最近の牛乳は大半が高温殺菌

赤ちゃんを無事に産んだ後、お母さんなら誰でも「この子を健康に、幸せに育てたい」と強く願うことでしょう。そのための努力を怠らないお母さんが、どこにいるというのでしょう。しかし、せっかくの努力が方向違いだったとしたら、努力すればするほど悪い結果を招いてしまうということさえあり得るのです。

母乳の出がよくないから牛乳をたくさん飲むというお母さんがいます。母乳の代わりに牛乳を飲ませるお母さんさえいます。こうした発想はおかしいのだということを知っておいてください。何よりも、牛乳とは「牛という動物の乳」です。牛の赤ちゃんが必要とする栄養素は、人間の赤ちゃんが必要とするものとは違います。これはどんな動物であってもそうです。ヤギの乳、犬の乳、猫の乳、ハムスターの乳などなど、すべて、その動物の赤ちゃんにこそふさわしい成分になっているのです。

たしかに、他に代用がないときには、同じ哺乳類の乳なのだから次善の選択となります。しかし他に選ぶべき道があるときに、盲目的に頼ってはいけません。まして牛乳は、決して「完全栄養食品」ではありません。

現在、スーパーマーケットなどで売られている牛乳の大半および学校給食で出される牛乳、さらには宅配されている牛乳までも含めて、まずは「高温殺菌」の製品が幅をきかせていることにお気づきかと思います。あなたの冷蔵庫の中の牛乳をたしかめてみてください。すでにこの間題を知っていて「低温殺菌」の製品を選んでいる方の場合を別にすれば、冷蔵庫内の牛乳パックなどには「130度 2秒殺菌」と記されているはずです。

この高温殺菌=130度2秒殺菌というところに、まずは問題があります。日本でこの殺菌方法による牛乳が市販されるようになったのは1961 年のことでした。それ以前の牛乳は、後にお話しする「低温殺菌」を経て製品化されたものでした。中年以上の方なら思い出すかもしれません。

昔の、子ども時代に飲んだ牛乳は、今の牛乳に比べてとても美味しかったではないですか。たしかに今のように簡単に大量には飲めない貴重なもの( バナナもそうです) だったから、なおさらに美味しく感じたという面もあるでしょう。しかし現在でも、高温殺菌のものと低温殺菌のものとを飲み比べてみれば分かります。低温殺菌の牛乳のほうがはるかに美味しいのです。

この「莫昧しい」ということの意味は、決して軽くありません。本当の意味で美味しい、人間本来のたしかな味覚が判断する美味しさとは、そのまま体にとってよりよいものであるというものさしなのです。さて、高温殺菌は「130度2秒殺菌」とされていますが、実情は違います。たしかに130度の状態は2秒間しか保たないのですが、常温の牛乳をいきなり、瞬間的に130℃ などという高温にできるはずがないことくらい、常識的に考えてもすぐに分かります。

では、一般メーカーの「牛乳加工工程」では、どのようにして「高温殺菌」が行なわれているのでしょうか。まず産地から冷蔵で輸送されてきた原乳を10秒間ほど加熱して85度にします。この85度 を280秒、つまり5分間弱保っておいて後、さらに加熱して130度に高め、そこで2 秒間保った後に温度を落とすのです。

いかがでしょう。高温殺菌の牛乳とは、総計5分間はど、コトコトと煮立てたに等しい「加工された牛乳」だということです。

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