鯛は「ご飯・味噌汁・漬物・納豆」で元気な体に!

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現代人はどうしても「欧米型の食生活が理想だ」という錯覚があります。ご飯を食べることほど大事なことはありません。たしかに添加物や農薬など、考えなければならないことが数々あります。しかし、一番大切なことは何かといったら、間違いなく、米のご飯をきちんと食べることなんです。
アトピーの患者さんなどは若い人が多いですから、そういう患者さんのお母さんなどには、昭和40年以降に生まれた人もいます。そんな若い患者さんやお母さんに、「朝はご飯と味噌汁と漬物ですよ。それに納豆でも食べてみたら」と言うと、「えっ? 」と驚く人もいます。
パンとコーヒーと牛乳とサラダ、それが普通の朝食だと思っているんですね。ぬか漬けを勧めると、ヨーグルトではダメですかと聞き返される始末です。
ヨーグルトがいいかどうかの話ではなくて、それほど欧米の食生活が理想であるという錯覚は、しみついてしまっているんですね。「あなたは、いくら足が長いふりをしたつて、腸の長さは私と変わらないんだよ」と言いたいんですけれどね。でも、欧米の食生活をまねた中で、一番深く日本社会に浸透したのは、肉や牛乳をとるということではないのです。
もっと大きく食生活が変化したのは、主食より副食を多く食べるようになったということなんです。日本人や韓国人や中国人は貧しいから、ご飯ばかり食べておかずが少ない。欧米の人たちは豊かだから、少しのパンにたくさんのおかずを食べる。
こう勘違いしてしまった影響なんですね。っまり、欧米の食生活を理想だと考えた結果、ご飯をしっかり食べることは貧しいことなんだと思い込んでしまったわけです。このことも考えてみれば、非常に浅はかな勘違いなんです。

わかめは頭髪によくてレバーは肝臓によい…は錯覚

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こうした歴史の中でつくられた常識のせいで、食生活に関する3つの錯覚を植えつけられてしまっています。その錯覚を取り去らなければ、食生活の本を読めば読むほど、人の話を聞けば聞くほどわからなくなってしまいます。
そこで、3つの錯覚とは何かについてお話しします。
まず1つ目が、「肉を食べて筋肉もりもり」という錯覚です。髪が薄くて困っている人は大抵、一生懸命わかめをを食べています。海藻を食べることはいいことだと思います。ただ、そこには大きな錯覚がありますね。
もしその人が考えるように、海藻を食べると海藻のように髪が生えるなら、もずくを食べるともずくのような髪の毛が生えてくるんですかね。
そうすると、とろろ昆布を食べたらストレートヘア、ひじきを食べたら五分刈り…そんなことはわるわけがありません。
でも、この人のような短絡的な錯覚は結構多いんです。たとえば、今でも保健所では、赤ちゃんのためのお母さんの授乳教室で、「おっぱいをよく出すためには牛乳を飲んでください」と平気で言っているところがあります。

これも笑い話ですよ。牛乳を飲んで、それがそのまま胸から出てきたら、母乳ではなくて牛乳ですよ。飲んだ牛乳が、そのまま胸に回って出てくるわけではありませんよね。
ところが、いつの間にか、そういう言葉が普通になってしまうんです。

誰もが人間は、食べ物を消化するわけです。消化するというのは、まさに消して化けるということです。たとえば、ご飯には、おっぱいをつくる成分があるわけですよ。
体の中でさまざまな食べ物を消化し、おっぱいをつくるのであって、牛乳を飲めばそのまま出てくるわけではないんです。それなのに、そういう錯覚がじっに多いんですね。

骨粗鬆症と牛乳についても、同じように錯覚しているんです。牛乳にはカルシウムが多い。骨にもカルシウムが多い。だから、牛乳を飲めば骨が丈夫になる。これも錯覚なんです。
そんなにカルシウムをとりたかったら、セメントをなめればいいんです。大量にカルシウムがありますからね。それで骨が丈夫になるというのと同じだということです。

