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新時代の老眼治療はCK手術、老眼が不要になる

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メスもレーザーも使わないので不安がない

老眼の画期的な治療法であるCK手術(伝導性角膜形成術)は、角膜にごく短時問、高周波( ラジオ波) を当てるだけの、メスもレーザーも使わない、たいへん安全な手術です。その実際についてご紹介しましょう。

治療に先立って検査を行い、この手術が適応するかどうかや、「利き目」などを調べます(適応については後述)。原則としてこの手術は、利き目と道側の目に行いますので、事前に利き目を調べておく必要があるのです。

  1. 術前の検査と診断
  2. 点眼麻酔
  3. 角膜の周辺部の8~16ヶ所に、円を描くように印をつける
  4. 印をつけた部分に高周波(ラジオ披を照射する
  5. 消毒など術後の処置
  6. 15分ほど休憩したのち、術後の検査

高周波照射する時間は3分程度で、前後の検査や処置を含めても2時間ほどで終わります。入院は不要です。

麻酔をしますので、痛みはありません。術後、軽い痛みを感じる人もいますが、多くは1~2 日で消失します。また、人によっては、まぶしさや違和感などが生じることもありますが、通常、長くても数ヶ月程度でなくなります。

高周波の照射は、当てる位置を厳密に設定でき、強さや時間が完全に自動制御された専用の器械を使いますので、安全に行えます。

手術の翌日から通常の仕事や生活ができますが、目を酷使する作業などは、数日程度、控えるようにします。

術後は、定期的に検査を行います。当院の場合は、手術の翌日と1週間後、1ヶ月、3ヶ月、半年後、1年後、以後は毎年1回ずつ検査を行っています。

老眼なしでも近くがはっきり見える

近視の矯正手術であるレーシック(イントラレーシック)とCK手術の両方を行う場合は、まずレーシックを行い、半年ほど置いて目の状態が安定してから、CK手術を受けます。

CK手術の費用は、医療機関によって異なりますが、おおむね15~25万円程度です。

手術後は、老眼鏡なしで近くが見えるようになります。老眼鏡を使うわずらわしさがなくなるうえ、老眼による目の疲れやその影響で起こる肩こりなどからも解放されます。

「近くが本当によく見えてビックリ」「メガネなしで細かい字も見えるので感動もの」「自分の書いている文字すら見えなかったが、いまはよく見えて書類も書きやすい」「読書やパソコン作業がとてもらく」「顔や雰囲気、気持ちまで若返った」などの声が聞かれます。

CK手術を行うには、専用の機械が使いこなせるように米国で研修を受け、認定医となる必要があります。日本での認定医は、現状ではまだ数人程度ですが、今後は、徐々にふえていくと思われます。CK手術を希望される方は、表にあげた認定医のいる医療機関でご相談なさるといいでしょう。

大部分の老眼の人に心、問題なくCK手術が行えますが、術後、視力の左右差による違和感しやきようが生じると思われる人、視野狭窄や角膜の傷といった症状がある人、心臓ペースメーカーを使っている人などは行えません。

また、白内障が進み始めている人や進み始める年代の人には、白内障の治療や予防を兼ねて、遠近両用の眼内レンズ(自内陣で濁った水晶体の代わりに入れる人工レンズ) を入れる方法をすすめる場合もあります。

CK手術以外にも、こうした遠近両用の限内レンズや、米国で研究されている老眼矯正レーシック、角膜内レンズなど、新しい老眼治療法が続々と登場しています。老眼の治療法は、今後、ますます選択肢が広がって、老眼鏡をかける人がほとんどいなくなる時代がやってきそうです。

3分で老眼鏡が不要になるCK手術

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老眼は水晶体や毛様体の変化により発症する

まだ本格的な「老化」を意識しない40代、よっては30代でも容赦なく起こるのが「老眼」です。家庭でも社会でも、まだまだがんばらなければならない年代に始まるだけに、精神面・生活面ともに、老眼によるダメージを感じる人は多いようです。

老眼になると、近くにピントが合いにくくなり、新聞などの文字は少し離すと読みやすくなります。そのため、「遠視」と混同されやすいのですが、遠視と老眼のしくみは違います。

遠視は、眼球全体の形や角膜のカーブの問題により、本来、も、つまく見たものの像が結ばれる網膜より、後ろにピントが合ってしまうものです。

これに対して老眼は、目のレンズに当たる水晶体や、その厚みを調節している毛様体という筋肉が衰えるのが原因です。

目は近くを見るときは、毛様体が緊張して水晶体が厚くなり、遠くを見るときは毛様体が緊張して水晶体が薄くなります。このしくみは、水晶体と毛様体に十分な弾力性があってこそうまく働きますが、その弾力性は加齢とともに衰えます。その結果、水晶体の調節が困難になり、近くにピントが合いにくくなるのが老眼なのです。

