加齢に加えて紫外線が白内障の進行に悪影響を及ぼす
白内障は、カメラでいうレンズの役割をしている、目の中の水晶体が濁ってくる病気です。
原因は、さまざまですが、なかでも老化に伴うものが最も多く、加齢性白内障といいます。白髪や顔のシワ、体力の衰えと同じように、どんな方でも老化とともに、進行していきます。
水晶体の中は、主に水分とたんばく質で構成されています。若くて健康なうちは無色透明で光をよく通しますが、老化などでたんばく質が変性して濁ると、光が通過しにくくなります。くもったレンズでファインダーをのぞくようなもので、光が通過しにくくなったり、乱反射しもして網膜にきちんと像を結ばなくなったりします。
白内障の自覚症状の代表的なものは次のとおりです。
- 目がかすむ。ぼやける
- 視力低下。小さな文字が見えづらくなる
- 屋外などで光がまぶしく感じられるようになる
- 薄暗いときや場所で物が見えにくくなる
- 物が二重や三重にダブって見 えるようになる
目にこのような異常を感じたら、放置せずに早めに専門医を受診してください。
ところで、昨今はアンチ・エイジング(抗加齢) 医学といって、心身のさまざまな老化現象を遅らせる研究が盛んに進められています。
白内障もいわば老化現象のひとつです。白髪やシワと同様、放置せず、眼科での治療とともに、日ごろの生活習慣の改善や、栄養療法のケアによって、進行をある程度遅らせたり、予防したりすることが大切です。
白内障の引き金となる水晶体のたんばく質が変性する要因としては、加齢とともに、紫外線などによる「活性酸素」の影響も強く指摘されています。
この目と体をサビさせる悪玉物質ともなる活性酸素は、紫外線などの光刺激や喫煙、ストレス、過食や高脂肪食、過度の飲酒などで発生し、眼内の組織の老化に拍車をかけ、水晶体のたんばく質を傷つけて、白内障を進行させてしまいます。
ですから、予防もこれらのリスクを軽減させることが何より大切になります。
有害光から目を守る栄養と保護レンズ
目を活性酸素の書から守るたすぐれた栄養食品を日ごろから十分にとることです。
主な抗酸化ビタミンであるビタミンCやE、目に有効な抗酸化色素・カロテノイド類のルテベータイン、アスタキサンチン、βカロテン、リコピンや、ポリフェノール類のアントシアニンなどの継続摂取がすすめられます。
ビタミンC の白内障に対する予防効果が確認されています。報告では、食事からのビタミンC の摂取が最も多いグループは最も少ないグループに比べて、白内障を発症する率が男性で35%、女性では45% も低くなっていました。
ビタミンCは、体内で作るこすいようせいとができないうえに、水溶性なので体内に貯蓄できず、余分なものは体外に排泄されてしまいます。ですから、1日1000ミリグラム以上を目安に、何回かに分けてとるのがコツです。ビタミンCを多く含む食品はレモン、キウイ、リンゴ、ブロッコリー、緑茶など。食品で足りない場合も多いので、サプリメントで補うのもいいでしょう。
また、皮膚が衣服などでおおえるのとは違い、目は常に直接外界に露出しているため、有害光からの保護がとても大切です。紫外線などの有害光対策は、機能カラーレンズを入れた保護メガネを活用するのがすすめられています。
ただし、選ぶさいには、いくつかの注意点があります。紫外線(人間が見える光より波長の短い光・UV) は、波長によってUVA 、UVB 、UVCの3種類に分かれます。
波長の最も短いUVC は、オゾン層の破壊によって、最近は地上まで届くようになった有害紫外線。UVBは、角膜(黒目) へ吸収され、その浴びる量が多いと、角膜炎などの原因になります。
そして、UVAは、角膜を通り抜けて、ほとんどが水晶体で吸収され、水晶体の透明なたんばく質を傷つけます。その傷が蓄積することにより、水晶体を白く濁らせて、白内障を引き起こします。
さらに、可視光線の中でも短波長で高エネルギーの紫青色光は、加齢黄斑変性(見たいところが見えづらくなる病気) の原因となる有害光とされています。
ところが、市販のUVカットレンズのなかには、UVBしかカットされないものが大半で、これでは有害光対策は不十分です。
購入なさるさいには、UVAとUVB の両方をカットし、紫外線透過率が0.1% 以下と表示されたもので、同時に青紫色光もカットする、薄い黄色の機能カラーレンズを入れたサングラスを選んでください。
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