あるいは、「貧血の人はレバーを食べろ」というのも同様の錯覚です。たしかにレバーは赤いですよ。でも、レバーを食べても輸血しているわけではありませんからね。レバーを食べても、それが血管の中に入っていくわけではありません。私たちは、ご飯や野菜なども食べて、それを消化し血をつくつているのであって、血を飲んで血をっくるのではありません。

食べ物からおっぱいも血もつくつているんです。だから、昔のある年齢以上の人は、おっぱいを出すには牛乳を飲めだなんて、そんな駄酒落のようなことは言いませんでした。その代わり、伝統的に全国的には3つの食品を共通して勧めていたものです。

一番多いのは餅ですね。二番はコイです。そして、三番目が味噌汁です。これらの食品を母乳の出ない人に勧める例が、全国的に多かったんです。この3つの食品がいいというのは、経験的に出てきたんでしょうね。もし、レバーを食べて貧血が治るのなら、レバーより血を飲んだほうが手っ取り早くていいですよ。でも、私たちの体というのは、そんなふうにできていません。いろいろな食品から体に必要なものをつくり上げているんです。そうでなければ、私たちの胃袋や腸はこんな複雑な構造をしていないと思います。便秘するほど複雑な構造をしているというのは、化けるという作業をやっているからなんです。

間違った食の常識

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昭和36 年に、「1日1回フライパン運動」が実施されました。この運動の意味がわかりますか? 別名、「油のオリンピック」と言います。
フライパンを使って、油をたくさんとろうという意味だったんですね。油をたくさんとる国は豊かな国で、油の摂取量が少ない国は貧しいんだという考え方です。
この運動が、保健所などを通して推進されました。それから、昭和38八年に、「タンパク質が足りないよ」というコマーシャルが大流行したわけです。
また、「牛乳や卵や肉は完全栄養食品」というすごい言葉もありました。完全栄養食品というのは、他には何も食べなくても、それだけで生きられる食品という意味ですね。卵だけで毎日過ごせるのかと考えたらおかしいわけですが、そういう言葉まで出たほど、肉、卵、牛乳をたくさんとることがいいんだと信じられたわけです。

「タンパク質信仰」が決定的になったのが東京オリンピックですね。昭和39九年、オリンピックをテレビで見ていた当時の人たちは、おにぎりと味噌汁を食べていて体の小さい日本人は、肉などをたくさん食べる外国人にかなわないと思ったんです。柔道でも負けてしまうし、走っても遅いし、飛ぶのもダメだと。唯一頑張っていたのがプロレスの力造山ぐらいで、あとはことごとく外国人に負けてしまうと思ってしまったんですね。オリンピックで負けるのが悪いかどうかは別問題として、タンパク質をとらないと体が大きくて強くならないと思い込んだのです。

食生活の一番の問題点

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これだけ健康の情報が氾濫していると、今の食生活はやはりどこかおかしいと思っている人が増えていると思います。そこで、まず最初に何がおかしいのか整理します。
そして次に、現代において食生活をどう考えればいいのか、その指針となる考え方をお話しします。そして最後に、食生活の改善法を買い物の話を含めて具体的にお話しします。

今の常識的な考え方というのは、1日30品目食べて、塩分を10g以下に減らして、緑黄色野菜を300g食べるーだいたいそんな感じでしょう。
ご飯を少なくして、数多くの食品をまんべんなく食べるというのが一般的な常識です。そういう常識ができてきた背景というのを、時代をさかのぼつてお話しします。

この常識が広がった背景には、昭和30年代の栄養改善普及運動というものがあったのです。そして、この運動の理論的な根拠として「食生活近代化論」という理屈がぁりました。このことの影響が今でも残っているんです。
そして、このせいで食生活がわかりにくくなっているんですね。では、一体どういうことが行なわれたのかをお話しします。まず、昭和25年に「タンパク質をとりましょう運動」というのが始まりました。それから昭和32年、6つの基礎食品を提唱し、この知識の普及が始まったんです。

今でも保健所や病院では、この基礎食品の表を貼っているところがありますね。一群は米など、二群はタンパク質、三群はカルシウムという具合に、食品をまんべんなく食べるため、6つに分類した表です。大学によっては、6つではなく4つに分けているところもありますが、狙いは同じです。

