朝、起きられない時の病気

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夜間の睡眠の量が不足したり質が悪くなると、朝、なかなか布団から出られなくなります。また、過眠症を起こす病気でも、起床が難しくなることがあります。ここでは、それ以外の病気について解説します。
就寝と起床の時刻が狂う「非二四時間睡眠覚醒症候群」

「非二四時間睡眠覚醒症候群」は、就寝時刻と起床時刻が1時間ずつ遅れていく病気です。健康な人なら、朝の光を浴びると体内時計がリセットされて、地球の昼と夜に合った24時間周期の生活を送れます。しかし、このリセット機構が壊れてしまうと、体内時計が本来持つ25時問の周期で、睡眠と覚醒を繰り返すようになります。
これが、非二四時間睡眠覚醒症候群です。この病気は、もともと、視覚障害者や閉じこもり者のように、十分な光を認識できない人にみられる病気でした。しかし最近では、そのような障害がない人でも、長期休暇などで昼夜逆転の生活を送った後で発症することが、増えています。
睡眠不足だと思い込んでいる「睡眠状態誤認」

必要な睡眠の量と質が足りているのに、まだ布団にしがみついて、眠ろうとあがいている人がいます。年をとるにつれて、必要な睡眠時間は短くなるのに、若い頃と同じ時間眠らないといけないと思っている高齢者。あるいは、6時間未満の睡眠しか必要でないショートスリーパーが、「8時間眠らないと健康に悪い」と信じている場合。このように、自分の睡眠を誤解していると陥る目覚めの悪さが「睡眠状態誤認」です。
睡眠は、長くとればよいというものではありません。朝、睡眠をむさぼるのは気持ちよく感じますが、睡眠の質の面から見ると悪い睡眠を続けていることになります。
また、ダラダラ眠った後は心身のメリハリがきかず、体がだるくやる気も出なくなります。それでも、自分で睡眠の状態を誤解していることに気づけば、スッキリ起きられるようになります。自分一人で難しければ、睡眠ポリグラフ検査 で睡眠の状態を確認したり、カウンセラーに繰り返し現状を指摘してもらうと、負のスパイラルから抜け出しやすくなります。
不登校や引きこもりにもなる「回遊性人格障害」

不登校や出社拒否の多くは、朝、起きられないことから始まります。たまに学校や会社に行きたくないと思うことは、多くの人が経験します。しかし、この状態が長期間にわたって繰り返されると、人格障害の一つである「回遊性人格障害」になる危険性があります。
この病気になる人には、性格に特徴があります。それは、他人からの批判や拒絶を恐れ、恥をかくことに過度に敏感なことです。愛情を求める気持ちや、人に受け入れられたいという思いは強いのですが、それ以上に不安が強いため、新しい仕事を始めたり、親密な人間関係を築くことがうまくできません。一度、失敗や拒絶、批判にあうと、引きこもって自分だけの世界に入ってしまいます。
ひどい寝ぼけが続く「てんかん発作後もうろう状態」

てんかんは、脳の神経細胞が異常な電気放電を起こし、それが全身に伝わって痙撃や意識障害などが発作的に生じる病気です。日本では、100人に1~3人がてんかんにかかっています。てんかん発作は、「ポケモンショック」で有名になった光刺激や壌境の変化、過呼吸、精神的不安感、過度の疲労、睡眠不足が引き金となって起こることがあります。
てんかんは発作の後、もうろうとした状態が、長いときには数時間続くことがあります。これが、「てんかん発作後もうろう状態」です。このときに無理に起こそうとすると、興奮してひどい寝ぼけ状態になります。睡眠中にてんかん発作を起こしても、それを知らない家族などが朝、起こそうとしてもなかなか目覚めない場合が、これにあたります。てんかんは、脳波検査をすると特徴的な波が出ているので、診断が容易につきます。心配なときには、睡眠障害や精神科の専門医に相談しましょう。

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