老化防止は噛んで脳に「喝」

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『高齢社会自書』によると、今から16年前の2003年10月1日には、65歳以上の高齢者人口は2431万人であり、総人口に占める割合(高齢化率)は19.0% でした。

2050年には、35.7% (3人に1人) になるとの予測。いよいよ「超」高齢社会に突入しますが、同じ長生きをするなら、病身で生き永らえるより、健康で豊かな高齢期を迎えたいものです。

そのために今、求められているのは、自分自身の生活習慣の改善ではないでしょうか。そして、それは、誰にでも今すぐ実行できることです。そして健康で丈夫な老後を迎えるためにとても大切なことなのです。

生活習慣を見直すにあたり、まず考えたいのが食事。どれだけ楽しく食事をしているか、食べる量は適量か、この2点が健康のバロメーターになります。無理をせず、年齢に応じた自分なりの生活リズムを守る。そして、栄養バランスがとれた「おいしい」と思える食事を選んで、楽しみながら、よく噛んで食べているなら、あなたは最高の健康法を獲得している達人といえるでしょう。

人問は誰しも、加齢とともに「食べる機能」も徐々に衰えてくることは避けられません。高齢になるにつれて、

  1. 歯が悪くなり、うまく噛めなくなる
  2. ご飯よりお粥、やゎらかいものを食べたい
  3. 味を感じにくくなる(とくに塩味、甘味)
  4. 唾液の分泌が少なく食べにくくなる
  5. どに食物が残った感じがする

などの変化は、いずれも自然な老化過程の初期症状です。しかも、噛まないようになると、いっそう急速に老化が進み、認知症(痴呆症) へと至る可能性も高くなります。ですから、このような症状に気がついたときが老化防止のチャンスです。

早めに専門医や関連する専門家と相談しながら、これらの症状の改善に気を配ることが賢明です。神様が教えてくれる「初老の兆し」を放置することが「老化と病気の始まり」になります。

また、高齢期における孤独感や疎外感、生きがいの喪失などは、食欲低下の原因になり、食欲低下は筋力、気力の衰えへと進み、さらに食べることが困難な状態になるという悪循環に陥ってしまいます。

さて、「食べる機能」はすべて脳で統合されています。口は手や足と同様に、大脳を前後に分けている中心溝のすぐ前にある大脳皮質運動野の指令によって動かされています。

そして、中心姓溝の後ろにある体性感覚野が触覚、圧覚、痛覚などの感覚をつかさどり、さらに、食物を目で見て、匂いを喚いで、味を調べて、食べてもよいかどうかを判断します。

そして、食事を介した楽しい思い出や、おふくろの味を懐かしむ人問らしい情緒感、また政治や歴史、人生観についての議論などの高次精神機能も含め、このように口は、実に多くの脳神経細胞と連動する脳神経ネットワークを形成しているのです。

だからこそ、老化に気づいたら、「食べる機能」、とくに「噛むこと」を介して、自分の脳の働きに「喝」を入れることが必要です。肉、魚、野菜などの食物の持つ栄養といぅ面ももちろん大切ですが、食物が持つ固有の「歯ごたえ」や「噛みごたえ」を堪能(脳に入力) することが脳の活性化、すなわち老化や認知症の防止、記憶力の強化に不可欠であることが、科学的に証明されてきました。

若々しい活性化した脳の健康を取り戻すために極めて効果的な手法が「よく噛んで食べる」ことである、そういっても過言ではないのです。

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