そして、その年に『頭脳』という本がベストセラーになりました。慶応大学医学部の林先生が、頭をよくするのにはどうしたらいいかを書いた本で、ポイントが2つあります。
その一1つが「米を食べるとバカになる」ということだったんです。この本がベストセラーになって、日本中にこの考えが広まってしまったわけです。
こういう例はいくらでもあるんですね。たとえば、現在流行っている、「牛乳を飲んで骨粗鬆症を予防しよう」というのも同じです。20年、30年たってみたら信じられないようなことが、平気で常識になるというのは結構多いんです。

健康についての情報というのは影響力が強いんです。ただ、味の素をなめて頭がよくなるというので、本当に子供になめさせてしまった当時のお母さんは、今で言えば『チョコレート健康法』を買うような人だったろうなとは思います。それはともかく、この本がベストセラーになって、米食低能論が広まったわけですが、この影響は今でも根強いですね。今では、さすがにバカになると思っている人はいませんが、ただ、米をたくさん食べることはよくないというイメージが植えつけられました。

1日に何品自食べればいいのか? は健康には無関係

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たとえば、1冊も食生活の本を読んでいない人は、たくさんの種類の食品を食べることがバランスのとれた食事だと考えます。実際、病院で食事指導をしていると、「1日30品目食べなくていいんでしょうか」と言う患者さんが多いんです。患者さんのうち、だいたい4割から5割の方がこうした質問をします。私は短い時間の中で、買い物の話から献立の詰までしなければいけないので、1日30品目という質問に何とか早く答えられないかと思って、「じや、七味唐辛子でもかけてくださいよ、7つ増えるから」と笑ってごまかしてしまうんです。

これは、そのくらいどうでもいいことなんです。そして、食生活の本を10冊読んだ人は、そのうちの一つを信じ込んで突っ走ります。今この本を読んでいる人の中にも、突っ走っている人がいるかもしれません。

本人はハワイに向かっているつもりで、台湾に着いてしまう人ですね。30冊の本を読むと、だいたいノイローゼになります。「あれっ、こつちの本で青汁がいいといったのに、こつちの本には青汁はダメだと書いてある」というように、本と本の間の矛盾に気づくんです。
30冊も読むと、必ずバッティングします。そうすると、わけがわからなくなってくるんです。そして、100冊も読むと何も食べられなくなります。ある本では肉はダメ、ある本ではl: ジンはダメ、ある本では果物はダメと書いてあります。そうすると、食べられるものが何もなくなります。
それが食生活の本の実態なんです。私の本をすでに読んでいる人の中には、「おもいッきりテレビ的な人」は少ないと思います。ところが病院には、アマチャヅ〜から紅茶キノコになって、今はニンジンをぼりぼり食べているという人が来ることもあります。「あなた、今度は何をやるんですか」と聞きたくなるほどあれこれと変わるんです。私はそういうのを「趣味の園芸」と呼んでいます。こういうのは、放っておいても実害はありません。

チョコレートではなくニンジンですから、食べること自体は体に害もないし、悪くもありません。ただ、そういう人は、食生活全体は変えませんね。好きなものを食べながらニンジンを食べるんですから。それで体が変わるなら、一番簡単でいいと思いますが、そうはいかないんです。

