牛乳は完全栄養食品であるという誤り

妊娠中の栄養補給・授乳中の栄養補給を考えるとき、第一に思い浮かべる食品といえば何でしょう。おそらく牛乳ではないでしょうか。50年前、あの大戦争に負けてしばらくしてからの日本は、アメリカ合衆国の豊かな文明生活に憧れました。その憧れの生活の象徴が牛乳であったこともあるでしょう。

この50年間、牛乳は「完全栄養食品」 の代表として奨励されてきました。妊婦や授乳中のお母さんにも、やはり「たくさん飲みなさい」と奨励されてきたものです。

妊婦・授乳婦のみなさんは、ずいぶん一生懸命に牛乳を飲んでいる傾向があるのが分かっています。出産後に母乳の出をよくしたいと、かなり大量の牛乳を飲んでいたお母さんだけに限っても、20%以上に達しました。しかし、牛乳は本当に「完全栄養食品″」なのでしょうか。

牛乳をたくさん飲むことは、胎児にもよく、また母乳にもよい影響を与えるのでしょうか。これを否定する強力な意見をご紹介します。

牛乳の優れた面までも否定する気持ちはありません。しかし「牛乳は「完全栄養食品だ」とする盲信は、昨今のように飲もうと思えばいくらでも牛乳が飲めるようになった「豊かな日本」では、大変に好ましくない結果を招いていると思われるからです。

「どうも牛乳は怪しいぞ」と感じて研究を重ねてきた専門家のお話です。『送料無料/牛乳は完全栄養食品ではない/岩佐京子』という著書にまとめられています。彼女の見解は、私たちの意見とも大変に合致しているものです。

そこで、以下は「牛乳は完全栄養食品ではない」の内容を参考にしながら話を進めることにしましょう。まずは、同書の冒頭「ほじめに」の全文を引用させていただきましょう。戦後、消費が非常に増えたものに、牛乳があります。これは、戦前の御飯に、みそ汁、野菜、魚中心の日本の食事の欠点を補う物として、牛乳を飲むとよいと奨励されたからです。

特に、妊産婦や幼児にとっては、骨を作るカルシウムがたっぷり含まれているし、タンパク90質も脂肪もあるから、成長には欠かせない食品である、ぜひ毎日飲ませてくださいといわれてきました。保健所でも、妊婦前期には200cc、妊婦後期には400cc、授乳中には400cc、幼児期には100cc以上、できれば400~500ccは飲ませてはしいという指導をしているようです。

こうした指導を受けて、母親の中には、牛乳を飲ませないと、子どもは発育しないかのように思いこんでいる人がいます。さらには、、2歳、3歳まで牛乳のみで育てている母親さえいるのです。ところが、こうした牛乳信仰によって育てられた子どもの中から、まったくことばを持たない子どもが出てくるケースを数多く見るにつけ、現在の日本の牛乳には、何か問題があるのではないかと思うようになりました。

この前文の中には、いくつか重要なポイントがあります。その部分に傍線を引かせていただきました。彼女の主張は明確です。牛乳が必ずしも悪いといっているわけでほありません。しかし牛乳は、それだけを飲んでいれば事足りるような「完全栄養食品」ではなく、大量に飲めば弊害もあるというのです。さらに現在ごく一般に市販されている牛乳の多くは、本来の牛乳としての価値のないことに気づいてはしいともいっています。

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