現代人特有の病、生活習慣病

日本は、昭和20(1945 年に終戦ですべてを失ったあと、わずか半世紀という短期間で飛躍的な経済成長を遂げました。

その間、政治経済、社会構造にとどまらず、家庭環境や人々の考え方(価値観)も大きく様変わりしました。この変化を医療面から見ると、かつては結核、肺炎、腸チフス、赤痢、コレラなど、さまざまな細菌に感染することによって起こる疾患が主な死亡原因となっていましたが、現在では生活習慣病(がん、脳卒中、心臓病、糖尿病、高血圧、肥満など) の増加が深刻化しています。

生活習慣病というのは、運動不足や睡眠不足、食べすぎなどによる肥満など、さまざまな悪しき生活習慣が引き起こす病気の総称です。

中でも、とくに肥満は、体の抵抗力の根幹である免疫機能を低下させ、健康を著しく損い、あらゆる痛気 にかかりやすくなります。

かつては肥満とがん(悪性腫瘍)の間にはあまり関係がないとされていたのですが、最近の研究では、肥満になるとがんの雁息率が高くなることも指摘されています。

具体的には、肥満は、男女とも大腸がんと胆のうがんを、女性では子宮体がんや卵巣がん、乳がんが、男性では前立腺がんなども合併しやすいとされています。

肥満の防止には、注意を払って払いすぎるということはないのです。生活習慣病は、病原菌が引き起こすものではありません。人間自らの生活態度がもたらす疾患です。それぞれが豊かで健康な人生を獲得するため、病気になってから新薬や名医に頼るのではなく、日常の栄養、運動、睡眠の自己管理やストレス解消など、今こそ自分にあった規則正しい生活習慣管理術を身につけることが非常に大切になってきているのではないでしょうか。

暴飲暴食で自分の命を破壊するか、生活習慣をコントロールして豊かな生涯を獲得するか、これは自分の健康に対する価値意識の問題であり、まさに、自分の死に様は自分で決める時代になったといえましょう。

現代人特有の病気

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