梅干し顔がつくられるのは

年齢を重ねるにつれ、人から「老け込みましたね。どこかお悪いのですか? 」とか、逆に「何で、そんなに若々しいの? 」といった何気ない問いかけにギクッとしたり、うれしく思ったりした経験はありませんか?

老化の徽候は誰にも避けられないもので、顔にもはっきり表れてきます。とくに、お年寄りになると、口元がくぼみ、唇を中心として縦敏が放射状に増えてきます。これは「老人しわ性顔貌」と呼ばれ、通称、「皺顔」とか「梅干し顔」ともいわれています。

実は、この皺ができる大きな原因が歯にあるのです? 歯がなくなると、歯を支えていたあごの骨が大量に消失し、皮膚にたるみが生じ、これが黒褐色の皺になるのです。

ですから、お年寄りのあごの骨を守るためにも、バランスがとれた栄養物質やカルシウムをとるだけでなく、よく噛む習慣が大切であり、これらが皺の目立たない若々しい顔を維持する秘訣といえます。

寝たきりの方にも同じことがいえます。介護する場合、手足のストレッチやマッサージと同様に、しっかり「噛む」ことも、せめて歯とあごを守るためにも心がけておきたい重要なポイントです。

また、高齢者の方のなかには、はっきりとした発音がしづらく、言葉がこもりがちになる方がいらっしやいます。しかし、噛むことで、あごの骨がしっかりとし、そのまわりの筋肉がつくと、表情だけでなく、言葉も明瞭になります。

噛む行動と話す行動では使う脳の中枢は異なっているので、噛むことで言葉に関する脳の働きがよくなることまでは期待できませんが、噛んで飲み込むまでの問に、唇、舌、のどを使った複雑な運動が行われるために各部位が鍛えられるので、言葉を発するときも、口のまわりの各器官が動かしやすくなります。だから、「よく噛む」と、はっきりとわかりやすく話すことができるようになるのです。

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