毎日、シャンプーをすると頭皮や髪を保護する常在菌が流れてしまうので薄毛の原因になる

皮膚を保護し、水分の蒸発を防ぐ大切な働きを担っている

現荏、日本には、非常に抗菌グッズがあふれています。テレビでは、抗菌、除菌、消臭をうたう商品のコマーシャルが頻繁に流れ、実際に私たちが日常的に手にしている商品は、ボールペンから下着に至るまで、抗菌グッズだらけといっていいでしょう。

日本にいる限り、抗菌グッズにふれないで生活することはできない状況になっているといってもいいぐらいです。日本は、まさに抗菌社会です。多くのかたは、抗菌グッズで菌を寄せつけないようにしていれば、健康が保たれやすいと考えていると思いますが、決してそんなことはありません。

むしろ抗菌社会そのものが、新たな病気を生み出しているのです。日本人は、「洗えばきれいになる」と思って、せっせと体を洗います。しかし、事態は全く逆で、「洗いすぎると汚くなる」のです。

これは、どういうことでしょうか。私たちの体は、いろいろな微生物で守られています。皮膚にrは、表皮ブドウ球菌などの10種類以上の常在菌が存荏し、私たちの皮膚を保護しているのです。。鼻やほお、あごには、200万以上もの菌がひしめいています。きれいな肌というのは、この皮膚の常在菌によって保たれているといえるでしょう。

常在菌は、皮膚の脂肪をえさにして、脂肪酸という酸性の膜をつくって皮膚を守ります。この膜があるからこそ、外からのアレルゲン(アレルギー症状を引き起こす原因となるもの)や、悪い菌などが皮膚に侵入するのを、防いでくれているわけです。

同時に、皮膚内部の水分が蒸発しないようにしています。肌を洗いすぎると、皮膚の常在菌を洗い流してしまいます。すると、皮膚の角質層がばらばらになり、アレルゲンが侵入し、アトピー性皮膚炎になりやすくなるばかりか、皮膚の中の水分が蒸発し、乾燥肌にもなってしまうのです。

ある実験によると、石けんで体を洗うと、皮膚表面の常在菌は、90%が洗い流されていました。若い人なら、12時間程度で常在菌の数が正常に戻りますが、中高年以降になると、常在菌の数が正常に戻るのには、20時間程度必要でした。

つまり、若い人の場合、1日1回までなら、ふろで石けんを使って体を洗っても大丈夫ですが、2回以上洗うと、常荏菌の数が減少し、皮膚の角質がばらばらになったり、肌が乾燥したりと、かえって悪影響が起こってきます。

ましてや中高年の場合、石けんで体を洗うのは、2日に1回くらいにとどめたほうが、皮膚のためにいいのです。60歳を過ぎたら、体を石けんで洗うのは2~3日に1度くらいで十分です。

洗髪は2日に1回、またはお湯だけにする

同様に髪の毛についても当てはまります。頭皮の皮脂腺からは、皮脂が分泌されています。皮脂は、頭皮の常在菌の働きにより、汗と混じることで乳液状になり、頭皮や髪の毛に広がるのです。

そして、それが、ほかの皮膚の場合と同様に酸性の皮膜を作ることで、頭皮を守っています。この皮脂がなくなれば、頭皮も毛髪も、カサカサと乾燥した状態になってしまうというわけです。

頭皮には、体の中で最も多く皮脂が存在します。このため頭皮は、体のほかの部位の皮膚よ仇りも確かに丈夫なのですが、それでも頭髪を洗いすぎるのはよくありません。洗いすぎれば、頭皮の皮脂を奪うことになり、それが髪や頭皮に対しても悪い影響を及ぼします。

皮脂が不足すれば、毛根にもよくありません。この意味で、石けんで体を洗いすぎると皮膚の健康のためにならないように、シャンプーで髪を洗いすぎることは、頭髪の健康を守るうえでも、いい結果をもたらさない可能性が高いのです。

逆にいえば、ちょっとくらい不潔なほうが、髪の健康のためにはいいといえるでしょう。例えば、作家の五木寛之さんは、10日に1回くらいしか頭を洗わないということですが、あのように髪が豊かで、フサフサとしています。タレントのタモリさんも、入浴は毎日するものの、石けんで体を洗わないと公言しているそうで、やはり、髪が黒々としています。データを取って調べたわけではありませんから、ハゲと洗髪回数の間にどれだけ密接な関連があるのかわかりませんが、経験上、やはり、シャンプーのしすぎは、髪にとってよくないといえそうです。

では、どれくらいのペースで髪を洗えばよいでしょうか。10日に1回というのは、なかなか難しいでしょう。ですから、できれば、2日に1回程度にするのがよいでしょう。髪は毎日洗わないと我慢できない、というかたは、毎回使用するシャンプーの量をできるだけ少なめにしましょう。また、お湯だけで洗うのもいい方法です。

いずれにしても、何事もいきすぎはよくありません。抗菌グッズに囲まれた私たちは、抗生物質や殺菌剤の乱用により、ウィルスや細菌などの微生物とつきあう機会が、極端にへってしまいました。その結果、日本人の免疫力は大幅に下がってしまい、多くのかたが、さまざまなアレルギー性疾患に、悩まされるようになってしまったのです。免疫力をアップさせ、健康維持を図るため、私たちは、今の抗菌社会のあり方を、抜本的に考え直す時期に来ているのではないでしょうか。

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