筋肉である毛様体は、遠近交互にピントを合わせるトレーニングなどで、ある程度弾力性を保てるといわれています。しかし、水晶体が硬くなり、弾力低下が進めば老眼も進行します。

「近視の人は老眼になりにくい」という誤解もあるようですが、もともと近くが見や視の人は、老眼を自覚しくいだけなのです。実際には、近視と関係なく、老眼は発症・進行します。

老化して硬くなった水晶体を、もとに戻す方法は、いまのところありません。そこで、老眼鏡や遠近両用コンタクトレンズなどで、近くが見えやすいように調整するのが、これまでの主要な老眼治療でした。

しかし、老眼鏡は、いかにも年をとったイメージがあって「抵抗を感じる」「できるだけ使いたくない」という人が多いものです。また、「持ち歩くのがめんどう」「進むたびに作り替えるのがたいへん」という声も開かれます。

また、遠近両用コンタクトレンズも、実際には遠近両方が支障なく見えるまでの機能はなく、どこにもピントが合わなかつたり、コンタクトの上から老眼鏡をかけたりという不便に耐えている人が多いようです。

10万人以上の手術を行い安全性はお墨付き

じつは、そんな人たちに朗報があります。老眼を手軽に治療できる、画期的な方法が登場したのです。その治療法とは「伝導性角膜形成術」で英語名の頭文字をとって「CK手術」」と呼ばれています。CK手術は、2004年、米国のFDA (食品安全衛生局)によって認可されました。以来、米国を中心にさまざまな国で、すでに計10万件以上の手術が行われ、安全性が確認されるとともに、良好な結果が報告されています。

日本でも、現在は行っている医療機関が限られているものの、しだいに広まってきています。

「目の手術」というと、なんとなく怖さを感じたり、身構えたりする人が多いでしょう。しかし、CK手術は、施術だけなら正味3分程度でできる、いたってシンプルな方法です。

現在、広く普及している近視きょうせいの矯正手術「レーシック」も、正味20分程度で行えますが、CK手術はそれ以上に短時間でできるのです。では、CK手術のやり方とメカ:ズムを説明しましょう。

目の最も前面、いわゆる「黒目」を覆う位置には「角膜」があります。角膜は、半球状の透明な硬い膜で、眼球を保護するとともに、光を集めるレンズの役目をしています。

先ほど、目の「レンズ」に当たるのは水晶体だといいましたが、実際には角膜という1つめのレンズで大きく光を集めうえで、水晶体で屈折率を調整して、私たちは物を見ているのです。ですから、角膜の形状がわずかに変わるだけでも、目の屈折率は変化します。

そこで、角膜の中央部分の「ふくらみ」を大きくし、屈折率を上げて近くを見えやすくするのがCK手術です。

効き目とは逆の目だけを行う

やり方としては、角膜周辺部の8~16カ所に、専用の器具で高周波を当てます。すると、たんばく質でできている角膜に熱作用が生じ、そこだけキュツと縮みます。全体として、周辺部をベルトで締めるような形状変化が起こり、角膜中央のふくらみ( 屈折率) が強くなるのです。

その結果、老眼の進んだ人でも近くが見えやすくなります。しかも、周辺部はもとの屈折率を保っているので、遠くを見る視力も維持されます。

CK手術は、両眼に行うこともできますが、原則的には、「利き目」でないほうの目だけに行います。ふだんは意識しませんが、「利き手」と同じように、私たちは左右一方の目を「利き目」として主に使っていす。一般に、何げなくカメラのファインダーなどをのぞくときに使うのが、その人の利き目です。

利き目は、遠くを見るとき主体的に使われるので、あえてそのまま残し、道側の日だけに施術して遠くも近くも見えるようにするのが、CK手術の基本的なやり方です。ちょっと考えると、視力の左右差が気になる感じがしますが、実際には、違和感のない範囲で調節しますから、左右差が問題になることはまずありません。むしろ両眼とも行うより、快適な視力が保たれることが、これまでの実漬から明らかになっています。

同じ角膜に行う手術でも、場所や方式が違いますから、レーシックを受けたあとにCK手術を受けることもできます。というより、近視の人は、CK手術だけを受けてもメガネやコンタクトが必要な状況は変わらず、かえって不便になる場合もあるので、CK手術とレーシックをセットで受けたほうがよいでしょう。