ストレスは胃腸を直撃

  • どうも食欲がなくて、胃がキリキリする
  • 緊張するとすぐにトイレに駆け込んでいる

強いストレスを受けると、数ある臓器の中でも、士具っ先に「胃」や「腸」の調子が悪くなるものです。なぜでしょうか?

それは「心配ごと」があると、自律神経が乱れるからです。そして、自律神経の影響をもっとも大きく受けている器官である胃腸が、最初にダメージを受けてしまうからです。

ある消防士さんが「最近どんどん視力が落ちてきて、仕事にも影響する」と、わざわざ北海道から来院されたことがあります。消防士の仕事は、常に危険と隣り合わせの、命がけの仕事です。しかも、夜中に仮眠をとっている間も、いつ呼びだしがかかるかわからないため、ストレスがたまります。

触診したところ、胃腸がガチガチにかたくなっていました。私はまず、おへそのまわりをマッサージして、かたくなった胃腸をもみほぐしました。これで、こわばった内臓機能をよみがえらせることができるからです。

そして、内臓を鍛えるエクササイズや、ちょっとしたスキマ時間に、副交感神経を活性化させる、深呼吸をするよう指導したのです。すると1ヶ月後には、自律神経のバランスが整ってきて、集中するときは集中し、休むときはしっかりリラックスできるようになりました。

内臓の調子が改善するにつれて視力の急激な悪化も止まり、徐々に回復に向かっていったのです。

胃もたれ・胃痛・胸焼けは麹入り酵素

「木の根」は、木にとって、生命力の源です。木の根は青々とした葉を茂らせ、美しい花を咲かせるために、大地から水や養分をとり込み、太い幹をささえるために、深く広くはりめぐらしています。人間の体でいうと、この「木の根っこ」に当たるのが「胃腸」であり、中医学ではもっとも大切な臓器だとしています。

そう、心臓よりもです!なぜ「胃腸」がもっとも大切な臓器なのかというと、私たちの血や骨や筋肉体のすべては、胃腸が吸収した栄養素でつくられているからです。胃腸が食べ物を消化・吸収しなければ、人間は生きられません。胃腸が弱れば、消化もままならず、栄養も吸収されないまま排泄されてしまい、目と深くつながる「肝臓」にも必要な栄養が供給されなくなります。

胃腸が健康になって、きちんと栄養を運ぶようになれば、目のトラブルの改善につながるのです。一般に人間の内臓は、外側からさわることができず、また、内臓の働きは自律神経に左右されているため、自分ではコントロールできないと思われています。

ところが実際は、お腹をマッサージしたり、運動で揺らしたりするという具合に、体の外側から刺激することで、活性化させることはできます。そしてラッキーなことに、外からの刺激で活性化しやすい内臓の代表が、「胃腸」です。人間の大人の腸の面積は、広げるとテニスコート1 面分はあるといわれており、胃と腸を合わせると、内臓の中でもっとも大きな部分を占めています。この胃腸の働きを活発にすれば、逆に自律神経にも影響を及ぼし、自律神経を活性化させることができるのです。自律神経の状態がよくなれば、血流も改善されますから、目に酸素がしっかり届きます。「目のトラブルに胃腸が関係している」というと、ほとんdの人が驚きます。でも、「そういえば、胃を壊してから視力が落ちた」という方が圧倒的に多いのです。

1年前から目がかすみ、運転が大変

私は個人タクシーの運転手をしています。車の運転に適正な視力は必要不可欠ですが、1年前から目がかすむようになりました。眼科で診察を受けた結果、白内障と診断されました。

目のことはふだんから注意していたので白内障に違いない、と自分でもわかっていました。手術を受けて運転士を続けている仲間もいますから、白内障と診断されても、老化現象だなという程度でした。

先生からは『手術の必要はまったくないが、定期的に検査だけはきちんと受けて経過を見ましょうといわれました。例外はあるものの、白内障の進行はゆるやかです。

経過観察とは何もしないということですが、きちんと目をいたわるようにしました。目が疲れたら濡れタオルで冷やし、暗い場所では、文字を読んだりテレビを見たりも徹底してしませんでした。白内障の完治をあきもとめぐあきらめていましたが、ツボの本を読んで、白内障に効くツボがあることを知りました。