お皿でなくお盆について

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本屋さんに行って本を探そうとすると、当たるも八卦の世界、運がよければいい本に出会える。おもいッきりテレビ現象」と呼んでいる人もいます。「おもいッきりテレビ現象」というのは、同タイトルのテレビ番組の健康特集のように、食生活全体のことではなく、食べ物のことばかり話題にすることを指します。
じつは、本屋さんにある「食生活」と名乗っている本のほとんどは、食べ物の話しかしていないんです。これから私がお話しするのは、「水はどうか」「ご飯はどうか」「野菜はどうか」、そして買い物の仕方や、1日の食事の回数なども含めた、「日常の食事の考え方はどうか」という、食生活全体の話です。
つまり、食べ物だけではなく、それらをのせているお盆全体の話ですね。ところが、本屋さんに行ってみると、大部分は食べ物の話だけの本なんです。この間、大型書店の健康書のコーナーに行ってみたら、行き着くところまで行ったという感じがします。ひどいと思います。「アマチャゾル」だの「ハーブティー」だの、よくわからないのがたくさん出ていますが、これらのほうが、まだましに思えるくらいひどい本です。「00健康法」の中には「青汁健康法」など、何となくよさそうだなというのもありますが、「ココア健康法」というのも混じっていたりするんです。これを見て驚きました。どういう理屈でココアを勧めるのかと思い、立ち読みしてみましたが、ますます呆れただけでした。それから、極
めつけは先程の『チョコレート健康法』ですね。本屋さんの健康法のコーナーは、ま
つたくひどいことになっています。
「これを食べれば健康になれる」という「おもいッきりテレビ現象」では、いろいろ
な食べ物が健康にいいと紹介されています。
もし、すべての食べ物健康法が正しいな
ら、世の中に病気になる人はいません。若い女性の中には、ご飯も食べないでチョコ
レートをはじめお菓子ばかり食べている人がいますが、あの本を読むと、そういう人
が一番健康だということになるんです。信じられない話です。
ですから、食生活の情報はあふれているようで、じつはそのほとんどがいいかげんな食
べ物だけの話なんです。食生活全体を考えないのは本の世界ばかりではなく、国立が
んセンターなどの医療機関でも、「ワラビを食べるとガンになる」などと、食べ物だ
けの話をしている始末です。

食生活全体をよくしてさえ、病気や健康にとってほんの一部の役割にしかならないと思っているんです。
健康は生活全体の問題であり、食事だけで語れるものではありません。ましてや、
ある食べ物さえ食べれば健康になるなんて、無茶な話です。チョコレートを食べたら
健康になるなんて、どう考えてもおかしいんです。だから、食べ物健康法を説いてい
るほとんどのの本は、いいかげんだと言っているわけです。

食生活を指導しない病院

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現代の、食生活一般について現在どのような状況なのか、具体的なお話をしながらすすめます。病院では予約をとっても2時間待ち、3時間待ちは当たり前ですがあまり時間をかけて診て貰えないことがほとんどです。
また患者の中にはガンの患者さんが多くみられます。
患者さんの中には、かなり遠方から診察に来る人も多いのです。
なぜ、遠くから病院まで患者さんが診察に来るのでしょうか?その理由をたとえて言えば、こういうことだと思うんです。ガンの患者さんなどの場合、体という畑に「雑草」が生えてきてしまって、それを抜いたり焼いたり切ったりすることは、どこの病院でもやってくれます。「雑草」という意味は、体にとって具合の悪いものということです。どの病院でも、それをとることはやってくれますが、それが終わったら、あとは好きにしてくださいという態度なんです。

そうされると、「病気になる前と同じ生活をずっと続けていって大丈夫なんだろうか」「また畑に雑草が生えるのではないか」と、患者さんは不安になると思うのです。それでわざわざ遠方から、病院にまでやって来るんだと思います。

さて、生活の一部として食生活があるわけですが、ほとんどの医療機関というのは、患者さんに食生活を教えません。教えない理由のひとつは、採算がとれないからです。
糖尿病の患者さんで、大学病院などに行っている場合は、食生活の指導を受けているかもしれません。でも、病院はそれでいくら収入があると思いますか?
1人で数千円くらいにしかなりません。
これでは、病院は食事指導をやりません。当然です。指導する人の場所代や人件費を考えたら、とても採算がとれません。ですから、大きな大学病院の場合は、糖尿病教室を行なって、1人1000円で100人集めて何とか採算をとるということになるわけなんです。ですから、病気になっても、食生活をまともに指導してもらうことは、残念ながら困難なのです。。
ましてや健康なうちに、食生活に関心を持っても、どこでも教えてくれません。それが現状だと思います。そうすると、気になる人は、図書館や本屋さんに行って、いろんな食に関する情報を集めるようになるのです。