1杯、15g前後のサラダ油をたらして炊くと、つやが出て新米のように見えるという。
料理は舌で味わうほかに、目でも味わっている。つやのあるご飯を見て、「おっ、新米か、おいしそうだな」と思った瞬間、舌で感じる本当の味よりも、新米を食べているという思い込みが優先され、おいしく感じるものらしい。
そこまで見こんで、マニュアルでサラダ油をたらせ、と指示するあたり弁当屋さんはなかなかの心理学者なのかもしれないが、安い価格には安いなりの理由があることを消費者も理解しなければならない。

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