目は、車を運転する私の商売道具ですから。足の親指の甲側(大敦のツボ)を3~5秒押して手を離す。これを5~10回くり返しました。ほんとうはこれだけでいいといわれたのですが、念を入れて足の親指の上を10回、手の人さし指でゆっくりこすりました。

毎晩風呂上がりに足指刺激を行いました。仕事の合間の休憩時間にも、喫茶店や車の中で足指刺激を行いました。2週間ほどで目のかすみが薄れてきて、1ヶ月後には視界がすっかり晴れ、目のかすみやまぶしさをほとんど感じなくなりました。

半年に一度、目の定期検査を受けていますが、白内障はまったく進行していないといわれました。つい1ヶ月前のことです。

40代からはじまる白内障の水晶体の白濁はツボ刺激で解消す

目のかすみといっても、実際にはいろいろな症状があります。近視は遠くの物の輪郭がはっきり見えず、老眼は近くの物がはっきり見えません。また、目を酷使して疲労が積もると、目全体がぼんやりして、見ることに集中できなくなります。そのかすみが病気によるものなのか?疲れからきていいるかを判断するのは困難です。

白内障には、先天性や糖尿病から来るものもありますが、大半は老化によるものです。水晶体の白濁は40代から始まるといわれています。白内障が進行すると、明るいところでまぶしさを強く感じる、暗いところで物が見えにくい、視界全体が黄色っぼく見えて淡い色の見分けがつけにくくなる、といった症状も現れるようになります。

そこまでひどくなる前に、足の親指にある大敦というツボの刺激をおすすめします。大敦は、足の親指の小指例の爪の生えぎわの角から三ミリほど下にあります。大敦は、昔から、目の周りの血行をよくして、目の栄養補給と老廃物の排出を促す効果が大きいツボとして有名です。

さらに、たんばく質や鉄をはじめ、多くの栄養分を貯蔵する肝臓の働きを強め、胃腸の働きもよくする効果があるといわれています。大敦のツボを指で押すと、脳の循環中枢が刺激されて血流がよくなり、自律神経も安定します。その結果、日に対する栄養補給と老廃物の排出が盛んになるので、水晶体の濁りが改善されて、目のかすみも解消されるのだろうと考えられます。

家庭では、次のようにして大敦のツボを刺激するといいでしょう。

  1. 床に座って右ひざを立て、右足の裏を床にしっかりつける。
  2. 右足の親指の大敦のツボに、左手の親指の先を当て、息を吐きながら骨に向かって強めに5秒押し、息を吸いながら親指の力を抜いて二~三秒休む。左手の親指以外の4本の指はそろえて右足の真に当て、右手も指をそろえて右足の外側から土踏まずに当てて、しつかり支えると刺激しやすい。押し方は、気持ちがいいと感じる程度の強さが適当。
  3. 左手の人さし指の腹で、右足の大敦のツボを、指先側と足の甲側へ交互に軽くこする。往復10~20回。
  4. 左足も同じように行う。

初期の白内障なら、友人の例でもわかるように、短期間で症状が大幅に改善する人が少なくありません。大敦のツボ刺激は、目の周りの血行をよくして白内障を予防する効果も期待できるので、まだ症状が出ていない30~40代のうちから実行すれば、いっそう効果が確実に現れるでしょう。

老眼鏡をつけたり外したり...毎日イライラ

が老眼鏡を掛けはじめたのは、43歳のときです。まだ若いつもりでいたので、当時はショックでした。そ最近、10年間で、老眼鏡を4回も買い換えています。

視力がいい人ほど老眼になりやすい、と慰められました。最初は電化製品の説明書や、注意書きが読みにくくなりました。新開の字が読みにくくなったのもほとんど同じ時期です。さらに遠くから急に近くを見ると、視界がボケるようになりました。

台所仕事をしていて、お皿を持ち損ねて落としたこともあります。初めは、いやいや老眼鏡を掛けていたといました。昔と違って、フレームが若作りになっているとはいえ、老けて見られるのが、老眼鏡を敬遠した最大の理由です。

