郵便物を安く

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日本でも通信販売が成長産業となってきているが、その業者の悩みの種が、郵便料金が高いこと。消費者が申し込んだ品物は宅急便を使って運んでいるが、カタログのダイレクトメール(DM) については、郵便のほうが安いので郵便を使う。ところが、この料金が諸外国に比べればかなり高い。
あんなに広いアメリカでさえ、ハガキが19セント(約20円)、封書だと29セント(約300円) なのを考えれば、いかに日本の郵便が高いか分かるだろう。
大量に出す場合は、若干の割引制度はあるが、それでももともとが高いのだから、たまったものではないらしい。といって、DMをしないわけにはいかない。ていさいそこで考えたのが、カタログでありながら雑誌の体裁をとることだ。新聞・雑誌などの定期刊行物には、よく「第三種郵便物認可」とはじのほうに記載されているが、この第三種郵便物になれば、かなり安く送ることができる。しかし、その場合、広告が全体の半分以上あってはいけないことになっている。
カード会社などが送ってくるカタログ雑誌に、有名作家のエッセイとか海外紀行とか、おいしい店訪問などの記事が載っているのは、そうした記事で水増しすることで、純粋な広告部分を50 パーセント未満にするためなのだ。しかし、それでも高い、と思う業者もいる。そんな人々が目をつけたのが、ダイレクトメールの内容物と封筒を、いったん海外にまとめて送り、海外から国際郵便として日本に向けて出すこと。東南アジアの国々は、日本よりも物価全体が低いので、郵便料金も低い。国際郵便の料金は、出す国の郵便料金の水準に合わせているのである。たとえば、二〇グラムの封書の場合、日本国内だと80円だが、香港から日本に向けて出す場合は38円、シンガポールからでも39円前後だという。実に半額である。さらに、日本だと封書に内容物を入れるのに人手をかけた場合は、その人件費も高いが、アジアだとそれも安い。もらうほうも、国際郵便が届くと、何だろう、と一応は開いてみるかもしれず、開封率も高くなると、一石三鳥くらいのメリットがあるのだ。これも、物価の内外価格差が生んだ皮肉な現象のひとつといえよう。

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