目の不快な症状は漢方の相性がよい

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昨今、パソコンや携帯電話、スマホ、ゲーム機などの普及により、現代人の間では眼精疲労やドライアイといった症状がかつて経験したことのないスピードで急増しています。皆さんの中にも、お困りのかたが多いことでしょう。公私ともにコンピューターが欠かせない時代になり目への酷使も増える一方です。

パソコン、スマホ、ゲーム、TVなどで3~4時間以上毎日見る人 | Health Check

眼精疲労は、目にこれといった異常が見つからないのに、目に疲労感やかすみ、痛みなどが続く状態です。頭痛や肩こりといった、身体症状を伴うこともあります。その原因は、日常生活や仕事での目の酷使や過労、精神的な疲労によるものが大半です。また、加齢による血行障害が原因になることもあります。ドライアイは、その名のとおり、涙の量が少なくなって、目が乾燥している状態を指します。
目の疲労感や充血を伴う場合もあります。

主な原因は、加齢による血行障害、目の酷使、ストレスなどが考えられます。また、体の冷えや加齢によって、涙の成分が変化したり、目の縁から出る脂の分泌量が低下したりすることがあります。これらが原因となることも少なくありません。東洋医学では、眼精疲労とドライアイの2つを、ストレスなどによる目の中の水分の減少、目の血行障害による同じ病態ときしてとらえます。すなわち、気(エネルギー)・血(血液)・水(血以外の体内の水分) の巡りの悪化によるものです。よって、処方する漢方薬も共通しています。

実際に、、眼精疲労とドライアイは、併発する場合が非常に多くなっています。私が診察を行う漢方専門病院でも、眼精疲労で来院する患者さんの8割以上に目の乾燥症状があり、ドライアイの患者さんにいたっては、ほぼ全員が目の疲れの症状も抱えているのです。眼精疲労とドライアイには、温清飲、補中益気湯、小柴胡湯の3種類の漢方薬です。3種類の中から、患者さんの体質を診て、どれか1種類を選び処方します。
温清飲は、虚弱体質で貧血や皮膚が乾燥しがちなかた、また、のぼせやほてりなど、頭に熱がこもりやすい人に適してます。

温清飲の生薬(漢方薬を構成する草根木皮)は、熱を取る黄連(キンポウゲ科のセリパオウこんけいレンの根茎)、腎臓の機能を高めて全身に潤いを与える地黄(ゴマノハグサ科ジオウの根茎)、気を巡らせて疲れを取る当帰(セリ科のトウキ)など、8種類の生薬によって構成されています。

補中益気湯は、胃腸が弱っていて、疲労による衰弱や体力消耗の症状が特に見られるかたに処方します。補中益気湯は、不足している気・血・水を補い、巡りを改善する漢方薬です。血にん行を改善して疲労を解消する人じん参(ウコギ科のオタネニンジンの根)、過剰な発汗を止めて潤いを取り戻し、気力を補う黄蓍(マメ科のキバナオウギの根)、胃腸の働きを整え血行を促進する乾姜(ショウガ科ショウガの根茎)など、10種類の生薬で構成されています。柴胡桂枝乾姜湯は、神経が細やかな性格で、ドキドキしたり汗をかいたりしやすく、おへその上に脈を打つような動悸のあるかたに処方します。柴胡桂枝乾妻湯は熱性疾患などにも用いられる漢方薬です。

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これらの漢方薬を、1日数回に分け、服用してもらいます。また、すでに眼科で眼精疲労やドライアイ用の点眼薬を処方されているかたも多いと思います。点眼薬は即効性がありますし、目の炎症や感染予防も兼ねて、引き続きご使用ください。漢方薬は、目の疲労や乾燥などの症状が完治するまで服用してください。眼精疲労やドライアイは、比較的治りが早いので、早い人では2週間で症状が改善し、1ヶ月以内に服用を終える場合もあります。

漢方薬について全くの初心者の人はこちらで少し知識を入れてからためすのがおすすめです。
漢方の基本について書かれています。

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