毎日、老眼鏡を掛けたりはずしたりしていました。それがわずらわしくていつもイライラしていたように思います。台所で包丁を使うとき、スーパーで食品のパッケージの文字を読むときなど、そのたびに老眼鏡を掛けなければなりません。

老眼鏡を掛けたりはずしたりしているうちに、肩こりがひどくなってきました。その後、老眼は進行して、老眼鏡を2年に1回の割合で買い換えてきました。

老眼が進むと、小さい文字が見えなくなるだけでなく、手元が少し暗いだけでも文字が読みにくくなります。また、視界がかすむので、目がとても疲れます。それでイライラが高じて、買い物や料理をする気力が起こらなくなってしまったのではと思います。

2週間ひどいで肩こりが治り老眼の進行も止まって老眼鏡の買い換えも不要

私が無気力になって困ったのは、主人です。主人は、老眼について善かれた本を何冊も買ってきては読んで、老眼を改善するいい方法はないかと勉強してくれました。その中で、主人の目に留まったのが、足指刺激でした。

足の薬指にある薮陰のツボを、手の親指で5~6回押す。呼吸も大切で、息を吐きながら5秒押し、息を吸いながら2~3秒かけて親指の力を抜きます。

ツボを押すととても気持ちがよく、肩こりもらくになりました。毎日2回ずつ朝と晩に、足指刺激をやりました。2週間続けたところ、肩こりが消え、目が疲れなくなりました。

老眼の進行も止まって、昨年に買い換えた老眼鏡で、よく見えるようになりました老眼の進行が止まって不快症状も解消し感謝しています。

パソコン使用時間が急増し、目の疲れがピーク

人間は誰でも20代前半でピークに達し、それ以降は老化がすすみます。目のピントを調節する機能も例外ではなく、しだいに老眼になっていきます。老眼を自覚するのは、早い人で30代後半、一般に40~50十代になってからです。ところが、実は自覚する10年も前から、老眼は始まっているのです。

最近は、パソコン操作で目を酷使した結果、早いうちから目のピントを調節する機能が衰えて、30代で老眼の症状を現す人が増えています。そうした老眼による目のかすみや疲れ、遠近調節がしにくいといった症状を改善するのが、足の指先のツボ刺激です。

足の薬指にある薮陰というツボは、老眼の改善にも大変有効です。実際に、足の薮陰のツボ刺激を行い、老眼が著しく改善したという人が続出しています。

住む会社員のAさん(43歳)は、自社製コンピュータを企業や役所に納入する仕事をしています。Aさんが、目の異常を感じ始めたのは1年前。手元の資料とコンピュータの画面を見比べてチェックするさい、ピントの調節がスムーズにできないことに気づいたのです。意識して額やまぶたの筋肉を動かして目を大きく見開けば、遠近の切り替えができるものの、長く続けると目の奥や、頭が痛くなり、首や肩もこってくるとのこと。

そうした状態に耐えられなくなり訪れたのは今年1月のことでした。

2週間で目の疲れやかすみ、老眼が治り頭痛も肩こりも改善

Aさんは、仕事が定時に終わらず、休日出勤も多いため、足しげくハリ治療に通うことができません。そこで自宅で毎晩、足の竅陰のツボ刺激を実行するようにすすめました。すると、2週間たったころから、目の痛みや疲れ、頭痛や肩こりが軽くなってきたといいます。

また、無意識のうちに目のピントが調節できるようになり、書物や新聞を読めるようになったそうです。

Bさん(52歳)は、海外出張の多い部門で働いています。3年ほど前に初めて老眼鏡を使用したところ、老眼がどんどん進んでしまったそうです。度数の強い老眼鏡に作り直して目がひどく疲れ、出張先のホテルや飛行機内では目が乾燥して視界がかすむ、と訴えてきました。

Bさんも仕事柄、頻繁にハリ治療には通えないため、自宅や出張先で足の竅陰のツボ刺激を実行してもらいました。それから2週間が過ぎたころ、グローバル治療室に顔を出したBさんは、目のかすみや疲れが取れたこと、新開の字がはっきり読めるようになったことなどを報告して帰りました。その後も、目の血流を悪くしないように、ツボ刺激は続けているということです。

