現代の医療需要と供給の状態

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医療需要は、団塊の世代が全員75歳を超える2025年に向けて、どのように推移していくでしょうか?。医療需要のピークアウト(頂点)自体は必ずしも25年ではないことが見えてきます。都道府県によっては、既に20年からピークアウトしている地域もあれば、40年時点でもピークが存在しない都道府県も存在します。

 

国は、入院ベッドが地域ごとにどれだけ必要かを考慮するに当たり、医療の地域圏を定めています。一般的 に、1次医療圏は市町村単位、3次で医療圏は都道府県全域を指し、その間に定義される2次医療圏は現在、日本全国で約350地域程度に区分されています。その2次医療圏の約3350地域のうち、約5%が「(35年まで)人口及び一般患者数ともに増加」、約5%が「人口は減りますが、一般患者数は増加」、約40%が「人口及び一般患者数が減少」という状況に分かれます。

 

なお、2次医療圏に存在する人口割合は、それぞれ1対8対1でとなっています。

 

こうした医療需要に対して、医療供給体制はどう推移するのでしょうか。まず、医師数や看護師(准看護師含む) の数は、00年にそれぞれ25.6万人、109.8万人であったものが、10年段階ではそれぞれ29.5万人、138.4万人となり、増加傾向にあります。とはいえ、その数には地域格差がある。たとえば、12年時点で人口10万人当たりの常勤換算医師数は全国平均で159人ですが、都道府県別では最も少ない埼玉県の110人から最も多い高知県の227人まで、大きな隔たりがあります。

 

また、都道府県単位だけではなく同一県内でも、中心都市とそれ以外の都市間の格差が各地で存在している。同時に、今後の「2025年モデル」を支えるうえでの医師数・看護師数は、25年に医師数32万~34万人、看護師数195万~205万人まで増やすことが想定されていますが、これを18~59歳推計人口が6796万人(10年)から6010万人(25年)へと減少する時期に実現するという難しさも存在しています。

 

稔じて言えば、全国的に需要が増加傾向にある中で、メリハリをつけつつ手厚い医療を実施できるよう、体制整備をしていく必要があるといえるでしょう。

 

ここでいう医療の需要は、何も患者数だけの話ではありません。地域における医療機関へのニーズも刻々と変化しており、特に地域社会に対して、セーフティーネットとしての期待は高まっています。そうした期待に対応して事業整備を行っている事例もいくつか報告されています。

 

どの医療機関も、医師・看護師をはじめ、医療スタッフを十分な形で集めることに苦労しています。地域状況を踏まえつつ、各病院が努力を重ねる一方で、その体制を前提にどのような形で地域ニーズに応えるかは、各病院の腕の見せどころであると言えるかもしれません。

多額の税金が投入されている医療・福祉がこれからの内需としても注目されつづけるのは間違いないでしょう。

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