唾液の効能5「味がよくわかる」

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グルメになりたかったらアミラーゼを活用することです。唾液の中には、味をよくする酵素が含まれています。その代表がアミラーゼです。

ご飯をよく噛んでいると甘味が増してきます。これは、アミラーゼがご飯のデンプン質を麦芽糖( アミロース)にするからです。デンプンというブドウ糖のポリマー(分子のつながりの長いもの) をぶつ切りにして低分子(分子のつながりの短いもの) にする酵素がアミラーゼなのです。こ

のくらいの小さな分子になって、ようやく甘味を感じる神経に入り込めます。ご飯だけでなく、デンプン質のものは、よく噛めば何でも甘くなります。パンもうどんもそうです。早く食べることは、よく噛まないことですから、本当の甘味には到達しません。

もっとも、うどんをよく噛んで食べる人はあまりいないようです。香川県に行ったとき、讃岐うどんをよく噛んで食べていたら、店の人から「うどんはのどで味わうもんだ」と言われたことがあります。でも、残念ながら、のどでは甘味を感じることができません。それにしでも、本物のグルメか偽者かは、食べるスピードでわかります。

猛烈に食べるのが早い人、つまり早食いの人は、本物の昧がわかっていません。つまり、偽者です。もっとも、昨今のグルメは味がわかることよりも店の名前を知っていることが肝心だそうです。

さて、おいしいワインを利き分けて、客の好みに合ったワインを選ぶソムリエという職業があります。最近、日本でもソムリエを養成する学校ができています。ソムリエは、何十種類、何百種類ものワインの利き分けをしますが、このとき水で口をすすぎません。パンやチーズなどを食べるのです。硬いものをよく噛んで唾液を出して、その唾液で口の中を洗っているのです。ガスチンの効果を十分に知っていて、味覚を高めながら、同時に唾液で洗い流すという効果を持たせているのでしょう。

ガスチンには味覚を敏感にする作用があります。アミラーゼに「食物を分解して積極的に味覚を感じさせる作用」があるとすれば、ガスチンはそれを受け取る「味覚の末端域の感受性を敏感にさせる作用」があります。つまり、唾液はダブル作用で食物の味をよくしているわけです。

ワインといえば、友人がワイン通で、よく自宅でのワインパーティに招待されたものです。10人くらいで、それぞれワインを1本ずつ持って集まるのです。夕食後、各自が持ってきたワインを、銘柄を隠して並べます。スコアカードを持って、香りとか、渋味とかいろいろな項目を挙げて検討し、最終的に産地や銘柄、さらに何年ものかを当てるというゲームです。

なかなか優雅な集いでした。10銘柄くらいのワインを少しずつ飲んで当てるのですが、私たちもソムリエのように、パンをかじったり、チーズを食べたりして挑むのです。たしかに、このほうが、水で口をすすぐよりも味覚が研ぎ澄まされるような気がしました。というのも、水を口に入れると、それだけ唾液の出る量が少なくなってしまうからです。

とはいえ、銘柄のほうは、まったくといっていいほど当たりません。ワインではなくご飯だったら、コシヒカリだとか、ササニシキだとか噛めばたちどころにわかるのですが、味覚文化の違いでしょうか。このゲームでつくづく納得しました。

ソムリエのあの驚異的な利き酒の能力の1つは「唾液」のおかげなのです。舌の表面には味覚を感じる神経の先(味蕾)が露出していますが、これは唾液で潤ってはじめて敏感に味覚を感じられるのです。味を感じるのは唾液に溶けた味物質であり、カルキの入った水道の水ではその代用はできないということです。唾液はグルメの最も本質的な「武器」だったのです。

唾液分泌のメカニズムと唾液の効能7項目