毎日6時間のレジチェックが目の疲れを増大させたしまった

10数年前から週5日、スーパーでレジのパートタイマーをしています。「仕事中は、6時問立ちっ放しです。更年期のせいか、1年近く前から疲れやすくなりました。特に、目がひどく疲れます。レジでのバーコードチェックク値段の確認作業は、目をかなり酷使します。

休憩時間に目薬をさしたり、目の周りを濡れタオルで冷やしたりしますが、一時しのぎにしかなりません。仕事から帰って夕食を済ませ、テレビでも見ようかという頃には、目がショボショボして開けているのもしんどかったのです。

当時、老眼用の眼鏡をかけはじめてまだ3ヶ月ぐらいでした。老眼鏡に慣れるのに大変だったことも疲れ目の原因だったかもしれません。。辛い症状は、頭痛と肩こりでした。

特に頭痛は、顔全体が締めつけられるように痛んで、吐きけを伴うこともありました。肩こりは、レジの仕事を始めた10年前から慢性になっていて、もうならないものだとあきらめていました。

辛い症状が嘘のように解消した

「あるとき、足の薬指を刺激すれば、目の疲れが取れると、パート伸問が教えてくれたのです。そんな簡単なことで治るかしら、と初めは思いましたが、教えてくれた彼女(46歳)がいつも元気に仕事をしている姿を思い出して、休憩時問に試してみることにしました。足の薬指の甲羅(竅陰)を、もんだりこすったりしました。

寝る前にも足の薬指を入念にもんだりこすったりしました。初日は痛みを少しだけ感じましたが、続けているうちに気持ちよくなってきました。薬指の刺激を両足で10分ずつ、毎晩続けました1週間たつと、疲れ目が治って、はっきりと視界が開ました。

それまで大好きなドラマを見ていても、目がしょぼしょぼするので、目が疲れて楽しさも半減でした。でもその日は、ドラマを存分に堪能できたのです。足の薬指刺激が効いているんだ、と思いました。それ以来1日3回、お風呂上がり・寝る直前・仕事の休憩中に、薬指を入念に刺激しました。すると、目が充血しなくなり、職場で目薬を使うことも、濡れタオルで目を冷やすこともなくなりました。また、帰宅した後に必ずあった目の充血もなくなりました。

足の薬指刺激を続けて2週間めには、悩みの頭痛がまったく起こらなくなりました。同時に、慢性の肩こりも解消して、レジの仕事がらくになりました。

ツボのマッサージも血流を改善する意味ではとても有効ですが、こうしたツボを刺激しても改善がみられない場合は、強力な抗酸化物質を摂るのがおすすめです。こちらによれば、

目の老化はほとんどの人が避けて通ることができません。目が疲れやすい、近くの文字が見えにくい、濁って見えるなどの症状も、加齢に伴い症状が進行していきます。一般に目の老化は40代ごろから進行が始まり、それ以降、白内障や緑内障などを発症する人も増加します。 70代で90%、80代ではほぼ100%の人に、白内障による視力低下が認められるともいわれています。

目が不調なときは肝臓を強化するツボで目の疲労解消

目が疲れる、かすむ、ぼやけるといった目の不調は、精神的なストレスが引き金となり、自律神経のバランスが崩れて起こることがあります。また、目を酷使することでも、目の周囲の筋肉をはじめ、首・肩の筋肉、頭皮の血行が悪くなり、肩こりや頭痛を伴う目の疲れや痛みが現れやすくなるのです。一方、多忙で食事が不規則になったり、お酒を飲みすぎたりした場合も、自律神経が乱れて、肝臓の働きが衰え、ビタミンAの吸収力が低下します。

ビタミンAは、視力の向上に重要な栄養素で、不足するとたちまち目が見えにくくなります。ビタミンAを多く含む食品はこちら。

肝臓の働きが低下すると目の障害を起こすことや、目の調子が悪いときは肝臓の働きが低下していることは古くから知られています。

東洋医療では、肝臓の働きと関係の深い経絡上のツボを刺激して、目の不調を治します。

足の指先のツボでいうと、かすみ日や疲れ目を治すのによく使われるのは、「竅陰(きょういん)」というツボです。

「竅陰(きょういん)」は、胆経という経絡の起点となるツボで、足の薬指の小指例の爪の生えぎわの角から3ミリくらい下にあります。「竅陰(きょういん)」のツボを刺激すると、目の毛様体筋への血流が盛んになり、毛様体筋の疲労や緊張をほぐし柔軟性を高めます。毛様体筋が柔軟になれば、遠近に合わせた焦点調節がしやすくなるのです。

