生体認証の安全性

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最近、パスワードのかわりに、センサーに自分の指を当てることでログインできるというパソコンが、でまわりはじめた。これは「生体認証(バイオメトリクス)」しもんといわれるもの。
指紋を本人確認に利用したシステムである。指紋はその人固有のもので、世界に同じものはふたつとないから、なるほど本人確認七はぴったりの道具。だが、じつはこの方式、100%安全確実かというと、そうでもないのだ。
たとえば、洗剤で指先が荒れたりするだけで、本人確認ができなくなることもある。さらに、登録した人の指紋をコップなどからこっそり採取し、それを人工指につけてセンサーに当てると、簡単にログインできてしまう。アメリカの映画ではこんなシーンもある。
これでは、本人が知らぬまに、第三者がその当人になりすますことも可能というわけだ。指紋を使った生体認証には問題アリ、ということで、銀行のATMなどで採用されつつあるのが、手のひらや指の「静脈認証」だ。
これは、手のひらや指の静脈組織が、人によってみなちがうことから、それをセンサーで読み取って、本人確認をしようとするシステムである。キャッシュカードを偽造しても、本人確認でアウトになれば、第三者が勝手にお金を引きだすことは、できなくなる。
指紋より安全・確実な「静脈認証」なら、もうこの手の犯罪は不可能というわけだが、じつは、この方式も万全とはいえないことがわかっている。ひとつは、年をとると血管が伸びたり、ケガで血管の太さや曲がり具合が変わることがあるということ。さらに、ある実験で、大根を指の形に切ってラップをまいたものをセンサーに当てたところ、本人確認に「OK」がでてしまったのである。生体認証をめぐっては、海外では、犯罪者が被害者の指を無理やり切り取って、強引に本人確認をしてしまうなどの、残虐な事件も起きている。「私が私であること」を簡単に、しかも100%安全確実に証明する方法というのは、思いのほかむずかしいのである。

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