肥満児というと、ただ太った子どもというくらいにしか思っていない人がほとんです。。しかし、成長期の肥満には、大人になってからの肥満とは異なる特別の問題があります。
人間の脂肪細胞が発達するのは幼少年期なのだが、青年初期までのあいだに食べすぎによるカロリー過剰で余分に脂肪細胞がつくられると、その細胞は死滅しないで存続することになります。
つまり、カロリーをとりすぎる子どもは、異常な数の脂肪細胞をこしらえてしまうのです。そして、その細胞は性質上つねに脂肪をとりこもうとします。平均的な人の脂肪細胞の数は250億から300億ですが、肥満児の脂肪細胞の数は1000億にも達するのです。
その細胞が死滅しないというのはどういうことかというと、たとえば節食して体重が減っても細胞はちゃんとまだ存在しているのです。ただ細胞から脂肪が抜けていくだけです。細胞は健在でまた脂肪で満たされるのを待ちつづけているということです。
そういう細胞が普通の人の3~4倍もあるのですから、少し食べるとすぐにまた太ってしまうということです。
だから、子どもの肥満は一生の肥満につながるのえすが、この原因をつくるのはやはり食事です。多くの場合、母親の選択する食品や料理が原因となっているのは言うまでもありません。
たとえば、焼いたり煮たりしたものではなくてフライにしたものを与える。生で食べられる食品でも加熱して与える。適切な加熱調理を行わずに加熱しすぎた料理を与える。あるいは、果物ではなく菓子を与えるといった選択が重なると肥満の原因がつくられていくのです。
たくさん食べないと十分に栄養がとれないという食事のパターンになるからです。
じゃがいもを例にとると、皮をつけたままオーブンで焼いたベイクド・ポテト、皮をつけあたままゆでて、熱いうちに皮をむいてスライスし、酢と油で和えたもの、あるいはゆでただけのものは味が自然で食べすぎることができません。そして、欲するだけ食べたときにはかなりの栄養がとれています。
ところが、ポテト・チップスやフライド・ポテトを買い与えるといくらでも食べられるので、カロリー、油(脂肪)、塩、その他のとりすぎになる。しかも栄養はそれほどとれないというわけです。
だから重要なのは、子どもに食べるのをひかえるようにいうのではなくて、与える食品や、料理の内容を変えていくことなのです。そうしないとわが子に、肥満とそれに伴う疾病という重荷を一生涯背負わせる結果になるのは目に見えています。
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