よく嚙めば10倍もの唾液がでてくる

元気に楽しく飲んでいますか? といってお酒をイメージした人にはごめんなさい。唾液の話です。

みなさんは、1日に自分自身の唾液をどのくらい飲んでいるかご存知でしょうか? 口の中に分泌された唾液はすぐに飲み込まれてしまいますので、ほとんど知られていませんが、みなさんの想像をはるかに超える量が分泌されています。

寝ているときは、唾液の分泌は毎分0・1 mlと非常に少ないのですが、起きているときは、安静時でも就眠中の3倍の毎分0.3mlに増加します。

そして、さまざまな食品を使った研究により、食事中の平均的な唾液分泌は毎分4mlに増加、したがって、1日当たりの唾液量は約500~600ml程度(お銚子3 〜4本)と概算することができるとされています。

しかし、唾液分泌量は、個人差、生活環境、健康状態、年齢などによって大きな差異がありますので、1日1500~1800ml(お銚子8〜10本)といった報告もあります。

普通、食物をあまり噛まずにすぐ飲み込む人より、よく噛んでゆっくり食べる人のほうがはるかに多くの唾液を分泌し、飲み込んでいます。嚙めば噛むほど唾液は出ると考えて間違いありません。

すなわち、噛めば噛むほど、唾液の持つパワーの恩恵を受けられるのです。味や香りによって微妙に分泌が調節されていますが、歯ごたえのある食物、お酢、梅干しやスパイスの効いた食物なども当然、唾液の分泌を促進します。

また、ガムも非常に効果的です。ガムの噛み始めでは安静時の約8倍(味のないガムベース) から20倍(6種類のチューインガムの平均値)の唾液が分泌されますが、長時間(十数分)噛んでいても、安静時の2 〜3倍の唾液が分泌されるという研究があります。

普通、食物をあまり噛まずにすぐ飲み込む人より、よく噛んでゆっくり食べる人のほうがはるかに多くの唾液を分泌し、飲み込んでいます。噛めぼ噛むほど唾液は出ると血液中には、人体に有用な成分がたくさん含まれています。細菌に抵抗する成分、消化を助ける成分、昧をよくする成分、血管や胃などの細胞を増やす成分などで、噛むことで分泌された唾液は、体の機能を高めてくれます。

必要以上のものは体内から流れ出てしまいますから、多ければいいというわけではありません。しかし、適量以下では障害が起きます。それを防ぐためには、よく噛んで食ベることです。

よく噛んでいれば、ちゃんとその人の健康に応じた量の唾液が分泌されるようになっているというのが、人間の体のすばらしさです。ファストフードや、やわらかいグルメ食では唾液は十分に分泌されません。より噛みごたえのある、古くから伝わる健康に関する英知が詰まった伝統的な郷土料理などをじっくり堪能してみませんか?

唾液のお話の最後に、1つだけお伝えしておきたいことがあります。それは、年齢を重ねると唾液の量が少なくなることがあるということです。これは、唾液腺の老化も原因の1つですが、それよりもむしろ、ふだん服用している薬に主原因があるようです。

体の不調や障害に対して多くの薬が効果を発揮しますが、多くの薬は唾液の分泌量を少なくしてしまうことがあるのです。唾液量が少なくなると虫歯になりやすくなったり、がんなどの原因になったりすることがあります。慢性疾患などで常用している場合でも、人間が本来持って生まれた体を守る機能を大切にして、薬はできるだけ必要最小限にとどめるよう心がけたいものです。