目の周囲の血流アップ促進するカシスは緑内障の点眼治療の補助食品として優秀

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視神経の血流が2割もアップ

緑内障に効果的な食品に、カシス(果すぐり)があります。

カシスは、ブルーベリーなどの仲間で、ユキノシタ科フサスグリ亜種に分類される植物。北欧やニュージーランドなど、寒い地方(日本では青森県で栽培)生育しています。欧米では、ジャムやリキュールの材料として用いるだけでなく、民問薬としても人気があります。

なぜカシスに注目したかというと、カシスからきちんとアントシアニン(赤紫色を構成する色素成分) が精製されていて、それを用いて科学的な根拠のある厳密な実験が行われていたからです。しかも、カシスアントシアニン( カシスに含まれるアントシアニン) に日の血流を促進させる作用のあることが、解明されていたのです。

カシスなら緑内障に効果的かも?と思ったのは緑内障の原因の一つとして「血流障害説」が有力になってきたからです。

血流障害説としては、まず眼圧が高くなりすぎると、血管が圧迫されて、血流が悪くなるということがあります。

また、エンドセリンという血管の収縮を促す物質(ペプチド) の血液中の濃度が、緑内障の方は慢性的に低いこともわかっています。

エンドセリン濃度が正常であれば、刺激(急激な温度変化や過度のストレスなど) に対し、バランスのとれた反応ができますが、その濃度が低いと、刺激が加わったときに、急激にエンドセリンがふえ、血管が収縮し続けてしまいます。

実際、緑内障の方の手を氷水に5分ほどつけると、血管が収縮しっぱなしになって、血流が悪くなり、いつまでたっても元に戻りません。同じことが、視神経の血流にも関係していると考えられます。

これらのことから、カシスアントシアニンの緑内障に対する効果を知りたくなりました。

この研究では、51 ~80歳までの正常眼圧緑内障(眼圧が正常範囲にある日本人に多いタイプ) の患者さん30名に、カシスから精製したアントシアニンの錠剤を半年間にわたって、1 日50mgを飲用してもらいました。そして調べたのは、血中のエンドセリン濃度、視神経の血流、視野の状態などです。

その結果、エンドセリン濃度が高くなり(正常化して)、視神経への血流量が平均して約2割上昇していることがわかったのです。

飲用した人の3 分の1 は、「目が軽くなった、物が見やすくなった」といっていましたが、視野への影響は、カシスアントシアニンを投与した期間が半年間という短期間であったため、ハッキリとしたデータは得られませんでした。

慢性的に進行する緑内障では、何年もかけてジワジワと視野が欠けていき、視力に障害が出ます。この点を調べるには、もっと長期の試験が必要です。

カシスアントシアニンの研究は始まったばかりです。今回のデータを踏まえて、視野への影響やプラセボ(偽薬) との比較なども含めて、今後長期の投与試験を行う計画です。

いずれにしても、血中エンドセリン濃度が正常化したこと、視神経の血流がよくなったということから、カシスアンートシアニンの緑内障への効果は十分に考えられます。

緑内障の点眼治療を補うサプリメントとして、カシスはとても有効だと思います。

即効で血流をよくし血中持続時間も長い

カシスアントシアニンは、摂取後に即効性があることもわかりました。

サーモグラフィー(体の表面の温度を測定する機器) で測定すると、カシスアントシアニンを摂取してから1時間後に目の周囲の血流がよくなっていることが確認できます。

ブルーベリーのアントシアニンはたとえ飲用しても、体内ですぐに分解され、目にたどりつく前に効力を失います。

それに対して、カシスアントシアニンは摂取15分後には血液中に現れ、すぐに分解することはありません。1~2時間後に血中濃度がピークになり、8時間たってもまだ血液中に残っているため、即効性だけでなく、持続性も期待できるのです。カシスアントシアニンには、末梢の血流を促進して目の焦点を合わせる筋肉のこりを取り、眼精疲労を解消する効果があることもわかっています。また、目のクマが改善することも発表されています。

なお、カシスアントシアニンを含む食品は、健康食品店やスーパーマーケットなどで市販されています。緑内障の方で治療の補助として用いるのなら、l 日にカシスアントシアニン50mgの摂取を推奨します。

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