「高温殺菌」牛乳は栄養分がほとんど失われている

普段、私たちが口にする牛乳は大部分が高温殺菌処理された牛乳であることをお話しましたが、こうした高温長時間処理の問に、牛乳の内容には重大な変化が生じてしまいます。

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まずは、タンパク質ですが、タンパク質の中でも水に溶けていて消化吸収のよい「ホエー・タンパク質」の75~80% ほどが変性してしまいます。

ホエー・タンパク質が、免疫グロプリンやアルブミンなどといった成分を含んでいて、その成分のおかげで「牛乳を飲むと免疫力が高まる」と説明されることがあるのですが、加熱によってそれが変性してしまうのです。

したがって高温殺菌の牛乳を飲むことで免疫力を高める効果は期待できないというべきでしょう。また、カルシウムと結合しているタンパク質のカゼインも一部分変性し、タンパク質の構成要素であるリジンやメチオニンやシステインといったアミノ酸も減ってしまいます。

それでも他のアミノ酸は減らないのだからかまわないだろう、と思うと大間違い。人間が体内で合成できないアミノ酸は8 種類がありますが、その8種類のアミノ酸をバランスよく含んでいる食品こそが、本当の意味で良質なタンパク質食品です。

ごく簡単に説明すれば、体内に入った8種類のアミノ酸は、その8種類の内でもっとも量の少ないアミノ酸のレベルでしか利用できないからです。したがって、アミノ酸の内の何かを欠いているタンパク質食品は、無駄の多い、利用効率の悪い食品だということになります。

高温殺菌牛乳は、そうした食品だと考えておくべきでしょう。ここでは、面倒な説明を避けておきますが、「ホモジナイズド」という加工が必要になるのも、高温殺菌をした必然だと知っておいてください。このホモジナイズドによって、脂肪分子やタンパク質の分子は物理的に切断されてしまい、これによっても、牛乳の質は低下してしまいます。

つけ加えておけば、原乳中には含まれているビタミンC 、D 、E なども、加工の過程ではとんど破壊されてしまいます。こうしたすべてを総合したところからみて「現在の高温殺菌の牛乳は、牛乳の死骸であり、タンパク質のカスです」とまで表現する専門家がいるのです。

「それでもカルシウムが不足しがちだと( 厚生省が) いう日本人にとって、牛乳は重要なカルシウム源ではないか」という意見も聞こえてきそうです。しかし、高温殺菌された牛乳の中のカルシウムは、本来の牛乳のように消費吸収のすみやかなカルシウムでなくなっています。原乳中のカルシウムは、その40
%が水に溶けている消化吸収しやすいカルシウムで他の60%はコロイド状で分散しています。

ところが加熱という過程で、せっかく水に溶けているカルシウムが、コロイド状に変化してしまい、水に溶けている分が40% 近くも減ってしまうのです。ここまでを読んでくださったあなたにお願いしましょう。もし可能なら、すぐにスーパーマーケットの牛乳売り場をチェックしにいってください。

その売り場には、「常温保存できる」と記された「ロングライフミルク」 もみつけられるはずです。これは、普通の高温殺菌よりもさらに高い140度の熱処理をされた牛乳です。これはどの高温処理を経たものでは、カゼインと結びついてるカルシウムの一部が燐酸カルシウムに変化してしまっています。

燐酸カルシウムとは、私たちの骨の中のカルシウムと同じ状態です。たとえば魚の骨を水につけておいてみましょう。カルシウムが溶け出すでしょうか。たしかに微々たる量は溶けるかもしれませんが、はとんどは骨の形のままです。骨として組織化された燐酸カルシウムとは、とても水に溶けにくいカルシウムなのです。

だからこそ、骨は化石として何千年・何万年の時を経た印を残しもするのです。私たちが消化吸収するのは、基本的に水に溶けた物質であることを知っておくべきでしょう。腸壁は、あらゆる栄養素を水に溶かした状態、つまり水溶液として吸収するのです。逆にいうとなら、水なしに、また水に溶けない物質を、私たちは吸収して利用することなどできないということです。

低温殺菌牛乳もあります。栄養成分が変化しない低温殺菌牛乳 牛乳で下痢をする人も試してほしい牛乳です。

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