1週間ごとでなく1日ごとにストレスを解消する方法

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「やる気が出ないときのメンタルコントロール法」というのはかなり難しい。それは「やる気が出ない状態にまで陥ってから、やる気を出そうとしたって、それは大変だ」ということです。やる気の出ない状態でやる気を出そうというのは、ガス欠の状態でクルマを走らせようとするのと同じですから。ですから大切なのは、やる気が出ない状態に陥るようなことがないように、普段から心と身体のマネジメントをしっかりと行なっておくことです。

私は、心身ともに健康的な生活は、運動、労働、睡眠、休養、食事、会話をバランスよくとることによって成り立つと考えています。しかし多くの人は、平日は労働と睡眠だけの生活になっているのが現実です。仕事しかない毎日だと、人の心は枯れていきます。そのため誰もが、「平日は仕事一色になっているぶん、せめて休日ぐらいはリフレッシュよう」と考えるわけですが、これが難しい。

1日中寝てしまって、気がつけば何もしないままに週末が終わってしまったりします。「いろいろやろうと考えていたのに、結局何もできなかさいなった」と思うと、後悔の念に苛まれます。そして、「明日からまた仕事一辺倒の生活が待っているのか」と考えると、さらに気分が重くなる。これが「ブルーマンデー」のメカニズムです。

そこで私が推奨しているのが「一日決算主義」です。週末にまとめてストレス解消をしようとするのではなく、その日のストレスはその日のうちに解消するのです。具体的には、運動、睡眠、休養、食事、会話の時間を毎日、確実に確保すること。すると、精神的に充足した状態で翌朝を迎えることができます。こんな話をすると、「毎日仕事だけで精いっぱいの生活なのに、そんな非現実的な」と思われるかもしれませんが、私は無理難題を言っているわけではありません。たとえば、ミステリーを読むのが好きな人であれば、毎晩寝る前の二十分間、好きな小説家の本を開いて読む。これだって立派な休養です。あるいは、起床時間を15分ほど早くして、毎朝夫婦で一緒に散歩を楽しむ。これで会話と運動の時間が確保できます。

こうやって、ほんの短い時間でもいいから、1日の中に休養や運動や会話を入れることで、仕事一辺倒に陥らないように気をつけるのです。なかには「ほんの数十分の運動や休養や会話の時間をとるのも困難」という人もいるかもしれません。しかし、だからといって仕事一辺倒の生活を続けていたら、心の中のエネルギーがどんどんなくなり、やる気も低下していきます。やる気が出ないと生産性が落ちるので、長時間労働を続けなくてはいけなくなります。すると、ますます仕事一辺倒の生活になり、さらにやる気が低下していく、という悪循環に陥ってしまいます。ですから、毎日の生活の中に運動や休養や会話を盛り込んでいったほうが、長い日で見れば、仕事にもプラスになるのです。


とはいえ、どんなに普段から運動、労働、睡眠、休養、会話をバランスよくとっていたとしても、それでもやる気が出なくなるときはあるものです。

上司やお客からこっぴどく叱られれば、誰だって落ち込んで、前向きな気持ちが保てなくなるでしょう。また、自分の実力ではとてもできないと思えるようなハードルの高い仕事を与えられたときに、「何とかやり遂げてやるぞ」という気持ちよりも、逃げたくなる気持ちのほうが強くなることがあります。こんなときに一番いいのは、自分のやる気をなくしている原因を取り除くことです。たとえば、仕事で難しい問題に直面していて後ろ向きな気持ちになっているとしたら、「今できることは何か」を冷静に考えてみたり、問題を具体的に紙に書き出して優先順位をつけてみたりするのです。

また、信頼できる人に解決策を相談すると、やるべきことが見えてきて、再び仕事への意欲が湧いてきます。発想の転換も大切です。難しい仕事を与えられたときに、「なんて損な役回りなんだ」と思うのと、「上司はチームの中でも自分にしかできない仕事を与えてくれた。これは私にとってとてもよい経験になるはずだ」と思うのとでは、取り組む意欲がまったく違ってきます。ただ、ほんとうにやる気をなくしてしまっているときは、問題解決の方法を考えたり、発想の転換をしたりする元気さえ出なくなっているものです。私は、こういうときには、もし可能であ
るのなら、思い切って休んでしまうのもアリだと思っています。やる気が出ない状態で無理をして残業をするのではなく、明日できることは明日に延ばしてしまうのです。人には元来、自然治癒力が備わっています。少しぐらいの風邪であれば薬を飲まなくても寝ていれば治りますが、これは心についても同じ。どうしてもやる気が出ないときには、早めに会社を出てジムで汗を流したり、趣味に没頭したりすればいい。すると、自然に心が回復に向かい、翌日から前向きな気持ちで仕事に取り組むことができるようになるのです。

メンタルヘルスで大切なのは、たとえやる気の出ないときがあったとしても、その状態を長引かせないことです。長引かせば長引かせるほど、うつ病につながっていきます。難しいのは、人間関係が原因でやる気が出ない状態が続いている場合です。直属の上司とソリが合わなくて、上司は自分を評価してくれず、また自分も上司を尊敬できないとなると、毎日会社に行くのが憂鬱になります。前向きな気持ちを保つのも困難になります。

残念ながら、私たちは、他人と過去は変えることができません。上司に対して「もっと私に対する態度を変えてください」と要求しても、変わってくれることはないでしょう。ですから、人間関係で悩んでいる場合、下手をするとやる気が出ない状態がずっと続くことになってしまいます。しかし、他人と過去は変えられなくても、自分と未来を変えることは可能です。

つまり、自分の上司に対する見方、接し方を変えればいいわけです。どんな人でも、必ず、長所もあれば欠点もあります。嫌いな上司でも、きっとどこか良いところがあるはず。そもそも、欠点だらけの人間であれば、上司に昇進しているはずがありません。だから、その人の長所を見つけて、その部分を好きになればいい。不思議なことに、こちらが相手を好きになると、相手もこちらを好きになってくれるものです。難しいかもしれませんが、ぜひ試してみてください。