外車は高いほど売れる

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アメリカのプッシュ大統領(当時) が来日した時には、自動車業界の幹部を引き連れてきた。アメリカのクルマを買え、と日本政府に圧力をかけてきたわけだ。それくらい、「アメリカ車」が日本では売れなくなっていたわけだが、その理由のひとつは、あまりにも高かったからである。

アメリカで17000ドル前後のシボレーが、日本に輸入された時には、なぜか300万円以上。ドルと円とのレートの変動を考慮しても、倍になっている。輸送費なんて、船で運べば、5~6万円。関税もないのに、どうしてこんなに高いのか。アメリカでの売値が17000ドルということは、ディーラーが仕入れている値段はもっと低いはず。まさに、ボロ儲けの構図である。ベンツやフォルクスワーゲンにしても、事情は同じ。アメリカで35000ドルぐらいのベンツは、日本だと600万円以上もした。フォルクスワーゲンも12000ドルぐらいのが、230万円前後、約70000ドルのポルシェは1000万円以上、といった具合に、倍近い。

この値段の背景には、正規ディーラーの、売れないほうが儲かる、という事情があった。モノを売るにはそれなりのコストがかかる。販売員の人件費、在庫を置いておくスペースの土地代、修理などのサービスのための費用、そんなのを考えると、安くしてたくさん売るよりも、高くして少ししか売らないほうが、利益率は高くなる。だから、営業努力をして安くするよりも、高いままふんぞりかえっていて、向くても買えるお金持ちだけを相手に商売していればよかったのだ。
それでも売れていたのは、外車を買うのはみんなお金持ちで、ステイタスシンポルとして買っていたので、高ければ高いほど売れる、という要素があったから。税金対策上、高いほうがいいという理由もあったようだ。どうしても安く買いたい人は、個人輸入や並行輸入で安い店を探せばよかったのである。実際、自分でアメリカに行って買って送ったほうが、飛行機代とホテル代を入れても、正規ディーラーを通して買うよりも安い。ま、こうした殿様商売も、バブル崩壊がきっかけで見直されつつある。

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