最近の研究で、ビタミンCが歯ぐきの健康を左右する栄養素であることがわかってきました。米・テキサス大学のゴールドシュミット博士は、赤毛猿を使った2年間の研究で、歯根膜炎の原因となるバクテリアをビタミンC が減少させる事実をつきとめました。
歯根の病気をもたらすバクテリアのなかでもとくに主導的な働きをしているのは放線菌と呼ばれるものですが、その菌に対してビタミンC が効果をもつのです。
放線菌が繁殖すると歯根が侵されて炎症を起こし、やがて歯ぐきが後退していきます。それをビタミンC がくい止めるのですが、「研究の結果明らかなのは、ビタミンC がより健康な歯ぐきにしてくれるということです。歯根膜が感染した場合、バクテリアが歯ぐきに侵入してきますが、体は白血球を送って戦い、レます。しかし、ビタミンC が不足していると苦戦を強いられることになります。ゴールドシュミット博士は、人に換算して1日1グラムに当たる量のビタミンC を赤毛猿に与え、それで猿の口腔中の放線菌が激減することを確かめています。
同様の研究はシアトルの大学でも行われていて、アルバレス博士らは猿に25週間ビタミンCを欠乏させた食事を与えつづけて、歯ぐきがすぐに炎症を起こす状態をつくり出しています。歯と歯ぐきのあいだに出来る「ポケット」と呼ばれる袋はバクテリアの巣になってその繁殖をうながすのだが、ビタミンCを欠乏させた猿は、正常な猿よりもそのポケットが大きくなりました。
「ビタミンC の少ない食事は、明らかに歯ぐきの病気のリスクを高める」と、アルバレス博士は述べています。ユーゴスラビアで行われた実験では歯根膜の病気による歯ぐきの組織のこわれが、ビタミンC によって治されることも確かめられています。
歯ぐきが健康でないと歯は守れないのだから、いかにビタミンC が重要であるかがわかります。
では、ビタミンC さえ十分にとっていればいいのかというと、そうではないのです。たとえビタミンC が十分にあっても、カルシウムと葉酸が不足していると歯ぐきの健康は維持できません。
葉酸はビタミンB群の1つだが、研究者たちは、血液中の葉酸値が欠乏を示さない場合でも、歯ぐきにおける葉酸の欠乏が起こりうるとしています。そして、葉酸が欠乏した状態では、バクテリアに対する歯ぐきの防御力は目に見えて低下します。
ニュージャージー歯科大学の研究者たちは、歯ぐきに炎症をもつ15人の志願者に、1日に2回葉酸を加えた水でうがいをしてもらってその効果を確かめています。
それを60日間つづけた結果、「さながらスポンジのように葉酸を吸いとって、志願者の歯ぐきは、対照群に比して明らかに炎症が軽微となっていました。と報告しています。
葉酸は緑色野菜やレバーなどにふくまれていますが、熱に弱いビタミンである。だから、煮こみに煮こんだものはむろん、加熱のすぎた料理からはほとんどとれないのはいうまでもありません。この栄養素を十分にとるには、1つ1つの材料に対して適切な加熱...とはほとんどの場合、最小限の加熱...を行うことが重要です。
しかし、それとは正反対の例えばハヤシライスのような料理がブームになる世の中です。歯ぐきの悪い人が続出して当然です。葉酸は薬によっても奪われてしまいます。
ある種の睡眠薬、抗生物質、サルファ剤、アスピリンは葉酸をこわし、アルコールも多量に飲むとやはりこわしてしまいます。だから中高年者が欠乏させがちな栄養素の第一は葉酸といっていでしょう。中高年者の多くの特徴は薬を飲むことで、統計もそれを裏付けているのですが、薬依存型の人が知っておかなくてはならないのは、薬によって体内のビタミンが奪われている事実です。
葉酸以外にも2、3挙げてみるとつぎのようなビタミン、ミネラルが奪われています。利尿剤、降圧剤によって亜鉛、カリウム、マグネシウム、ビタミンB群が。制酸剤によってビタミンB 群、ビタミンA が。いろんな薬を飲んでいると多種類のビタミン、ミネラルが奪われるわけで、薬漬けになっている人の栄養のバランスはかなりこわれていると思っていいでしょう。
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