西側諸国とロシアが制裁合戦

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シア政府は8月7日、「今後1年間、米国と欧州連合(EU)加盟28か国、カナダ、豪州、ノルウェーを原産国とする農産物や生鮮・加工食品の輸入を禁止する」と発表し、即日実施。ウクライナ危機に絡んだ西側の対ロシア経済制裁に対する報復措置です。出口の見えない「制裁合戦」 は、ロシアのリセッション(景気失速)、さらにはユーロ圏債務危機からようやく脱却し始めた欧州各国の経済に悪影響を及ぼすだけでなく、世界の金融市場の新たな混乱の火種となります。

 

EUのビゴツキー・ウシヤッカス在ロシア大便は、ノーボスチ通信( ロシア) の8月7日付電子版で「食品の輸入禁止により、EUの損害額は最大で120億氾-(約1.6兆円)に達する可能性がある」と指摘しました。

 

しかも、EU統計局ユーロスタツトが8月15日に発表した、ユーロ圏18カ国の4~6月期の域内稔生産(G DP) は、血盟期比0・2% 増と横ばい。欧州経済を牽引するドイツに至っては、同0.2%減と成長が止まった。ユーロ圏の7月の消費者物価上昇率も年0・4%と、欧州中央銀行(ECB)が目指す2%を大幅に下回り、デフレ危機が続いています。それだけに、ドイツのベレンバーグ銀行のエコノミスト、クリスチャン・シュルツ氏は、ノーボスチ通信の8月15日付電子版で「ロシア要因でドイツ経済が後退し、フランスとイタリアも構造改革の遅れで景気が減速しているなか、(今回のロシアの報復制裁によって)ウクライナを巡るEUとロシアの緊張が強まり、欧州景気の先行き不安は一段と高まった」と懸念を示しています。

 

ロシアの叢制裁が及ぼす直接の影響について、『モスクワ・タイムズ』は8月10日付電子版で「最大の貿易相手国ドイツは、昨年の対露輸出額が360ユーロ(約5兆円)とEU全体の3分の1を占め、6200社がロシアに進出し、200ユーロ(約2・8兆円)を投資しています。それだけに影響は大きい」と報じた。シュルツ氏は同電子版で、「ドイツの対鼻輪出額はGDP の1.4% を占めるので、仮に対露輸出が20%減少すれば、それだけで、ドイツのG DP の伸び率は0.2~0.3ポイントポイント鈍化する」と指摘しています。米商務省が8月10日に発表した貿易統計によると、対露制裁で米国の対露輸出は前月比34%減少しており、制裁合戦は米国にも打撃と言えるでしょう。

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