肝臓に効くビタミン を紹介します。肝炎など肝臓に何らかの異常がある人は、肝臓の操業を助けるため、すべてのビタミンが健康な人以上に必要。 肝臓という臓器は、体のなかの化学工場です。その化学工場としての働きには、大きく分けて3つあります。
第一の働きは、摂取した食べ物などを原料にして、あらゆる酵素をはじめ、体に必要なさまざまな物質を合成する働きです。 第二の働きは、摂取したもののうち、体に有害なものを解毒する働きです。また有害でなくても本来、自分の体の構成分子ではない「異物」は分解してしまいます。これは拒絶反応によく似た働きです。
たとえば役に立つ薬であっても、肝臓はそんなことにおかまいなく、体にとっては異物なので分解します。ロからのむ薬は、その8割近くが肝臓で分解されてしまい、患部に到達する薬はごく一部にすぎません。静脈注射すると薬は肝臓を経由しないので、ほぼ100%患部に到達します。
口から摂取されるあらゆる物質は肝臓で総点検を受けるため、消化管から吸収された物質はすべて、ホットラインで肝臓に直送される仕組みになっています。そのホットラインは門脈と呼ばれる血管です。肝臓で分解された毒物や薬物は、尿と便として体外へ排泄されます。
便になる物質は胆汁となって腸管に出されます。 第三の働きは、老化して不要になった赤血球のヘモグロビンを処理することです。赤血球は核がなく、自己増殖しない細胞です。したがって古い赤血球と新しい赤血球とが常に新陳代謝しています。
その際、赤血球の構成分子のヘモグロビンが代謝されてできたどリルビンが血液中に大量に流れだします。 血中のどリルビンをそのままにしておくと責痘になり、脳や腎臓に悪影響をおよぽします。そこで肝臓は、このヒリルビンを処理し、胆汁酸といっしょに胆汁として十二指腸に排泄します。
大便の色が黄色あるいは褐色に染まっているのは、このヒリルビンのせいなのです。 このように肝臓は大切な「化学工場」です。肝炎ウイルスやのみすぎによって肝臓病になると、「化学工場」としての機能にも支障が生じます。
したがって肝炎など、肝臓に何らかの異常がある人は、肝臓の操業を助けるため、すべてのビタミンが健康な人以上に必要となります。
まず、肝臓が正常な働きを維持するために必要なビタミンはB群です。これらをバランスよく、十分に補給することが最も重要です。
次にビタミンAです。肝機能が低下すると、ビタミンAの運搬部隊であるビタミンA結合タンパクがつくれなくなり、せっかく腸から吸収されたビタミンAが肝臓までたどり着けません。 そういうわけで、肝臓病の人はビタミンAが不足しないように注意する必要があります。
さらにビタミンK。これは血液を凝固させる因子のプロトロンビンという物質の生成に欠かせないビタミンです。
このプロトロンビンは肝臓でつくられますが、肝障害があると正常なプロトロンビンがつくられなくなります。また肝臓が脂肪肝といわれる状態になっているときには、B2、B6 といったビタミンB群やコリンが治療用に使われます。
脂肪肝とは、まるでフォアグラのように肝臓に脂肪がたまり、肝臓が霜降りになった状態のことです。食べすぎによる肥満のほか、連日の深酒が脂肪肝の原因となります。アルコールが原因の脂肪肝は、その原因となる飲酒を飲まないかぎり、やがてアルコール性肝炎となって肝細胞が破壊され、慢性肝炎から肝臓に線維分が増えて硬くなる肝硬変へと、肝臓病が進行していきます。
脂肪肝とは、アルコールによる肝臓病の初期の状態で、日本酒3合以上を毎日飲めば、だれでも脂肪肝になるといわれています。また2日続けて日本酒を1升分も飲むような大量飲酒によっても脂肪肝になるため、年末年始の宴会シーズンには脂肪肝になる人が増えます。 ビタミンA、ビタミンK 、ビタミンB群は、肝臓病の人が健康を維持するために必要なビタミンですが、弱った肝臓に活力を与えてくれるのはCとEです。
ビタミンCには、酸化とは逆の還元作用があります。つまり肝臓に蓄積された過酸化脂質を解毒する働きによって肝臓の負担を軽くしてくれます。
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