息を吐きながら3~5秒かけて押し、息を吸いながら指を離す

胆経は、目に始まってこめかみ・耳後部を回り、肩から側腹を通り、股関節から足の外側を下り、足の薬指に終わる、長い経絡です。その終着点である竅陰のツボに刺激を加えれば、ビタミンA の吸収を行う肝臓の働きを向上させる効果があります。

また、肩や首、目の働きを正常にする効果も期待できるのです。さらに、足の京骨というツボも竅陰と合わせて刺激すると、目の働きを正常にする効果がいっそう大きくなると考えられます。

京骨のツボは、足の外側のへりのほぼ中央で、さわると大きな骨の隆起がある場所からかかと例のくぼみの部分にあります。薮陰と京骨のツボ刺激のやり方を説明しましょう。まず薮陰のツボからです。

  1. 床に座って片ひざを立て、ひざを立てたほうの足の裏を床にしっかりつける。
  2. 立てた側の足の薬指を、ひざを立てた足と同じ側の手の人さし指・中指で下から支え、親指で竅陰のツボを3~5秒かけて軽く押す。さのさい、息をゆっくり吐きながら行う。
  3. 息をゆっくり吸いながら、竅陰のツボから手の親指を2~3秒かけて離す。
  4. 2~3を5~6回繰り返す

ツボの中でも足の指のツボは脳の働きとリンクしている

目の不調、老化の原因が自律神経の不安定さからきていることは紹介しましたが、自律神経が乱れると、疲れ目・ドライアイ・視力低下など「目の心身症」を引き起こしやすく、緑内障になる人も増えているのです。

ツボ刺激の特徴と自律神経の乱れを正す効果について紹介したいと思います。東洋医療では、内臓や器官の働きと深くかかわるツボを結ぶラインが、体の中を走っているという考え方をします。このラインを経絡といい、全部で14本あります。

そして、ある内臓や器官の働きを左右する「気」、つまり一種のエネルギーが経絡を通過するという考え方をします。経絡とツボの役割を電車にたとえれば、経絡は五臓六腑に通じる路線で、ツボは駅といえるでしょう。

14経絡に分類されたツボは正穴といい、全部で360個以上あります。ほかにも奇穴といって、確実な効果が経験から知られたツボも多数あります。

ところで、14経絡のうちの6つは足の指先が起点、残り8つのうち6つは手の指先が起点です。経絡の発着点に当たる足や手の指先のツボは、気の出入り口という意味で井穴と呼ばれています。

井穴は、そこを刺激すれば全身を刺激することのできる、大変便利なツボなのです。特に足の指先の皮膚は、温冷覚・触覚・痛覚・圧覚などのセンサーが数多く集まっていて、非常に敏感な部分です。

足の指先のツボに加えた刺激は、大脳皮質の感覚野という部分に直接送られ、脳の働きが活発になることが研究でわかっています。大脳皮質
の感覚野は、脳の中でも非常に大きい容積を占める部分です。

足の指は手の指に比べて効果が大きく目の不調や老化に有効

自律神経の中枢は、脳の視床下部という部分にあります。足の指先のツボへの刺激が大脳皮質に伝えられると、その部分の神経を介して自律神経が調整され、体の自然治癒力を高める力が働きます。

すると、自律神経の失調によって引き起こされた目の不調や老化をはじめ、さまざまな病気・症状が改善されるのです。また、足の指先には無数の末梢血管が分布しています。指先のツボを刺激すると末梢血管が拡張し、そこへ酸素と栄養をたっぷり含んだ新鮮な血液が流れ込みます。それと同時に、細胞で使用済みになった二酸化炭素や乳酸などの老廃物を含む古い血液は、速やかに回収されて心臓へ返されます。

