「子どもは水で育つ」と覚える

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赤ちゃんは歯がないので、母乳という「液体」で熱量をとります。病気で食物を食べられない人は、点滴という「液体」で熱量をとります。これらは人間の食生活を考えた場合、例外的なものです。通常、「液体」は「水分」を補給するものであって、「熱量」をとるものではありません。

食べ物はかんで食べるのが原則です。現代はやわらかい食べ物が増えてそしゃくしなくなったということもありますが、もっともやわらかい食べ物は、じつは清涼飲料水なのです。日本人が清涼飲料水を飲むようになったのは、ここ半世紀くらいです。歴史としては非常に日が浅いのです。

江戸時代にも「冷水売り」といって、水桶に水を入れて市中を売り歩く商売がありました。冷水そのものを売る場合と、そこに砂糖を入れる場合もあったといいますが、これはほんのわずかの人が口にしただけで、清涼飲料水と呼べるものではありませんでした。清涼飲料水と呼べるものは、ラムネが最初だといわれています。欧米ではレモン果汁に炭酸を入れた飲料水を「レモネード」と呼んでいましたが、そこから「ラムネ」という名称になったそうです。

ラムネは、慶応元年には長崎で製造販売されていますが、当時は、一般の人が飲めるようなものではありませんでした。実際、通常は、お祭りのときにしか飲む機会はありません。ほんの少し前までは、わが国には「かむ必要のない食べ物」はほとんどなかったのです。大人には、昔から「お酒」というものがありましたが、お酒はあくまでも成長期を過ぎてからのものです。

現代の子どもたちは牛乳や清涼飲料水(果汁飲料、乳酸菌飲料、コーヒー飲料、スポーツドリンク、栄養ドリンク) など、じつにたくさんの「液体」で熱量をとるようになっています。最近「子どもの肥満」が指摘されていますが、その最大の原因は飲み物にあるのです。ご飯を食べたあとでは、お菓子という固形物は食べにくいですが、かむ必要のない飲料水ならいくらでもお腹に入ってしまいます。逆に、液体で熱量をとってしまうと、ご飯が食べられなくなってしまいます。そして、しばらくするとお菓子を欲しがるという、悪循環に陥っている子どもがじつに多いのです。

しかし、肥満やむし歯くらいなら、まだいいのかもしれません。再度くり返しますが、私たちの年代は成長期に清涼飲料水をほとんど飲んでいません。成長期から清涼飲料水を飲んでいる子どもたちはどうなってしまうのでしょうか。「糖尿病患者1000万人どころではない、大変な時代がくるのではないでしょうか。子どもは、大人以上に水分の補給が必要です。ただ、忘れてはならないのは、飲み物は水分を補給するためのものであって、熱量をとるものではないということです。牛乳も豆乳もいりません。子どもには水で十分なのです。最近は、ミネラルウォーターにもこんな高級なものまであります。

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