円安は日本にとって損か?得なのか?

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日本は、円安方向に為替が動くとウェルカムな風潮があり、輸出企業にメリットがあることをさかんに報道します。日本は輸出企業だけでなく輸入企業もあり、エネルギー関連はほとんどが輸入であることは言うまでもありません。

 

インフレはどんなところではじまっているのでしょうか?たとえばマンション。販売時にはユーザーに売りやすいように修繕費を少なめに設定するケースが目立ちます。総額が増えてしまうので削るところは修繕費です。

ところが資材の高騰や人件費の高騰で修繕に着手できないマンションが増えているというのです。また、ここに来て消費税の増税です。

原油が1バレル150ドル近くまで上昇しましたが、物価全体を急上昇させた08年度とは異なります。これは円安に伴う物価上昇の影響といえるでしょう。

原油高はガソリンや電気料金の上昇に直接ひびきます。また、輸入食材を中心に食料品の値上がりがこれに追い打ちをかけるかっこうとなっています。

 

家計では、実質支出が4~7月まで前月比横ばいの予想から外れマイナス5.9%となっています。

 

電気料金や原油価格の上昇は大手の企業よりも中小零細企業のほうが打撃が大きく影響はかなりのものになります。年間の生産コストが2~3割もあがる企業もあるほどです。

 

春以降、1ドル=102円前後で膠着状態だったドル・円相場が8月末から円安方向に舵をきりはじめています。9月には105~107円をつけています。米国の利上げが大きく影響しています。円を運用するよりドルを運用するほうが利益がでるためです。

 

FRBが10月に量的金融緩和を終了させることが市場関係者の規定路線となり関心は利上げ時期に移っています。雇用統計も予想以上の改善を発揮し、インフレ率が上昇してくれば、早期利上げ→ドル金利上昇→ドル高・円安というイメージが確定してしまいます。

 

国内でもGPIFの運用見直しによって外債投資のウェート上昇→円売り・外貨買いの円安をイメージされてしまいます。

 

円安になれば輸出企業には言うことない!と考えがちですが、自動車や機械などの輸出量は伸びず、生産拠点を海外に移した製造業の国内設備投資も盛り上がりません。

 

ニュースでは「円安は株高や輸出企業の収益改善から個人消費を押し上げる」と言われていますが、日本の製造業の雇用はピークの1600人から現在は1000万人にまで減少しています。

実質賃金が上がらない状況で、灯油、ガソリン、食料品、スマホ、輸入電機製品に至るまで消費者の購入価格を押し上げてしまいます。

 

これは、円安デメリットの方が大きい中小零細企業や庶民の認識とかけ離れているのです。

 

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