かなり硬い超便秘の便
「腸年齢」を老化させる便秘は、実に日本女性の48%が悩んでいるという調査があります。食べたものが排泄されるまでの時問は約72時問ですから、3日出ないと便秘です。
週末に下剤や浣腸で1週間分の排便をする人、10日に1回、2週間に1回とい強者もいます。以前調べた頑固な便秘症の女性の便は、ナイフでも切れませんでした。
女性が便秘になりやすいのは、ホルモンバランスの関係もありますが、1日に1~2回しか起こらない腸の蠕動運動による便意を我慢してしまうからでしょう。
朝は家族の世話や家事で便意を逃し、会社での排便は恥ずかしいとなると、便意は遠のいててしだいに感じなくなってしまいます。 一方、男性の場合は、下痢に苦しみます。神経性の過敏性腸症候群は、ストレスが腸を刺激して腹痛と下痢を起こす病気です。
いずれにしても悪玉菌が優勢になっています。 大人だけではありません。子供の便秘も心配です。2007年に首都圏の小学生354人を調査したところ、カチカチの便を出す子供が16%もいました。恐怖感や痛み、笑われることに対して大人より敏感な子供は、腸ストレスで蠕動運動がうまくいかなくなり次第にトイレを嫌がるようなります。
便秘になると、子供の腸は伸びきってしまうため便意を感じにくくなり、慢性便秘になりやすいのです。学校で教師が便の話をすると、父母から「下品な話はやめてほしい」と連絡がくるそうです。毎朝便を観察すれば、子供の健康状態を把握できるのに、とても残念。 「便所」は、体からのお便りどころ。健康のサインを受け取る場所だと考えれば、汚いものでも下品なものでもありません。成長期から成人期までに善玉菌を増やしておくと、将来「腸年齢」が老化しにくい,Jとがわかっています。 子供の頃の腸内環境をもっと考えるようにしてください。 もうひとつ重要なのが、母親の便秘対策です。
赤ちゃんは母親の産道を通るときに腸内細菌をもらって生まれてくるため、母親の腸内環境によって、子供の将来の健康や寿命が決まってしまうのです。腸内の善玉菌を増やして理想的な排便がもっともこれから求められるでしょう。 理想的なうんちは 色:黄色~黄土色 量:バナナ2~3本 かたさ:バナナ状から練りはみがき 水分:80%
におい:ある程度はある 便座に座ると、スルッと落ちるように排便できる。水分と空気が適度に含まれているため、水の中で繊維がほぐれる。
ドライフルーツのいちじくなども便秘に効果的です。
大腸内は発酵しているか?腐敗してるか?
人は生きるために食べますが、食べたら必ず排便しなくては生きていけません。人問の体は上に食べ物が入る口、下に排泄器官である肛門があります。
内側の空洞には食道や胃、十二指腸、小腸、大腸があり、小腸で消化と吸収が行われ、大腸では腸内細菌が繁殖して便が作られています。消化と吸収、免疫を活性化させる小腸は免疫活性臓器といわれる大切な臓器です。 これに対して大腸は便をつくって溜めておくのが主な役割のため、あまり重要視されてきませんでした。
ところが最近、大腸は「あらゆる病気の発生源」であることが明らかになってきました。病気になるかならないかは、「腸年齢」が若いか老いているか、腸内細菌が発酵しているか、腐っているかで決まってくるのです。
人間の皮膚や口腔内などには多くの常在菌が住みつき、腸内にも500~1000種類の菌が住んでいて、その重さは1.5kgにもなります。 腸内細菌には善玉菌、悪玉菌、日和見菌があり割合は、よそ10% 、20% 、70% 。善玉菌は感染を防いでビタミンを産生し、消化吸収を助けるなどよい働きをしますが、悪玉菌は腸内を腐敗させて細菌毒素を作り出します。
日和見菌は、勢力の強いほうになびいていく主体性のない菌です。 腸内では毎日勢力争いが繰り広げられ、宿主が風邪をひいたり、仕事などでストレスが多いと便秘や下痢になると善玉菌が悪玉菌に変化したり、また、その逆も起こり、複雑に変化しています。 これまで腸内微生物研究者として8000人以上の便を採取し、腸内細菌を調べてきました。
研究が進むにつれてわかったのは、腸内細菌はひとりひとり違うということ、腸内腐敗によって作られた有害物質はあらゆる病気の原因となること、そして病気と菌との関係に規則性があるということでした。
便秘の腸内は腐っていて病気を作るもとになる!
腸内腐敗は、「腸年齢」の高齢化が原因です。「腸年齢」が若い人は善玉菌に勢いがあり、よい働きをしていますから、見た目は若く、体も健康ですが、悪玉菌が増えた腸は、便が溜まるほど腸内腐敗が進み、「腸年齢」が老化します。
そして悪玉菌が生み出す有害物質によって大腸は傷つき、大腸がんや潰瘍性大腸炎などが発症します。 さらに有害物質は腸壁から吸収されて血液に乗り、全身に運ばれます。頭痛や吹き出物、がんや肥満、糖尿病などの生活習慣病の原因になり、アレルギーや認知症、うつなどにも影響すると指摘する研究者もいます。 深刻なのが、大腸がんです。 20年前、私は1日1.5kgの肉を40日間食べる実験を自ら行い、過剰な肉食が悪玉菌を増加させることを突きとめました。 世界がん研究基金と米国がん研究所では、大腸がん発症リスクを確実に高めるのは、肉加工品の多量摂取、野菜不足、運動不足、アルコールの多飲としています。
「腸年齢」が若ければ、多くの病気を予防・改善できます。
腸年齢チェック
生活習慣チェック
- 運動不足だと思う
- ストレスでイライラする
- 肌の乾燥や吹き出物に悩む
- 寝付きが悪く、寝足りない
- 喫煙者である
- ・顔がすみがちで実年齢より老け顔ぎみ
うんちチェック
- トイレの時間はほとんど決まっていない
- ときどき下痢っぼくなる
- ウンチを出し切った感がない
- おならが臭い(と言われる)
- 硬いコロコロウンチが出る
- 最初にいきまないと排便できない
- ウンチが硬く、いきんでもなかなか出ない
- ウンチが水に沈む
- ウンチが臭い
- ウンチ黒っぽい
食生活チェック
- 野菜が不足していると思う
- おかずは肉が中心
- 朝はいつも忙しく、トイレの時間をとりにくい
- 食事の時間は決まっていない
- 朝食はとらないほうが多い
- 牛乳などの乳製品は苦手
- 週に4 回は外食してしまう
あなたの腸年齢
- 4個以下...「腸年齢」=実年齢以下 理想的な腸年齢です。今後もよりよいウンチをするために、食生活に気をつけ、ストレスをうまく解消して今の生活を維持してください。
- 5~9個...「腸年齢」=実年齢+10歳 油断すると腸内環境はすぐに悪化して、一気に老け込みます。これ以上老けず「腸年齢」が実年齢に近づくように生活を見直しましょう。
- 10~14個...「腸年齢」=実年齢+20歳 かなり腸内腐敗が進んでいます。このままでは将来、がんや糖尿病、認知症などの病気の発症率が高くなります。生活習慣の改善を急ぎましょう。
- 15個以上...「腸年齢」=実年齢+30歳以上 すでに生活習慣病の兆しを感じているか、発症している可能性も。すぐに運動と食事を見直して、よいウンチをするための努力をしてください!