人問らしく働く脳の仕組み

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いつもイライラしている、すぐキレ、食卓や机をたたいて怒る... ... 。職場や友人に、こんな人は思い当たりませんか?意外にすぐ思い浮かぶのが、身内だったりする場合もあるかもしれません

パソコンやテレビゲーム、携帯電話でのゲーム、ゲームセンターなど、ゲーム機の流行は長年にわたってヒートアップし続けています。

世にこれだけゲームがあふれていたら、子どもや若者に限らず、大人でも熱中せずにはいられませんね。しかし、こんな社会現象に、今、危機感をもって警告が発せられています。これらのゲームには瞭発的な判断が必要ですから、日常的にゲームをすることでそういう面は身についていきますが、知、情、意といった人問性にまつわる判断力は、ゲームでは育ちません。

脳神経科学の専門家は、これらのゲームに長時間熱中していると前頭前野(人間でよく発達している脳の前方部分で、脳にl入った情報を総合的に処理・判断している) がうまく機能しなくなり、認知症の人と類似した状態、若年性痴呆という症状になると報告しています。

脳の活動状態は脳波で調べられます。思考などで頭を使っているときはベータ波、安静時にはアルファ波、眠気がさすとシータ波、深い眠りではデルタ波が出現します。

ところが、認知症になると前頭前野の働きが衰え、ベータ波が低下するのです。そしてなんと、ゲームによって、今、前頭前野に認知症と同じような異変が起きているというのです。ゲームを始めると、約1分後にベータ波が減少し、認知症状態になります。

そして、通常はゲームをやめると20〜30秒で元の状態に回復します。しかし、ゲームを常習し続けると、やめた時点でも、認知症と同じような脳波が持続するという衝撃的なデータがあります。正常な場合の脳の活動から行動に至るまでの過程を説明しておきましょう。

たとえば、目の前のかわいい赤ちゃんを抱き上げるまでのプロセスの場合です。まず、赤ちゃんを見たとき、視覚情報は、最初に後頭部にある一次視覚野に入ります。そして、後顔・側顔連合野で赤ちゃんの姿、色などを認知し、さらに海馬や頭頂連合野で赤ちゃんがいる位置を認知します。

これらの情報は、直ちに前頭前野に送られ、どうやって赤ちゃんを抱き上げるかという行動の判断がなされます。行動への判断情報は脳のほぼ中央にある運動野から運動連合野を介します。その結果として、体を動かし、赤ちゃんを優しく抱き上げるというわけです。

ところが、ゲームで遊んでいると、頻繁に入ってくる視覚情報だけで瞬時に体を動かす習慣は身につきますが、感性、思考、意志といったもっとも人問らしさをつかさどっている前頭前野を働かせる機会がありません。

先ほどの例であれば、赤ちゃんだからこそどのように抱き上げればよいのかを判断するのが前頭前野です。前頭前野は、人問らしさである思考、優しさ、気づかいなど (情緒指数) を形成する重要な役割を担っているところなのに、そこが衰えてしまうとどのようになってしまうのでしょうか。このような現状から、現在、日常の社会生活・学校生括でも、前頭前野を育む環境づくりの必要性が指摘されています。