デパートの売場に社員はほとんどいない

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デパートには、様々な人たちが働いている。実際の売場にいる人だけが、デパートの社員ではないのは、ご存じのとおり。普通の会社同様に、総務部とか人事部とかもあるし、仕入れ担当の人は、売場にはいない。
そうかと思えば、売場にはデパートの社員ではない人もいる。というより、数からすれば、デパートの正社員のほうが少ないのである。どこに何の売場があるのか分からなくなって、売場の人に「すみません!○○ はどこに売ってますか」ときいても、「さー?私、ここの人じゃないもんで」なんていわれた経験をお持ちの方もいるだろう。
そんなときは、「それじゃ、あんたはどこの人なんだ」といいたくなる。胸には、○○デパートというバッジをつけているではないか。ははん、これがウワサの派遣社員か、と思うのはまだはやい。そういう人たちは、何とか物産展とかの催事のために来ている人たちで、1週間かそこらしか、デパートに来ない人たちだろう。本当の派遣社員は、かなり長期にわたってその売場にいるので、ちょっとした道案内くらいならできるものなのだ。
そういう本物の派遣社員を派遣しているのは、メーカーか問屋。自社の製品をデパートで売ってもらうために、販売員を派遣しているのである。商品知識も豊富だし、客との応対によってそのニーズをつかみ、新製品の開発にも役立つ、とされているが、ようするにデパート側の経費節減である。1 20メーカーとしては、派遣社員の人件費を負担しなければならないが、確実に自社の製品のスペースが確保されるし、売りたいものを客にすすめることができる利点もある。こうして、特に、婦人服、紳士服のブランドものの売場は、ほとんどが派遣社員によって占領されているといっていい。では、その人たちは、ある期間が過ぎれば、元のメーカーなり問屋に戻って行くのかといえば、そうでもない。彼らの多くは、そのメーカーの社員ですらないのだ。メーカーは、人材派遣会社に依頼して、人をデパートに派遣しているのである。こういったデパートヘの派遣専門の人材派遣会社は、その名も「マネキン会社」と呼ばれている。こう呼ぶからと、マネキン人形をつくっているわけではないのだ。
デパートでは、このような、どこの社員でもない人たちが、デパートの店員のような顔をしてモノを売っているケースが多い。

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