すると、全身の血行が促進され、血流不足から起こる筋肉のこりが解消されるのです。目の不調や老化も同様のしくみで解消します。足の指先のツボを刺激すると、肩・首を通りないけい顔面や脳に血液を運ぷ内頚動脈の流れが促されます。

つまり、まばたきや涙の分泌などで酷使されている目の周りの筋肉のこりが解消されるのです。同時に、首・肩の筋肉や、頭皮のこりも解消されます。

足の指先のツボは、手の指先に比べて、ものに触れる機会が少ないので、外からの刺激に対して鋭敏です。その分、より大きい効果が得られると考えられます。足の指先にあるツボは、一般の人にも見つけやすいうえ、押したりこすったりする単純な刺激で効果が現れます。目の不調や老化を回復させたり、目の周囲の血行をよくしたりする効果が期待できるのです。

ストレスが原因で疲れ目、ドライアイになる人が急増中

子供のころ、学校で嫌なことがあった翌朝、おなかが痛くなり学校を休んだ経験を持つ人は、誰にでもある経験だと思います。これは決して仮病ではなく、精神的ストレスが原因でほんとうに腹痛が起こることがあるのです。

このように、心の悩みや鬱屈が原因となって現れる体の異常を、心身症といいます。

実際、大人の心身症は、人間関係の悩み、お金の問題、男女問題、仕事の忙しさ、自分に合わない職場や生活環境、将来への不安といった原因が複雑に重なる分、症状も腹痛にかぎりません。

最近増えている目のさまざまな否快症状も、原因は精神的ストレスにある場合も多いのです。具体的には、目が疲れる、目の焦点が合わせにくい、夕方になると視力が低下する、目が乾く、視野が狭くなる、瞳を動かしにくくなる、などの症状となって現れます。

精神的ストレスが原因で起こる目の異常では、頭痛・肩こり・イライラ・消化不良・食欲不振、それに不眠など、目とは直接関係なさそうな症状を伴うのが、大きな特徴です。

また、ワープロやパソコンの画面を見ながら行う日々の業が原因で、目の疲れや痛みが起こるVDT症候群という病気も急増しています。

疲れ目軽減のためにVDT機器を使った作業環境を整える(パソコンのモニターの調節)

このVDT症候群も、ストレスからくる日の異常の1つと考えていいでしょう。

ちなみに現代人に急増しているドライアイも、このVDT症候群が引き金になることがあります。ストレスによって引き起こされる目の異常を、一部の眼科医は「目の心身症」として治療しています。

目の異常は自律神経の異常で起こりツボ刺激が最も有効

最近、目の心身症がクローズアップされる以前から、「目も頭も肩も背中も痛い」「気持ちが落ち込み、目がチカチカしてピントが合わない」「やたらに目が疲れて胃腸の調子も悪い」と、訴えてくる人はたくさんいました。

そうした患者さんは、たいてい仕事や家庭の問題で悩み、大きなストレスを抱えています。 ストレスから自足伴神経のバランスが崩れ、目の異常をはじめ、さまざまな不調を引き起こすケースが急増しています。いわゆるテクノストレスが原因となっているので現代人に多いのも特徴です。

ところで、目の心身症に深くかかわっている自律神経とは、いったいどのような神経なのでしょうか。起きているときだけでなく寝ている問も、心臓は規則正しく収縮と拡張をくり返して、血液を全身に送っています。

肺も、一定のリズムで呼吸活動を行っています。それ以外の内臓や血管・ホルモン腺の働き、発汗・瞳孔の調節、消化液の分泌、皮膚の新陳代謝など。体のあらゆる器官や機能に対して、それぞれのリズムで活動させている神経を「自律神経」といいます。

「心身症」と「自律神経失調症」の異なる点

体の諸器官の働きは、私たちの意思とは無関係に、自律神経によって管理されています。ところが、ストレスがたまると、自律神経のバランスが崩れやすくなります。

自律神経のバランスが乱れれば、体の器官の働きにも乱れが生じて、さまざまな不快症状が現れます。頭痛・肩こり・不眠・胃腸障害などを伴う症状です。

自律神経失調による目の異常は、目薬をさしたり日のマッサージを行ったりしただけでは、なかなか治りません。そんなやっかいな目の異常も、東洋医学のツボ刺激を行えば改善する例が多いのです。