頭皮の血流が促進され髪の毛が復活、爪もみで重症の円形脱毛症が

マイルドで持続的なストレスが髪には最悪

私は30年来、「円形脱毛症」の治療に携わっています。ここでは、円形脱毛症もほかの病気と同様、早期に適切な治療をすれば、長引かせずに済むことをお伝えしましょう。

さて、円形脱毛症が心身症であることは、広く認知されています。その病因として従来からいわれてきたのがストレス説、自律神経失調説、自己免疫説、内分泌説、遺伝説などです。

ところが、現在の皮膚科学会の主流は、原因不明の自己免疫説に絞られています。ストレスは無関係とする意見も多いのですが、それでは、円形脱毛症は治せません。この病気を治すには、「ストレスで引き起こされた心身症」という視点に立ち返る必要があります。

心身症は自律神経の異常を介して生じます。自律神経は交感神経と副交感神経のバランスによって、体調を調整している神経です。

心身のストレスは交感神経を緊張させて、自律神経の調整力を乱します。こうして交感神経が緊張すると、血管(毛細血管) が収縮し、末梢の血流が悪くなります。

そこでダメージを受けやすいのが、頭皮に生える髪です。というのも、髪は月1cmも成長する組織であり、成長が速い分だけ、多くの栄養とエネルギーを要するからです。

その栄養を供給するのが血液です。すなわち、交感神経の緊張から頭皮が血流不足に陥ると、毛組織も栄養不足となり、不完全な細胞がふえるのです。問題は、こうして毛組織に不良細胞がふえると、それらを排除するリンパ球が過剰反応を起こしやすくなることです。本来は抜けるべきでない髪が抜け落ちるのも、不良細胞の増加に伴い、過剰に活性化したリンパ球が、毛根に不要な炎症をもたらした結果です。

しかし、その発端に存在するのはストレスです。円形脱毛症の患者さんのストレスは、総じてマイルドである一方、3ヶ月ほど続いているのが特徴です。

実際には、そのマイルドな継続的ストレスがいくつか重なり、発症するケースが多いのです。こうした円形脱毛症のストレスは、複合汚染が体をむしばむように、ジワジワとダメージを与えるもので、本人が自覚しにくい点に問題があります。

その典型的ストレスの1つは、睡眠不足( ほとんどの人が6時間以下)です。ストレス対策も、まずはじゅうぶんな睡眠を取り、規則正しい生活を心がけることから始めてください。

眠りの悩みを解消しよう!

乱れた自律神経を整えて血流を促す

こうしてストレスをへらす一方で、乱れた自律神経を整え、血流の改善を促す治療に取り組むと、より回復が促されます。

その効果的な方法として、私は「爪もみ」を勧めています。爪もみは、爪の生え際にあるせいけつ「井穴」というツボを、指で刺せいけつ激する健康法です。

井穴は自律神経の調整ポイントとして東洋医学に伝わるツボです。効果を信じて真剣に行えば、体調の変化を実感できるはずです。

爪もみをした後、手がポカポカするのは、交感神経の緊張がほぐされた証拠です。髪が生えそろうまでは、1日2~3回を目標に、毎日継続しましょう。

関連記事