この「よく噛む」ことによるダイエットは、実際に臨床的にも応用されるようになっています。糖尿病性肥満症患者の治療に実施している「岨噛法」がそれです。一般に、肥満タイプの人に共通するのは「早食い」、つまり「噛まないで飲み込み食い」をしていることです。単に口の中に食物を入れてから飲み込むまでの時間が短いというだけではありません。箸を動かすスピード、噛むスピード、飲み込むスピードも速いのです。当然、よく噛んで食べることもできません。
咀嚼=ダイエット
このような状態では、神経性ヒスタミンが量産されないため、満腹中枢は刺激されず、余剰エネルギーも消費されないので肥満になる、という悪循環に陥るわけです。
糖尿病と診断され、生活習慣の改善が迫られた場合でも、早食いの習慣を改善するのは至難の業です。いくら私たちが「よく噛むことが大切ですよ」「一口30回噛みましょう」と力説してみても、ふだんから早食いに慣れている患者さんが実際に訓回噛むのは、そう簡単なことではありません。
噛むことの効果を本当に理解してもらい、習慣化するように医療者が誘導することが必要です。その方法の1つが「咀嚼」なのです。
この咀嚼法というのは、食事の際に、1口ごとに30回噛めたら「○」、噛めなかったら「×」というように、1週間分の食事を記録してもらう方法です。
ほとんどの肥満症患者は早食いの傾向にありますから、余裕があって熱心なときには噛みすぎるほどですが、意識が集中できないときには、まったく噛まずに飲み込んでしまいます。咀嚼法導入の当初は、一口で口に含む量を多くするなどの工夫をしますが、もともと食事時問や咀嚼回数そのものが極端に少ないので意識改革からはじめる必要性があるのです。
最初は、「いつものスピードで食べたい」とか「あごが疲れます」といった訴えが多く、記録用紙には「×」が並びます。しかし、徐々に「○」の数が増えてきたことを自分の目で確認できるようになると、意欲的によく噛む習慣を実行するようになります。
すると、「不思議ですね。以前より少ない食事量でお腹がいっぱいになります」という驚きの声が聞かれます。咀嚼習慣が身についた段階では「薄味が好みになりました」とか「油っぼいものを食べたくなくなった」などの変化も生じ、糖尿病の食事療法のうえでも大変有効な連鎖反応が現れます。
また、食前にガムを5~10分間程度噛んでから食事を開始すると、いっそう良好な結果が得られます。この記録は、糖尿病患者でなくても、ちょっと肥満が気になる高血圧や高脂血症などの生活習慣病予備軍の方にも有効です。
一口30回の岨噛を習慣づけるためにも、食事ごとに一口30回噛めたかどうかを記録してみることをお勧めします。
よく噛んで食べても食べ過ぎてしまったときは、
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