八百屋さんはディスプレーのプロ

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世の中にはいろいろな専門学校があるが、なかにはお店のディスプレイを学ぶためのものもある。ところが、そんな学校に通っていると近くの八百屋さんにいうと、「ですぶれい? なんだい、そりや。えっ、商品の並べ方の勉強だって? バカいっちゃいけねえよ。そんなの学校で習うようなもんじゃねえよ。うちで働いてみなよ、教えてやっからとあきれた顔をされてしまうに違いない。
なるほど、商店街で野菜や魚を売っているオヤジさんたちは、そんな学校に通わ頂くても、立派に商売をしているのである。
「いえ、私が目指しているのは、街の商店のディスプレイではかく、デパートとか高級ブティックでのディスプレイなんです」とそんな雑音には耳もかさず学校に通っていると、衝撃が待っている。何と、「八百屋飾り」なんて専門用語があって、八百屋さんのディスプレイが教材になっているではないか。
たしかに、よく考えてみると、八百屋さんの店頭というのは、ほかの店とはちょっと違う。ひな祭りのひな段のようなものの上に、野菜が乗っているのである。手前は低く、奥に行くほど高くなっていく。その段の高さと野菜の値段も比例しているようである。
事前にはジャガイモとかニンジンがあって、真ん中あたりにはネギとかトマト。そして、奥のほうは果物だったりする。何の法則もないようでいるが、そうでもない。ニンジンとトマトといった、赤いものどうしは、離して置くとか、野菜の色や形によって、バラエティに富んでいるように見せているのだ。このように、ひな段状の段に商品を並べることを八百屋飾りといいます、と専門学校では教えているわけだけど、そんなことを知らないで、ディスプレイしているのは、当の八百屋さんかもしれない。

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