日本は1000兆円近い借金を本当に返せるのか?

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今、日本には、現在1000兆円近い借金がります。金利だけでも相当な金額になるし、家庭レベルで見ると1900万円の借金を背負っていることになります。あまりの金額に感覚もわからなくなってしまう金額です。誰が返済するのでしょうか?国民ひとりひとりです。

 

ある時点でこの借金が減少に転じているのであればこうして楽観的にしていてもいいのかもしれませんが債務超過は拡大するばかりです。

インフレにより債務超過を帳消しにするしか道はないのでは?という声も聞かれます。

 

第二次世界大戦後のハイパーインフレと日本の現在を重ねるといずれも大変な結末しか想像できません。ではこうした莫大な債務超過を圧縮させることができた国はないのでしょうか?

 

19世紀~20世紀のイギリスです。イギリスは18~19世紀はじめにかけて第一世界大戦~第二次世界大戦後までの時期に2回経験しています。19世紀の政府債務は7年戦争、独立戦争、そしてナポレオン戦争まで続く戦費調達の歴史が示すとおり、1820年代までGDPの2.5倍まで拡大しました。

 

一方、20世紀の政府債務は第一次世界大戦と第二次世界大戦の負担が蓄積し、1940年代半ばにGDPの2.5倍弱までに再拡大したのです。

 

イギリスは幸運にも累積した政府債務を3回とも解消できましたがその解消方法です。

 

政府債は、コンソル(永久債)が受益者に当初決められた期間のみ年金として支払う契約です。有期年金化することでその償還とともにゆるやかに減少し、対GDP債務比率の分子部分が減少しました。

GDPは、産業革命の成果が実質経済成長率を押し上げたため、分母部分であるGDPが安定的に拡大したこも要因のひとつとなりました。

 

19世紀は、経済成長の恩恵を受け、家庭所得が増加する中、物価は安定していたため庶民の生活は苦しくなりませんでした。

1970年代などは所得ののびが急激なインフレについていけずに生活は苦しくなりばかりでした。

不満の声は爆発し、これがサッチャー首相を生むもととなったことは間違いありません。

 

20世紀のイギリスは「大きな政府」の後にすぐに「小さな政府」がはじまったわけではなくインフレをきっかけにつらい時期を経験して小さな政府に移行したのです。

 

今の日本はどうでしょう?

日本銀行の量的緩和は庶民の期待を回復させつつ政府債務問題をなんとややりくりするための政策のひとつであるのです。

 

期待感を経済成長につなげて19世紀のイギリスのようにすすむか、それとも上昇するインフレ率をもって債務比率を引き下げ20世紀のイギリスの道をすすむのか?

日本はまさに分岐点に立たされている…といって間違いないでしょう。

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